急展開! 東京メトロの「有楽町線延伸」 江東区の悲願ついに叶う?:月刊乗り鉄話題(2021年9月版) どうなる?東京の鉄道・地下鉄新路線(1)(1/3 ページ)
どこに、いつできるの?──。実はとてもたくさんある、東京圏の鉄道・地下鉄新路線計画。2021年7月に行われた「国交省の交通政策審議会」の答申から、期待の新路線計画をひもといていきます。
少し前の2020年3月14日、東京・山手線に49年ぶりの新駅、高輪ゲートウェイ駅が「仮」開業しました(関連記事)。
実は、高輪ゲートウェイ駅の「本開業」は周辺のまちづくりに合わせて2024年の予定です。駅の機能は一足先に準備できたので「オリンピックに間に合わせましょう! 間に合った!」のでした。でも「オリンピック1年延期……ショボーン」みたいな。
JR東日本は休止中の貨物線の一部を再利用して「羽田空港アクセス路線」(関連記事)も新たに作ります。「おお、これで東京オリ・パラの観客輸送もバッチリだね」「いや、間に合いませんよ」「そうなの?」みたいな話も聞かれました。
何だか期待していた皆さんゴメンナサイという空気があります。しかし、そもそも鉄道のように莫大な建設コストが掛かるシステムを2週間程度のイベントのためだけに作るのではありません。もともと鉄道が必要な理由や計画があって「ついでに間に合えばいいな」だったわけです。
東海道新幹線も東京モノレールも、1964年の東京オリンピック直前に開業しました。これらの路線はオリンピックのためではなく、もともと東京~大阪間には大量の旅客需要がありましたし、羽田空港は将来、海外渡航や訪日客が急増すると見込んでいた計画です。もっとも、オリンピックは開業時期の大きな目標となり、総力を挙げたことは確かですけれども。
さて、オリンピックとは関係なく(しつこい)。実は、これらの他にも東京圏には鉄道の新路線計画がかなりたくさんもあります。今回は東京圏の鉄道新路線計画の現時点(2021年9月時点)の状況から、どんな計画があるのか、それぞれの計画は今どうなっているか、今後どうなりそうかをひもといて、ワクワク想像していきましょう。
目次
- 【期待の新路線 1】 急展開! 東京メトロの「有楽町線延伸」 江東区の悲願ついに叶うか?
- 【期待の新路線 2】 「白金高輪~品川地下鉄」はリニア中央新幹線に間に合うか?
- 【期待の新路線 3】 秋葉原と東京ビッグサイトを直結! 「都心部・臨海地域地下鉄構想」
- 【期待の新路線 4】 東京~羽田空港を直結する「羽田空港アクセス線」もうすぐ着工
- 【期待の新路線 5】 「蒲蒲線」も許可申請へ? 目黒、渋谷などの都心方面からも乗り換えなしで羽田空港へ「新空港線」
- 【期待の新路線】 まだまだある東京圏の新路線計画
- 【期待の新路線 6】 大江戸線は、光が丘駅から大泉学園町へ、さらに先の東所沢まで「大江戸線延伸」
- 【期待の新路線 7】 多摩都市モノレールの延伸「上北台~箱根ケ崎」「多摩センター~町田」「多摩センター~八王子」
- 【期待の新路線 8】 押上~東京~泉岳寺を結ぶ「都営地下鉄の都心直結線」
- 【期待の新路線 9】 押上~四ツ木~松戸を結ぶ「東京11号線の延伸」、住吉~押上~四ツ木~野田市を結ぶ「東京8号線のさらなる延伸区間」
- 【期待の新路線 10】 新木場~市川塩浜~津田沼、総武線と京葉線をつなぐ「総武線・京葉線接続新線」
- 【期待の新路線 11】 これは難しい? 「京葉線の中央線方面延伸」と「中央線の複々線化」
- 【期待の新路線 12】 田園調布~赤羽~葛西臨海公園をぐるりと結ぶ環状地下鉄「メトロセブン・エイトライナー」計画
【1】急展開! 東京メトロの「有楽町線延伸」 江東区の悲願ついに叶うか?
「東京メトロ有楽町線延伸」「東京8号線延伸」と呼ばれる計画があります。
この計画は、東京メトロ有楽町線の豊洲駅から分岐して北へ進み、東京メトロ半蔵門線の住吉駅に至る路線です。豊洲駅、住吉駅ともに、新線に対応したプラットホームが既にできています。しかし、長らく建設開始の動きはありませんでした。
この区間は東京都江東区が切望しています。江東区は東西方向へ「横断」する鉄道路線は複数あります。しかし、区の南北を端から端まで「縦断」する鉄道路線がありません。江東区役所は東陽町にあります。ここへ「電車」で行くのに便利な人は東京メトロ東西線の沿線に住む人くらい。もちろん南北方向はバス路線が補っており、都営バスの路線がとてもたくさんあります。ラッシュ時間帯の永代通りと四ツ目通りはバス銀座。もし私がここに住んでいたら、鉄オタではなくバスオタになっていたことでしょう。
1972年まで、江東区の主要道路のほとんどに路面電車(都電)が走っていました。しかし自動車交通の発達によって低速な都電は邪魔者扱いになり、全て廃止されました。都心では都電に変わる交通手段として地下鉄が整備されました。江東区も地下鉄がほしかったはずです。
国の交通を管轄する当時の運輸省(現・国土交通省)は、有識者を集めた1972年の都市交通審議会審議で、東京の地下鉄について、既存路線を含む13路線の整備を決定しました。その1つが「東京8号線」です。
東京8号線は、保谷(保谷市、現在の西東京市)から練馬、向原、池袋、飯田橋、市ヶ谷、永田町、銀座、明石町、豊洲、辰巳、湾岸、海浜ニュータウン(千葉市、JR稲毛海岸駅付近)の本線と、豊洲から東陽町、錦糸町、押上、亀有を通る区間の計画です。
本線のほとんどの区間は現在の東京メトロ有楽町線です。池袋~保谷方面は西武有楽町線、池袋線に直通して実現しました。海浜ニュータウン方面は新木場駅を境にJR京葉線が担っています。残りは江東区の南北方向を含む区間。そのため、江東区は8号線の延伸を要望してきました。
1982年には当時の営団地下鉄が開業免許を申請しています。しかし、優先順位の兼ね合いもあり、免許はなかなか下りません。その後も国の審議会が開催され、そのたびに整備が必要な路線リストには入ります。都市交通審議会は運輸政策審議会に引き継がれ、さらに交通政策審議会に引き継がれます。2016年の交通政策審議会の答申198号でもリストに盛り込まれました。しかし、進展はありませんでした。
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