老舗駅弁屋さんの系譜を受け継ぐ博多の新しい焼き鳥駅弁、そのこだわりは?:福岡「焼き鳥弁当」(900円)
福岡には水炊き、かしわめし、筑前煮、全国的な知名度がある鶏肉料理がいっぱい。そんな食文化に寄り添った博多の新しい焼き鳥駅弁をいただきました。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
例年、鶏肉の消費量ランキングで全国上位に名前を連ねている九州の各都市。なかでも福岡市は、江戸時代の黒田藩時代から育まれてきた鶏肉の食文化があります。水炊き、かしわめし、筑前煮をはじめ、地元の生活に密着しているだけでなく、全国的な知名度を誇る鶏肉料理がいっぱいです。そんな食文化に寄り添って昨年(2021年)夏に登場した焼き鳥駅弁をいただいてみました。
山陽新幹線を最高時速300kmで駆け抜ける「のぞみ」。東京からは日中、毎時3本の「のぞみ」号が山陽方面へ直通して、うち2本は、終点・博多まで約5時間で走破します。山陽新幹線の「のぞみ」は列車によって停車駅が異なるのが特徴。新神戸・岡山・広島・小倉の各駅に加え、姫路、福山、徳山、新山口のいずれか1駅に停まります。16両の高速列車が、時には数分おきに最高時速300kmで1000km以上を走る風景は圧巻ですね。
山陽新幹線の終着・博多駅のある福岡市は、日本有数の鶏肉文化が華やかなまちです。長年、博多駅で親しまれてきた駅弁業者の名を広島駅弁当が受け継いで生まれたのが、新しい駅弁のブランド「博多寿改良軒」。第1弾の「かしわめし」に続く新作として、昨年(2021年)夏に「焼き鳥弁当」(900円)が登場しました。赤い掛け紙には「つまんでよかよ、食べてよかよ」と印字され、“おつまみ駅弁”としての役割も期待されています。
【おしながき】
- 醤油ごはん 海苔
- 焼き鳥 <鳥皮(たれ)、もも肉(たれ)、手づくりつくね(たれ)、せせり(塩)>
- うずらのたまご
- ぎんなん
- 高菜漬け
- 七味
刻み海苔が載った醤油ご飯の上にいっぱい敷き詰められた「焼き鳥」。皮、もも、つくねが「秘伝のたれ」で、旨味が詰まったせせり(首回り)は「藻塩」で味付けされていて、4つの味を楽しめます。これにお好みで「追いだれ」をすることができたり、七味をパラパラっと振って、ピリ辛でいただくことも可能。広島駅弁当によると、とくにこだわったのは「皮」で、地元で好まれるという首を使うことで、心地よい歯ごたえを実現したと言います。
新大阪からの「みずほ」が、九州新幹線を颯爽と下って行きます。「焼き鳥弁当」は、博多駅はもちろん、広島駅でも販売があります。旅に出にくい広島の方には、小さな旅気分を楽しめる機会になっているそう。コロナ禍以前から、厳しい状況が続いている駅弁業界。地元の味を他の地域の業者に託すケースも増えていますが、地域の食文化に敬意を払い、より地元に寄り添った駅弁が続いていって欲しいものです。
(初出:2022年2月28日)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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