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まるで幻……のような夜明け前の美しすぎる路面電車 「電車だけが幻想のよう」「これが長崎の夏」(1/2 ページ)

「千と千尋」みたい……。長崎精霊流しのあとに走っていた、もう幻の路面電車。

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 伝統行事を影で支えた「砂撒き電車」。夜明け前の長崎を人を乗せずに静かに走る路面電車の姿が、幻のようで、懐かしく、ふと時を忘れてしまう人が続出しています。


行事が終わって静かになった長崎の街中を、乗客のいない路面電車が走る(画像:特急ぬめりさんTwitterより、以下同)

 動画を投稿したのは「廃止となった北海道札沼線の感動景色」(関連記事)や「まるで映画のラストシーンみたいな富山のターミナル駅の日常」(関連記事)など、鉄道と鉄道員への深い愛情を感じる鉄道動画作品を多数公開してきた、特急ぬめり(@NumeriExpress)さん。

 舞台は長崎県長崎市。長崎で毎年8月15日に行われる伝統行事「精霊流し」のシーンから始まります。爆竹が鳴り響き、「世界の終わりのような──」などとも形容されるとてもにぎやかな夜です。

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 激しくにぎやかな行事を終えた午前4時25分。静かになった長崎の街を、明かりが灯りつつも乗客は乗っていない路面電車がゆっくりと走ります。


長崎のにぎやかな精霊流し。爆竹の音が響く中「精霊船」が練り歩く

 この電車は「砂撒き電車」といいます。精霊流しの爆竹や花火の燃えかすで車両がスリップしないよう、始発前に砂をまいて走るのです。


行事の最中、路面電車は停留場で待機

街が静かになりつつ、爆竹で煙たいままの長崎市内を「砂巻き電車」が進む

 動画を製作した特急ぬめりさんに話を伺いました。

── 今回もしんみりと見入ってしまうすてきな作品ですね。精霊流しと路面電車を題材にしたきっかけは……?

 「151号(他都市も含めて90年以上使われ、2019年3月に引退した長崎電気軌道150形電車の151号)の走っている様子を見てみたい!」と思ったのがそもそものきっかけです。

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 151号は古い車両ということもあって、ふらっと長崎を訪れても走っているのが見られる可能性はほとんどありません。そこで調べてみたところ、夏の精霊流しの翌日、始発前の「砂撒き電車」として使われていることを知ったのです。

── 車両への熱意から思い立ったのですね……! 撮影にはどんなご苦労がありましたか?

 2018年8月15日の夕方から夜にかけて精霊流しの様子を、翌16日の午前4時から6時ごろにかけて、目的の151号の様子を撮影しました。

 砂撒き電車は例年151号が使われると聞いてはいたものの、この目で見るまでは確信が持てませんでした。「そもそも砂撒き電車は走るのか?」「走るとして、ホントに151号が来るのか?」と、夜明け前の大波止通りでドキドキしながら待ち構えていたのを覚えています。

 動画には「風景の中で電車だけが幻想のよう」「これが長崎の夏」「ほとんどチャンスがない幻のような運行をこの完成度で!」などの驚き、懐かしむ人、感動のコメントが多数寄せられました。

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 長崎電気軌道によると、砂撒き電車は2018年を最後に運転しなくなったとのこと。作品でも人知れず夜明け前にフッと現れた幻のような運行でしたが、本当にもう見られない光景なのかもしれません……。


 ちなみに長崎の路面電車を引退した151号は2020年9月現在、以前活躍していた小田原市への里帰りを目指すクラウドファンディングのプロジェクトが行われています(9月25日23時まで)。


151号の里帰りを目指すクラウドファンディングが実施(9月25日23時まで)

 幻想的な景色の中を走って引退した長崎の路面電車151号。各都市の発展を見守ってきた立役者を忘れずに、そしていつまでも残り、歴史を伝え続けてもらいたいものですね。

素材提供:特急ぬめり(@NumeriExpress)さん

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