それは、“人間の機微”を見るドラマ――シリーズの全てを見てきた男、坂東工に聞く「バチェロレッテ・ジャパン」(1/3 ページ)
僕はそれを見ていて、美しいとさえ思いましたね――坂東工
Amazon Prime Videoの婚活サバイバル番組「バチェロレッテ・ジャパン」シーズン1が10月9日に配信開始となりました。
容姿端麗、高学歴、高収入のバチェラー(独身男性)を多くの女性が奪い合う“華やかな地獄絵図”を追った「バチェラー・ジャパン」の“男女逆転版”として、才色兼備のバチェロレッテが主役となり、17人の男性候補から1人のフィアンセを選ぶ「バチェロレッテ・ジャパン」。
バチェラー・ジャパンの全シーズンでホストとして旅路の全てを見届けてきた坂東工さんが、バチェロレッテ・ジャパンでもホストを担当。スーツをビシッと着こなし、優しげな笑みを絶やさず、適度な距離感で参加者らと接する姿はダンディーで、番組に欠かせない存在ですが、坂東さんは、この“男女逆転”をどう感じるのか、本人へのインタビューを通じてじっくりひもといてみました。
彼女は、最初から、もう、バチェロレッテですよ――
―― はじめまして。バチェラー・ジャパンおよびバチェロレッテ・ジャパン拝見しました。バチェロレッテの配信を待ちわびるあまり、ついうっかりバチェラー・ジャパンを全シーズン10回以上見てしまいましたが、いよいよバチェロレッテ・ジャパン配信ですね。早速ですが、坂東さんから見たバチェロレッテ、福田萌子さんの印象から教えていただけますか。
坂東 彼女が最初に車から降りてくる瞬間に、僕も初めて彼女に会うわけですが、降りた瞬間に彼女はバチェロレッテだという説得力、オーラがありましたね。性格も求道者というか、昨日より今日、今日より明日と、自分を律してさらに成長していこうとする姿はもう哲学者か修行僧かというくらい。自分を律するというのはなかなかできることではなくて、そこには本質にたどり着きたいと願う自分自身の姿があるのだと思いました。
―― 歴代のバチェラーとの違いは感じますか?
坂東 シリーズをご覧になっているとお分かりだと思いますが、バチェラーはそれぞれ本当に違う人間で個性があって、スペックはあの通りですから。福田さんは福田さんで素晴らしい。25頭身くらいありますからね(笑)。そういった容姿のことから、考え方、笑ったときのチャーミングさ、彼女の持っているバックグラウンドなども加味して考えると、もう、バチェロレッテですよ。
―― 海外のバチェロレッテをご覧になったことは? 日本版との違いは感じますか?
坂東 何度かあります。やっぱり文化が異なればさまざな部分で違いが生じるものですが。福田さんはグローバルに活躍されていて、非常にワールドワイドというかカルチャーギャップもない方。参加者の方も、ハーフの方もいれば、エバンズ(・マラカイ)さんのようにオーストラリア出身だったり、黄皓さんは中国だったり、そういったダイバーシティがありますね。彼女自身も英語、中国語、イタリア語が話せてもうすごいですよね本当に。
男女逆転によるドラマ性の違い「すっごいありました」
―― バチェロレッテは、“バチェラーの男女逆転版”とも言われますが、男女逆転によってドラマ性の違いを感じましたか?
坂東 僕ね、最初はそうしたものはないと思っていたんですけど……すっごいありました。
これまでのバチェラーって、言ってみれば、久保裕丈さん、小柳津林太郎さん、そして友永真也さんという方の物語に見えますが、裏返すと、女性陣のドロドロとした駆け引きや根回しも見どころじゃないですか。これがバチェロレッテでは女性1人に男性17人。僕、思うんですけど、“男らしい”という言葉は、女性のために、そして、“女女しい”という言葉は男性のためにあるなと。
“女女しい”というのは決して悪い言葉ではないです。意気地がないとか、虚勢を張るとかも多分そうですね。でも、そういうことをしないと、男の人ってなかなかアクセルを踏まない。本当のことを言わないんです。一歩勇気を出して踏んだアクセルは誠実さを伴って、かっこ悪いんだけど、かっこよさにつながっていく。それはまさに“人間が出る瞬間”。僕はそれを見ていて、美しいとさえ思いましたね。
―― 長くシリーズを拝見させていただいた中で、結果的に残っていく人は何かしら醸し出すものがあるように感じます。人のコミュニケーションにおいて、その人の人格や人となりといったものはどういう所作や言葉の使い方に表れてくるのでしょう。
坂東 逆説的ですが、用意しないことだと思います。
やっぱり、みんな自分で筋書きを書いてくるんです。「2人になったらこれを言おう、あれを言おう」とか。で、自己本位になってくるんですよね。
それはアピールということでいうと、した方がいいときもあるかもしれませんが、それもTPOに依りますよね。では、一番大切なことは何かと考えていくと、自分よりも相手のことを聞きたい、といった“相手ありき”でないと、なかなかコミュニケーションが成立しないのかなと思います。そこには台本なんかないじゃないですか。
―― 確かに。それぞれ頭の中では台本めいたものを組み立てて臨まれているものなんですね。
坂東 台本って魂入れるの大変なんですよ。芝居見てても分かるじゃないですか。(台本に)書かれたものをそのまま言ってみると、かんじゃったりする。それって、心が伴わないからなんです。
―― 以前、バチェラーとは話すこともあるが、女性陣とは基本的に全く話さないと明かされていました。バチェロレッテになると、男性陣とは話さないということになるんですか?
坂東 僕自身はバチェラー/バチェロレッテを通して、女性陣、男性陣に対しては、カメラが回っている以外では全く関わりませんし、話しません。僕がどこにいるかさえ、多分彼ら彼女らは知らないと思います。
―― 福田さんとアドバイスのような会話をすることはあるのでしょうか?
坂東 いえ。思うに、彼女は自分の中で、きちんと向き合うことに対して誰かのせいにしない人なんです。彼女自身で悩んで決めていく、いかないといけない。彼女自身も頭のよい方ですから分かってらっしゃる。なので、こと恋愛に関しては、そういう会話は一切ないですね。
―― これまでのシリーズだと、シーズン2の最後のローズレセモニーが強く記憶に残っているそうですね。バチェロレッテ・ジャパンで印象に残っているシーンを話せる範囲でお聞きしたいです。
坂東 難しいですね……、ここまで毎日、いろんなことが起きるとは思っていなかったです。サービス精神を少しだけ出してお話しするならば……男の涙ってなかなかにきますよ。
僕が男だからなのかな、男女逆転して、参加者の方が男性になったんですけど、今までは、「この女性残りそうだな」と自分の中で思っちゃうものですけど、今回は誰にも全く何も思いませんでした。僕が女性目線に立つというのも変な話じゃないですか。もちろん、勝ち抜いてきた17人ですから、前提としてみんな個性がありますし、誰が残ろうが全力を出してくれよ、頑張れよ、という気持ちはありました。
―― 完全に見つめる目線が慈愛……。
坂東 応援ですよね。とはいえ、番組ではその立場ではないので、そういうことは一切出しませんけれども、人間としての気持ちはそういうものがありました。
―― 先日、友永さんと岩間さんがご結婚を発表されましたが、シリーズの歴史でそこに至ったケースは稀です。海外のバチェラーだといわゆる一夜を共にするような、肉体的なつながりもストーリーの中に組み込まれていて、日本版ではさまざまな理由からそれがないわけですが、そうしたことも影響しているのでしょうか?
坂東 もちろん、バチェラー/バチェロレッテという番組自体が、結婚に向けたものであるというのは一つのコミットメントとしてあるかもしれません。
でも、結婚に至らずとも、それは単なる結果で、そこに向かっていこうとする2人がいたことは確かです。例えば一夜をともにすることがないからとか、さまざまな原因はあったとしても、2人の時間というのは必ず育んでいったはず。その中で行われることというのは、やはり男女のことなので、われわれは見守るしかないんですけれど。
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