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富山の名物駅弁「ますのすし」を自動販売機で買ってみた!富山「ますのすし」(1500円)

富山の名物駅弁「ますのすし」。古くは立ち売りで、今は売店で買うのが一般的ですが、2021年から新たな試み「自動販売機での販売」も始まりました。早速買ってみました!

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富山「ますのすし」(1500円):

【ライター望月の駅弁膝栗毛】

 「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

 富山の名物駅弁と言えば、「ますのすし」。誕生から110年以上、全国有数のロングセラー駅弁の1つです。そんな「ますのすし」が、2021年から新たな一歩を踏み出しました。何と!「自動販売機」による販売を始めたのです。駅弁と言えば、古くは立ち売り、いまでは売店で買うのが当たり前の光景でした。駅弁の在り方にも一石を投じる「自動販売機」。さっそく、富山を訪ねて、自動販売機で「ますのすし」を買ってみました。


E7系新幹線電車「はくたか」、北陸新幹線・富山~新高岡間

 東京からおよそ2時間半、富山駅を発車した北陸新幹線「はくたか」が、神通川を渡って終着・金沢を目指します。日中の北陸新幹線は、長野~金沢間で、ほぼ各駅に停まる「はくたか」が概ね毎時1本の運行。朝夕を中心に運行される大宮・長野・富山停車の「かがやき」と比べますと、約30分所要時間が増えます。ただ、駅弁をいただく分には、早く着き過ぎないのも大事なところですよね。

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夜の富山駅前

 ただ、コロナ禍で一時期と比べて、大都市・地方問わず、夜遅くまで営業しているお店が少なくなっていると感じる今日このごろ。翌日の仕事で、新幹線でビュンと前日に入ったはいいものの、開いているお店がなくて、食事に困ってしまったという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。せっかくならご当地の味を楽しみたいのに、宿泊先のホテルで自分が住んでいる地域と同じ味の簡便に食べられる食事では、ちょっともったいない……。


源 富山インター店

 そんな旅人の「夕食難民」問題に、1つの解決策を提案している駅弁屋さんがあります。それは、富山駅弁・ますのすしでおなじみの「源」。

 源では2021年の旧盆8月14日から、北陸自動車道・富山インター近くの富山インター店に駅弁の自動販売機を設置しました。富山駅からお店までは、富山地鉄バスの笹津方面行で、西上袋まで約15分(330円)。夜の20~21時台でも数本の運行があり、比較的使いやすい路線バスです。


ますのすし自動販売機

 「ますのすし」の自動販売機は、店舗の営業終了後、店頭に登場。富山インター店では、午後4時~翌朝10時(土・休日は翌朝9時)まで稼働します。


ますのすし自動販売機

 飲料の自動販売機をアレンジしており、1000円札1枚と硬貨の使用が可能。2021年11月中には両替用ボタンを設け、複数枚の紙幣に対応するとのこと。今回は「ますのすし(一重)」(1500円)を購入することにしました。さあ、1000円札と500円玉を入れ、ボタンを押しますと……?

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ますのすしが出てきた!

 少しゆっくり、ドサッと音をたてて「ますのすし」が現れました。これで夜遅く駅に着いても、駅弁にありつくことができますね。しかも、取り出し口に持ち帰り用ナイロン袋もあるのが、とてもうれしい!

 源によると、「自動販売機」の設置は、従業員の皆さんの残業を軽減し、ワークライフバランスを保つことを目的に行われたと言います。確かに駅弁屋さんは、年中無休で深夜から弁当作りを始めるなど、時間がとても不規則な仕事なんです。


ますのすし

 自動販売機で購入した「ますのすし」を開封しますと、当たり前ですが駅売り同様美味! 夜中や早朝に富山に着いても、スグに地元の名物を味わえるチャンスがあるというのは、ありがたいものです。飲料用自販機を使用し、駅弁を販売できるのは、酢飯で保存が効いて、型崩れしにくい富山の「押寿し」の特徴をいかしたとも言えますね。なお、この自動販売機、好評につき2021年10月からは砺波インター店にも設置されたそうです。


ますのすし

 最近、新幹線や在来線特急での車内販売が縮小され、観光地でも、駅弁のない駅から乗車した場合、“食事難民”になってしまい、取り扱いのあるスナック菓子やつまみなどでお腹を満たしたという話を聞くことがあります。

 その意味では、小さな特急停車駅で保冷機能付きのロッカー型自動販売機を活用すれば、折詰の駅弁なども販売できるのでは? 自動販売機も「日本の文化」と考えれば、意外と駅弁との相性はいいのかもしれません。

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キハ85系気動車・特急「ひだ」、高山本線・千里~越中八尾間

 飛騨・高山への足となる高山本線の特急「ひだ」も、北陸新幹線経由のルートが加わり、また違った旅を楽しめるようになっています。駅弁を買うときは、売店の店員さんと言葉を交わしながら買い求めるのが旅の醍醐味。それはもちろんですが、働き手の人口が少なくなっているなか、少人数でも販路を維持し、ご当地の食文化を守っていく必要があります。日本の未来についていろいろと考えさせてくれる、新たな「駅弁の自動販売機」です。

(初出:2021年11月24日)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史

昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。

駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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