連載

やしろあずきの調査―― 中二病って本当に中学2年生で発症するの? 現役中学教師に聞いてみた!(後編)(4/4 ページ)

ついに火を噴くやしろあずきの中二病時代の遺物。

advertisement
前のページへ |       

「大人だけど中二病の人」ってなんなの?

「そうだ、これはちょっと中学教師である先生の専門外かもしれないんですが、最後に聞きたいことがあって……」

「はい」

「中学を卒業してから今、僕も28歳になるまでいろいろ人生経験をしてきまして……大学だったりゲーム会社だったり、それこそ今みたいな仕事になってからは有名人の方ともお話させて頂いたり……いろいろな方と出会ってきたわけです」

advertisement

「はあ」

「それだけ出会いがあると……たとえこちらが望んでいなくても会ってしまうんですよ……その……大人なのにめちゃくちゃ真性型の中二病の人に」

「ああ…………」

「いますよね??? 大人なのにめちゃくちゃ真性型の中二病の人

「はい、まあ、いますね。真性型と言わずに、全てのタイプにおいて中学を卒業してから大人になって今になるまでずっと症状が続いている人はいると思います」

advertisement

「あの人たちはその……なんなんですかね?」

「うーん……難しいですし、私の臆測なんですが……さっき、中二病がヒートアップしすぎたときに家族や周りが止めてあげたほうがいい……って話をしたじゃないですか。その時に誰も止めてくれず、自分がしている行為や考えが恥ずかしい、ちょっと世間とズレたものだと気付かないまま大人になってしまったって例が一番多いんじゃないでしょうか……」

「なるほど、現役時代に卒業のキッカケを逃した人なんですね」

「中二病的な思考から脱出できるときって、やっぱり何かしらのキッカケはあると思うんです。どこかで『あっ、俺恥ずかしいことしてた』って冷静になる思考を引き起こすためのトリガーが。ただうまくそのキッカケに巡り会えなかった、または気付けずに時だけが流れてしまったのではないでしょうか……」

「ふむ」

advertisement

「あとは自分の仲間がずっと同じ中二病だったりとか。中二病仲間とずっとつるんでいたら卒業の機会はそりゃ減っちゃいますよね。大人になってもずっとヤンキーな人とかはそのタイプだと思います。ああいう人たちって周りも全員同じタイプじゃないですか」

「あーーー確かに……特にヤンキーって仲間と常に一緒にいたがりますもんね。排他的で。そうか……もう逃れられない中二病なのか……深夜コンビニの周りにたまってるヤンキーとかもう中二病の集団だと思っちゃっていいのか……大人になってからの中二病って、もう治せないものなんですかね?」

「いえ、治し方は中学生のときのソレと同じで良いと思いますよ。自分がしてることが恥ずかしいことなんだって教えてあげれば……ただ、正直ここは難しい所で、治さない方が良いんじゃないかってタイプもいると思うんですよね」

「そのまま中二病でいた方が良いタイプってことですか?」

「はい。まあヤンキー型などに主にいえることですが、中二病が関係した行動で人を傷つけたり、迷惑を掛けるのは中学生だからまだ許されることであって、成人してからは絶対に許されない行為です。だけど、真性型に近いタイプの中二病の場合は、もう大人になってもその状態ならそのままの方が本人のためにも良いんじゃないかと私は考えます」

advertisement

「確かに、周りに迷惑を掛けないのならもう、中二病というかただの個性になるのかな……」

「そうですね。本来、思春期のうちに現れてて成人する頃には消え去っているモノが残り続けていたら、それはもう個性だと思って良いと思います。その個性は、生きていく上でとても役に立つ場合だってあります。それこそ中学生のころに『俺は他の奴とは違う才能がある天才だ!』って思っていた子がその考えを捨てないまま大人になったら、その妄想が努力や運に結びついてなんらかの才能を開花し超有名人になってる可能性だってあります」

「そうか……中学生のころはただの中二病的な妄想だとしても、大人になってそれが実現することだって十分ありうるのか……」

「はい。堕天使にはなれないと思いますが」

「うるさい!!!!!」

advertisement

まとめ ~中二病であり続けることは必ずしも悪いことじゃない~

「真性型だけに限らず、中二病はとにかく妄想のパワーがすごいですよね。やしろさんの場合だって自分が堕天使の生まれ変わりだって心の底から信じてたし、周りの設定とかもいろいろ考えてたんですよね?」

「そうですね。僕の他にも12人の堕天使が現世に降臨していて、その12人は特別な闇刻印~ダーク・ファントマ~を持っているんです。あ、その闇刻印の力が強大すぎるから現世に追い出されてしまったんですが……その闇刻印は堕天使ごとに色も形も違い、刻印解放といって刻印を堕天にかざすことで刻印に封じられたダークエネルギーすなわち闇魔力を解放していわゆる魔法のような攻撃が出せ」

大丈夫です

「闇刻印の種類はこのダーク・ノートに全て記載されているので後で読んでみてください」

「はい。まあそういう妄想力って、実際すごいことだと思うんですよ。中学生のころはまあ誰もがそんな妄想をしますし、子どもって感性豊かなんで0から1をガンガン生み出していけると思うんですが、大人になると固定観念ができすぎてなかなか0から1を生み出すような考えってできないものなんです」

「ふむ」

「なので真性タイプの妄想が強い中二病を大人になるまで引っ張ってる人って、とてつもなくクリエイター向けだと思います。というか、真性型の中二病の心がどこかにあるからこそクリエイターになれてるんじゃないかと私は思ってます」

「な……なるほど……つまりクリエイターは全員中二病だと!?」

「考えてみてください。現役バリバリの中二病でもある中学生がハマれるコンテンツって、作ってるのは大人なんですよ。中二病の気持ちが一番分かるのは中二病です。そういった作品の作者は妄想から脱却することなく妄想し続け、自分の妄想を現実に持って来ることに成功した人だと思います。これ褒め言葉ですからね。本当に素晴らしいことだと思います」

「もちろん、中学生向けのコンテンツだけの話じゃないです。何かを創作するにあたり、中二病であることは絶対的な強さだと思います。中二病であり続けることは、子供のころのなんでも新鮮に捉え、そこから新たな発想を生み出せる豊かな感性をそのまま持ち続けているということなんです。物事を1つの方向からしか見られなくなった大人とは違い、多方面からのぞき込むことができる……捉え方によってはそんな素晴らしい能力だと思うんです。中二病って」

「おお……確かに、自分も含め作家の人って子どものようにはしゃぐことあるし、自分が好きなものだったら無限に妄想を膨らませたりできるもんな……まさに脳みそが子どものまま大人になったような……」

「漫画家さんとかの見た目が総じて同年代のサラリーマンより若いのって、そういう理由もあるかもしれませんね」

中二病であり続けることで老化を防げる……!?

「そんな直接的には言ってません!! 今回、中二病についていろいろ話してきましたが……中二病になることでいろいろな感性を磨けることは間違いないと思います。もちろん、よくない方向にいくこともありますが、中二病は決して恥ずかしいこと、必ずしも悪いことではない。というのが数年中学教師をやってきた自分が思ったことですかね……周りを気にせず自分の世界を構築できたあのころの想像力や気持ちは、完全に忘れちゃいけない、大人になっても心のどこかに中二心を持っておくことは大切だと思います」

「なるほど……なんだか自分が重度な中二病だったことが誇らしくなってきました」

「毎日会社と家の往復で、なんだか人生楽しくないなーって人も、忘れていた自分の中二心を引っ張り出してみたら何かが変わるかもしれません! いろいろお話させていただいてありがとうございました!!」

「ありがとうございます!!」

「はい。ちなみに私の中学時代のハンドル・ネームは『エンジェル桜欄天憐華』でした」

ガチやんけこの人。読めねぇ

関連キーワード

中学校 | 先生 | 事例 | 人間関係 | スタイリッシュ

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  2. 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  3. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  4. 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
  5. 「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
  6. 「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
  7. ウソだろ…… フリマに5000円で売っていた“信じられない商品”に思わず二度見 「やっぱり寂しい」
  8. 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  9. ブックエンドの“じゃない”使い方が200万再生 驚きの発想に「痒いところに手が届く」「参考にします」
  10. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」