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失禁尿の吸収うたう「失禁パンツ」に国民生活センター「過信は禁物」と注意呼びかけ

実験した12銘柄のなかには、許容量未満で尿がしみ出したものも多かったようです。

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 少量の失禁尿を吸収するとうたった、洗濯して繰り返し使える布製の下着(以下「失禁パンツ」)について、国民生活センターが調査し、結果を報告しました。実験の結果、製品の表示吸収量より少量にもかかわらず、尿がしみ出すものがみられたとのこと。同団体は「過信は禁物」と、注意を呼びかけています。

国民生活センターの報告

 2006年に日本公衆衛生雑誌が、40歳以上の男女965人を対象に行った調査によると、尿失禁の有訴率は男性で11.4%、女性で34.5%。失禁症状に悩む人は少なくなく、多くのメーカーが対策用の失禁パンツを販売しています。

 しかし2011年から2016年3月までで、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、失禁パンツに関する相談が156件寄せられたとのこと。なかには「吸収が悪い」「表示量より少ない尿の量で外にしみ出す」といった吸水性に関する相談がみられたため、同団体は調査に至りました。

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 調査対象は、大手ショッピングサイトやGoogle検索で上位に表示されたものや、都内および神奈川県内のドラッグストアや量販店で販売されていた製品。「軽失禁用」や「軽い尿漏れに」など、少量の失禁尿の吸収をうたう12銘柄が選ばれています。

対象となった12製品。使い捨ての尿漏れパッドや紙おむつも参考に用いられた(画像は国民生活センターの資料より)

 失禁パンツには吸収量の表示に関する規定が定められておらず、各メーカーが自社基準によって表示しています。対象の12銘柄のうち、販売サイトかパッケージに具体的な数値が明記されていたのは9つ。吸収量は15から50ミリリットルと、製品ごとにまちまちです。

実験対象の吸収量(画像は国民生活センターの資料より)

 実験は実際の着用時を想定して、立った状態(立位)と座った状態(座位)をシミュレート。人体腰部の模型に各銘柄の失禁パンツをはかせ、着色した人工尿を5ミリリットルずつしみ込ませて5分間観察。これを繰り返し、外側までしみ出さないかを、銘柄ごとに5枚分調査しました。

実験用の模型(画像は国民生活センターの資料より)
実際の男女別の失禁を想定した位置に、人工尿をしみこませた(画像は国民生活センターの資料より)

 立位での実験結果は、吸収量の表示がある9銘柄のうち5銘柄が、許容量未満の時点で尿が漏れてしまっています。なかには、最低限の5ミリリットルでしみ出しているものも。また、11回の洗濯後や、座位での実験結果からは、より少量でしみ出す傾向が見られます。洗って何度も使える製品とはいえ、それにも限度があるようです。

立位での実験結果。赤い線が製品に表示された吸収量。青い丸は、しみ出しが見られなかった時点までに加えた人工尿の量(以下同。画像は国民生活センターの資料より)
洗濯後の製品を立位で実験した結果(画像は国民生活センターの資料より)
座位での実験結果(画像は国民生活センターの資料より)

 国民生活センターは実験結果を受けて、失禁パンツにはわずかな尿量でもしみ出してしまう製品があることを指摘。「失禁パンツを購入する場合は、サイズ等を確認し、まずは少数枚で購入して自分の尿漏れのタイプや程度に適応できるかを確認しましょう」と、消費者にアドバイスしています。

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 また、事業者へは表示の改善や、試しやすくするための単品販売を、消費者庁へは景品表示法上の問題を指摘し、事業者への指導を求めています。

(沓澤真二)

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