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「映画デリシャスパーティプリキュア」が見せる子どもと大人の夢のあり方 田中仁の脚本はなぜ大人の涙腺を緩ませるのかサラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)

映画デパプリ、興行収入も絶好調。たくさんの子どもたちが映画館に足を運んでいます。

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 「プリキュア映画」には、大人の涙腺をも緩める作品が多々あります。

 ・魔法つかいプリキュア!「奇跡の変身!キュアモフルン!」
 ・スター☆トゥインクルプリキュア「星のうたに想いをこめて」

 この2本は大人も泣かせると、ファンの間でも人気が高い作品ですね。2作品に共通しているのは、監督が田中裕太氏。そして脚本を田中仁氏が手掛けていることです。

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 その田中氏が脚本を手掛けた「映画デリシャスパーティ・プリキュア 夢みる・お子さまランチ!」(・はハートマーク、以下略)が公開されました。

 それは田中氏が紡ぐ、子どもと大人の「夢」の物語。お子様ランチのテーマパークを舞台に、子どもたちには楽しく、大人はちょっぴり切なくなる。映画館を出るときにはきっと親子で手をつないで出たくなる。そんな映画だったのです。


田中仁氏が脚本を書いた「映画デリシャスパーティプリキュア」

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。

※映画の内容に関するネタバレはありません

映画デリシャスパーティプリキュア公開

 9月23日、「映画デリシャスパーティプリキュア 夢みるお子さまランチ!」が公開されました。

 本作には最近見られていた「過去プリキュアとのコラボ」は無く、「デリシャスパーティプリキュア」単体での物語となりました(その分、過去4作品コラボのショートムービーが同時上映となります。余談ですがこの短編がまた素晴らしい内容なのですよ)。

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 映画では、パムパムら妖精たちも人間の姿になったり、プリキュアたちもパワーアップ、新コスチュームで派手なアクションシーンが繰り広げられたりとビジュアル的にも見どころ満載です(パムパムの人間の姿が一部のファンの心に刺さっているようです)。


映画で披露された「お子さまランチドレス」(YouTubeから)

 監督は「フレッシュプリキュア!」「HUGっと!プリキュア」のシリーズディレクターの座古明史氏。そして脚本は「Go!プリンセスプリキュア」「キラキラ☆プリキュアアラモード」のシリーズ構成を担当した田中氏。プリキュアを知り尽くした鉄壁の布陣となっています。

 脚本の田中氏は、最近では「ゆるキャン△シリーズ」や「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」のシリーズ構成、脚本なども担当し、プリキュアに限らず多くのアニメファンにも大人気の脚本家となっています。

 しかし、やはりプリキュアファンには「映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!」「映画スター☆トゥインクルプリキュア星のうたに想いをこめて」の感動的なストーリーの印象も強いかと思います。

 「まほプリ奇跡の変身!キュアモフルン!」では、ぬいぐるみであるモフルンの夢を、「スタプリ星のうた」では、星そのものの夢を通し、子どもたちへ夢を見ることの大切さを描いてきた田中氏。

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 本作「夢みる・お子さまランチ!」でも、お子様ランチというモチーフを通して「夢」が描かれました。

大人と子どもで見え方が異なる

 この映画、楽しい絵が満載で子どもたちは本当に楽しいと思います。「プリキュアとは、アニメだけでなくプリキュアという体験そのもの」と語ったのは「スター☆トゥインクルプリキュア」のプロデューサーである柳川あかり氏ですが、まさに今回の映画でも、映画館の売店で売っているポップコーンのセットが実際に映画の中に出てきたり、手拍子で劇中のアトラクションを一緒に楽しむシーンがあったりと、子どもにとっては「映画を見る」というよりも「体験する」といったワクワク感があります。


舞台となるのはお子さまランチのテーマパーク「ドリーミア」

 内容的にも、妖精たちが人の姿になって戦う特別感、お子様ランチを模したアトラクションのシーンがとにかく楽しそうに描かれ、アクションシーンはド派手でカッコよく、子どもたちは「ドリーミアの世界」に導かれます。劇場で見掛けた子どもたちも上映後はニコニコで映画館を後にしていました。これぞ「プリキュアの映画!」という感じの世界観です。


ゆいとコメコメにはシリアスなシーンも描かれる(YouTubeから)

 一方、横で見ている大人たちは、見え方が異なるかもしれません。

 本作の敵キャラクターは、強く「大人を否定」するのです。これは「大人は決して入れないドリーミア」に象徴されています。大人を否定する理由もややビターなもので、決して「悪」ではなく、子どもを守りたい思いから暴走してしまう。そんな敵キャラにも大きく感情移入してしまうのです。

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 テレビアニメではお気楽な主人公・和実ゆい(キュアプレシャス)にも、「ごはんは笑顔」だけではどうにもならないシリアスな局面が訪れたりと、大人にもグっと来る演出も多いのです。

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