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なぜ30年後? 「ネバーマインド」ジャケ写の赤ちゃん、「性的搾取」とニルヴァーナを提訴 ネットでは疑問の声も(1/2 ページ)

ウキウキでセルフパロディーしたりもしてたのに。

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 米ロックバンドのニルヴァーナ最高傑作といわれるアルバム「ネヴァーマインド」。その史上最も有名なジャケットの1つを飾った裸の赤ちゃんが、アルバム発売から30年後にあたる2021年8月24日、写真は「性的搾取」であったと米カリフォルニア州地方裁判所に訴えました。この件についてSNSでは主に批判的な意見が湧き上がっています。


ジャケット写真が提訴されたアルバム「ネヴァーマインド」(画像はニルヴァーナの公式サイトから)

 アルバムジャケットの写真が撮影されたのは、今回訴えを起こしたスペンサー・エルデンが生後4カ月のとき。アメリカの法律では性的でない乳児の裸はポルノと見なされませんが、当該写真は乳児の性器がみえる状態で1ドル札に向かって泳いでいる構図で、これが「セックスワーカー」のようにみえるとしています。

 訴状ではこの写真を「児童ポルノ」としており、被告がこれを「意図的かつ商業的に販売し、そのショッキングな性質を利用し音楽や彼ら自身を宣伝した」と主張。両親は写真の使用許諾に署名しておらず、また性器部分をステッカーで隠す約束をしていたにもかかわらず守られなかったとのこと。結果としてエルデンは「苦しみを抱えており、それは生涯続くだろう」と訴えています。

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 エルデンはバンドのフロントマンであった故カート・コバーンの遺産管理人や彼の寡婦コートニー・ラブ、フォトグラファーを含むニルヴァーナと関係者15人にそれぞれ15万ドル(約1650万円)ずつの損害賠償を請求しています。


アルバム25周年にModern Rocks Galleryで展示された未公開写真。これらを含む写真集が2021年9月24日に発売される(画像はModern Rocks GalleryのInstagramから)

 撮影時、まだニルヴァーナは無名のバンドでした。エルデンの父親は米ラジオネットワークNPRに友人だったフォトグラファーのカーク・ウェドルから電話で200ドル(現在では約2万2000円)を提示され依頼されたことを明かしています。

 今回の提訴に関してSNS上では「恥を知るべき」との強い批判や、「釣り針に数百万ドルつけてもう一度ジャケットを取り直したいんだね」など金銭目的なのではといった声が続出。

 その理由として、1つはエルデンが過去のインタビューなどでジャケット写真を肯定的に捉えていると発言していること。例えば2015年の英The Guardian紙でのインタビューでは「僕にとっていつでも前向きなことで、扉を開いてくれた」とジャケット写真についてポジティブな姿勢を語っています。

 もう一つはアルバム10周年、17周年、20周年、25周年にそれぞれ海水パンツを着用し水中で撮影する、パロディーといえる写真を撮影し続けていることです。2016年、アルバム25周年の撮影を担当したフォトグラファーのジョン・チャップルには、裸で撮影してはどうかと提案したものの、却下されたと語っていました。

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ジョン・チャップルが撮影した25周年のパロディー写真(画像はジョン・チャップルのInstagramから)

 一方で、2007年の高校生当時、エルデンは米MTVに「たくさんの人が僕の裸を見ているのはとても奇妙」「まるで世界最大のポルノスターになった気分」とすでに複雑な気持ちを語っていました。

 さらに25周年のパロディー撮影をした同年、2016年の米GQ誌でのインタビューで、みんながいまだに25年前のジャケット写真について話をすることで「正直言って頭にきている」と明かし、「選択肢がなかった」ことだと述べていました。

 続けてインタビュイーから「以前は(ジャケットに載ったことについて)クールだといっていた。いつ気持ちが変わった?」と聞かれ、「つい数カ月前、ニルヴァーナに僕のアートショーに参加しないかと連絡を取ったとき。彼らのマネージャーと弁護士を通すようにいわれた。僕がそれほど取るに足らないものだというのに、なぜまだ彼らのアルバムジャケットに載ってなくちゃいけないのか?」とつまびらかに。なお、エルデンは米ロサンゼルスを拠点にアーティストとして活動をしています。

 また、オリジナルのジャケット写真を撮影したウェドルは2019年に英The Guardian紙の取材に、まだエルデンと連絡を取り合っていること、そしてジャケット写真について対立していると認めており、「彼はみんなが儲けているのに自分は違うと感じているようだ。彼は何かに値すると思う。でも稼ぐのはいつだってレコードレーベルだ」と語っています。

  SNSではエルデンの精神状態を心配する声も散見されました。また乳児の彼に選択権がなかったことに対する同情と「なぜ彼は両親を訴えないの?」「自分の子どものために(契約書へ)署名することもしないなんて」などと両親の責任を問う声も寄せられています。

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