急展開！ 東京メトロの「有楽町線延伸」 江東区の悲願ついに叶う？：月刊乗り鉄話題（2021年9月版） どうなる？東京の鉄道・地下鉄新路線（1）（3/3 ページ）

どこに、いつできるの？──。実はとてもたくさんある、東京圏の鉄道・地下鉄新路線計画。2021年7月に行われた「国交省の交通政策審議会」の答申から、期待の新路線計画をひもといていきます。

[杉山淳一，ねとらぼ]

【2】「白金高輪〜品川地下鉄」はリニア中央新幹線に間に合うか

　東京8号線延伸（東京メトロ有楽町線延伸）を前進させた交通政策審議会答申371号では、東京8号線のほかに2つの路線も対象になりました。「都心部・品川地下鉄構想」と「都心部・臨海地域地下鉄構想」です。

「都心部・品川地下鉄」計画のルート。品川駅のプラットホームを南北方向にするか東西方向にするかで2つのルート案がある（地理院地図を加工）

　「都心部・品川地下鉄構想」は、白金高輪駅と品川駅を結ぶ短い路線です。2007年にJR東海がリニア中央新幹線を自己資金で建設すると発表し、起点を品川駅と決めたことから、品川駅高輪口の再開発計画が本格化しました。隣の高輪ゲートウェイ駅周辺とともに大規模に再開発されてきています。

　その流れの中で、「六本木・永田町と品川駅」を結ぶ地下鉄建設が東京都から提案されました。こちらは2016年の交通政策審議会答申198号に盛り込まれました。

　東京都の計画によると、距離は約2.5キロ、途中駅はなし、所要時間は4分。運行本数は最大で1時間当たり12本で、東京メトロ南北線直通が8本、都営地下鉄三田線直通が4本。建設費は約763億円、建設期間は10年です。整備主体として第三セクターを創設します。

　これについて2021年7月の交通政策審議会答申371号で「営業主体は東京メトロがふさわしい」とされました。

　こちらも8号線延伸計画と同様に、東京メトロ株売却期限である「2027年末までに着工」されそうです。しかし完成まで10年かかるとなると、今すぐ着手しても2031年です。2027年のリニア中央新幹線名古屋開業には間に合いません。いや、リニアの方が遅れそうですが。2035年予定のリニア中央新幹線大阪開業には間に合いそうですね。

（参考）国交省「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」（出典：国交省Webサイト）

（続く）

　次回は、秋葉原と東京ビッグサイトを直結する「都心部・臨海地域地下鉄構想」、東京〜羽田空港を直結する「羽田空港アクセス線」の新路線を解説します。お楽しみに。

杉山淳一（すぎやま・じゅんいち）

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢＝鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『（ゲームソフト）A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック（KADOKAWA）』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。（幻冬舎）』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法（河出書房新社）』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。日本鉄道全路線の完乗率は100％（2021年4月時点）