「ハイスコアガール」の著作権侵害は「成否が明らかではない」 刑事手続を反対する声明文を法学者ら26人が発表
ゲームキャラの使用は、「適法な引用(著作権法32条)に該当する可能性」があるという指摘も。
マンガ「ハイスコアガール」の著作権侵害は成否が明らかではないとして、同作についての刑事手続に反対する声明文が、12月22日に明治大学知的財産法政策研究所の公式サイトで公開されました。発表者は法律やマンガにたずさわる研究者・実務家ら26人の連名となっています。
今年8月、「ハイスコアガール」が自社のゲームキャラを無断で使用しているとの理由でSNKプレイモアがスクウェア・エニックスを刑事告発しました。スクウェア・エニックスは侵害を認めておらず、10月には逆にSNKプレイモアへ民事訴訟を起こしましたが、11月17日には大阪府警がスクエア・エニックスの関係者を大阪地検へ書類送検する展開に(関連記事)。2社が著作権の遵守・侵害を互いに主張し合いながら、同作の連載休止と単行本の回収・販売停止という状況が依然として続いています。
公開された声明文「『ハイスコアガール』事件について ―著作権と刑事手続に関する声明―」では、同作におけるゲームキャラの利用は「適法な引用(著作権法32条)に該当する可能性」などがあるとして、著作権を侵害したというには微妙な線だと主張。そのような作品へ強制捜査や公訴の提起といった刑事手続を進めるのは、「あらゆる表現活動に対して重大な委縮効果をもたらし、憲法の保障する表現の自由に抵触し、著作権法の目的である文化の発展を阻害することとなりかねない」ので、もっと慎重であるべきだと唱えています。
声明文の名前を連ねているのは、弁護士の福井健策さん(「著作権とは何か」など)や中山信弘さん(「著作権法」など)、法学者の田村善之さん(「著作権法概説」など)、マンガ研究家の藤本由香里さんなど。
(黒木貴啓)
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