ワモンアザラシの赤ちゃんが“かわいすぎてキュン死する”と話題　「海遊館」での初繁殖・国内初人工哺育について話を聞いた

　海遊館（大阪府大阪市）で撮影された「ワモンアザラシの赤ちゃんが沐浴する姿」がYouTubeに投稿され、その姿があまりにもかわいいと話題になっています。

　海遊館では2021年4月1日の午前3時ごろ、ワモンアザラシの赤ちゃんが生まれました。これは海遊館で初となるワモンアザラシの繁殖。赤ちゃんはお父さんの「モヤ」と、お母さんの「アラレ」の間に産まれた男の子で、現時点では「アラレ仔」と呼ばれています。

　アラレ仔は生まれた直後に低体温や低血糖の症状が見られたため、飼育員さんたちによる懸命なケアが実施されました。回復後、アラレ仔をアラレの元に戻すことも検討しましたが、ケアに長い時間を要したため、自分の子どもと認識するのが難しいであろうと判断。飼育員さんたちが親代わりとなって赤ちゃんを育てる、国内初の完全人工哺（ほ）育に切り替えることになったそうです。

　動画で紹介されているのは赤ちゃんの体についた汚れを落とし、排便を促すために行っていた沐浴の様子です。赤ちゃんをそっと持ち上げ、溺れないように細心の注意を払いながら体を優しく揺らし、汚れを落とす飼育員さんたちの優しい手つきからはたくさんの愛を感じます。

　赤ちゃんの沐浴中の姿はもちろん、沐浴が終わった後に飼育員さんたちにタオルで拭かれながらずりずりと動いてしまう姿もたまらなくかわいいですね。

　動画には国内外から「こんなにかわいいエビフライ初めてみた」「飼育員さんの努力があってはじめてかわいいかわいいって騒いでいられるんだよね」といった、たくさんのコメントが寄せられています。

　ねとらぼ生物部では「海遊館」にてワモンアザラシを担当している飼育員さんに、アラレ仔についてお話を伺いました。

――海遊館初のワモンアザラシの繁殖とのことですが、繁殖を試みるきっかけがあれば教えてください。

　これまでにも繁殖を目指していましたが、なかなか成功しませんでした。今回は出産前から、考えられるすべての方法を導入して、出産に適した環境を整える事で初めての成功に至りました。

――国内初のワモンアザラシ完全人工哺育とのことで、人工哺育の難しさと、今後の課題があれば教えてください。

　人工哺育の前例がなく、参考に出来る資料がないところがとても難しいです。今後の為に少しでも多くの情報を残すために毎日奮闘しています。

――これまで人工哺育をしてきたなかで、飼育員の方々がうれしかったことや驚いたことがあれば教えてください。

　うれしかったこと：出生直後に体調を崩したが、その後、回復して元気に育ってくれていること

　驚いたこと：毛の生え変わりが始まると一気に毛が生え変わったこと

――「かわいいエビフライ」などアラレ仔の動画に大きな反響が集まっています。感想があれば教えてください。

　たくさんの方々に興味を持って頂けてほんとうにありがたいです。

――アラレ仔の、「ここがかわいい！」という飼育員さんならではのポイントがあれば教えてください（見た目以外でもなんでもOKです）

　部屋に入ってきた飼育員やオモチャ等、色々なものに興味を持つところです。

――今後、アラレ仔のお名前を決める時期など、なにかご予定があれば教えてください

　現在、調整中です。

――読者、海遊館ファンに向けてメッセージや伝えたいこと（ここに注目してみてほしいなど）がありましたら教えてください。

　ワモンアザラシの人工哺育は前例がなく、私たちも手探りの状態で行っています。そんななかで毎日新しい発見があるアラレ仔の人工哺育を、これからも見守って頂けるとうれしいです。

（了）

　沐浴動画で見られた赤ちゃんの白い毛から、現在はワモンアザラシの特徴である輪紋（わもん）模様の毛に生え変わり、どんどん成長しているというアラレ仔。すくすく元気に成長して、いつか会える日を楽しみに待ちたいものですね。

　海遊館ではYoutubeチャンネル「大阪・海遊館 Osaka Aquarium Kaiyukan」やブログ「海遊館日記」をはじめとしたSNSにて、館内で暮らす生き物たちに関する情報をたくさん発信しています。

（取材協力：海遊館）

（三日月 影狼）

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