ニュース

えっ、マルーンちゃうやん! 「白い」阪急電車もあった!? 100年以上続く阪急電車の「マルーンカラー」、本気すぎるこだわりとその裏側(1/5 ページ)

大好き「マルーンの疾風(かぜ)」! 阪急ヘビーユーザーの筆者が、阪急電車の“隠れ”魅力を愛でていきます。

advertisement

 皆さんは「マルーンの疾風(かぜ)」と呼ばれる電車をご存じでしょうか。大阪、京都、兵庫を結ぶ阪急電車はマルーンカラーの美しい車体色が特徴。関西の人はもちろん、ファンは全国にいて、1981(昭和56)年から毎年「マルーンの疾風(かぜ)」という阪急電車の車体が主役の公式カレンダーが発売されているほどです。

マルーンカラーの車体色が特徴の阪急電車
マルーンカラーの車体色が特徴の阪急電車(写真:二木繁美、以下同)

 阪急電車で走行している車体は全てこのマルーンカラー。1910(明治43)年の開業時に運行された1形車両から変わることなく続いているというのだから驚きです。そして、走る電車はいつ見てもツヤツヤでキレイです。汚れが目立ちやすい濃いめの色調なので、約5日に1度は洗車してこの美しさを保っています。

 なぜマルーンカラーの阪急電車は「いつもきれい」なのか。以前、阪急電鉄の平井車庫でその理由を聞きました(関連記事)が、今回はさらにじっくりと「裏」まで。阪急電鉄正雀車庫・工場で「マルーンカラーの阪急電車が愛される秘密」を覗いてきました。

advertisement
今回は、阪急電鉄の正雀車庫・工場へ潜入~!
いざ、阪急電鉄の正雀車庫・工場へ潜入~!
マルーンカラーの車体色が特徴の阪急電車 今回は、阪急電鉄の正雀車庫・工場へ潜入~! え? 「白い」阪急電車もあったの……!? 担当者さんも「ほとんど見ることがない」という救援の方向幕を発見 塗装のためクレーンで持ち上げられる車体。そこに流れる「禁じられた遊び」のメロディー。ちょっと哀愁 マスキングを施して塗装へ! 塗りたての車両とドッキング 塗りたては「ツヤ」が違います シートも定期的に全貼り替えし、「きれい」を保つ スリスリしたくなる手触りのアンゴラ山羊の毛を用いたモケット生地 リングバネ、ウレタン、スポンジ、表生地とかなり複雑な構造 生地をピンと伸ばしながら、吊りマウントで固定する。すべりを良くするために、手を濡らして作業するのだそうです

「マルーンちゃうやん!」え? こんな色もあったの? 「白い」阪急電車を発見!

 今回行われた正雀車庫プレス向け見学会は、「阪急電車のデザイン」が2022年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞したことを記念して行われました。評価理由は、開業以来継承されてきた「マルーンカラー」と品の良い車両の内装。学生時代から社会人、そしてフリーランスライターとなった今もずっと愛用している「阪急ヘビーユーザー」の筆者も自身が普段使う電車が認められ、とても誇らしい気持ちです。


え? 「白い」阪急電車もあったの……!?

 工場に入ってまず目に付いたのは、え? まさかの「白い」阪急電車? 「えっ、マルーンちゃうやん!」となって絶句してしまいました。白い車両なんてあったの……?

 阪急電車のマルーンカラーは、国が定める4年、8年ごとの定期検査(重要部検査、全般検査)のたびに「塗装を全てはがして、塗り替える」のだそうです。正雀工場はそんな大規模検査を行う場所です。

 大規模検査で車両の全機器類を取り外し、全般にわたり細部まで検査と整備を行います。一両あたり約7日掛けて行うそうです。そして、色も全塗り替え。手作業で前の塗装をはがし、小キズや凹凸があればもれなくパテで埋めて、サンディングして、表面をビシッと滑らかに補修します。この下地処理を手間を掛けて丁寧に行う理由はもちろん、再塗装するマルーンカラーの美しさのため。この白(というか、薄いピンク)は、マルーンカラーを塗る前の下地処理時の色でした。よかった(?)。


「救援」の方向幕になっていた! 工場の説明員さんでさえ「ほとんど見ることがない」というレア表示だった

 部品が外され、台抜きされ、クレーンゲームのように釣り上げられる大きな車体。そこには「禁じられた遊び」のメロディーが流れ、何だか哀愁がただよっていました。ほかにもルパン三世やインディー・ジョーンズのテーマも流れます。これは、「今どの機械が稼働しているのか」を現場作業者が感覚的に分かりやすくする安全作業のための工夫と取り組みでした。へぇぇ。

advertisement

塗装のためクレーンで持ち上げられた車体。そこに流れる「禁じられた遊び」のメロディー。ちょっと哀愁。そして、めっちゃ上まで行くやん……

 阪急電車のマルーンカラーは、「基準板」を用いて色調が変わらないよう入念な検査を経て塗られます。その基準版も、経年による色あせを防ぐため2年に1度塗り替えます。ブレない……! 使う塗料は耐候性に優れるウレタン塗料。洗車機へ入れるような感じで動かしながら塗料を吹き付けます。約24時間かけて自然乾燥したら完了です。


マスキングを施して「マルーンカラー」再塗装へ!

 塗装を終えたら再度クレーンで運ばれ、別工程で点検を終えた台車とドッキング。電気系統をつないで動作試験をし、8両そろえば試運転となります。

 塗装したての車両はやっぱり輝き方が違いますね! 駅で、見るからに「よりピッカピカ」な車両に出会ったときは「新車か工場から出たてかのどちらかですね」とのことですよ。


ツヤツヤに再塗装された車体と台車をドッキング

ピッカピカ! 塗りたては「ツヤ」が違います
       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  2. 幼くてかわいらしい兄妹が4年後…… 同じポーズで撮影した“現在の姿”に「これはあかん」「よすぎて声出ました」
  3. YouTuberエミリン、体重“20キロのリバウンド”を報告 ビフォーアフターに指原莉乃が心配
  4. 安達祐実、娘の“顔出し”ショットに「口元そっくり」「似てる」の声 高校卒業で祝福の声相次ぐ
  5. 「なにわ男子」の“広告ポスター消失”に怒りの声 「盗難?事故?」憶測も…… 企業の回答は?
  6. 「うちの子が選んだ裁縫セット……」“クラスの視線ひとりじめ”なセンスに母絶句 「え?嘘でしょ」「メッチャ欲しい」と500万表示
  7. 「こういう恋したかった」 中学2年のとき付き合い始めた“同級生カップル”が11年後…… 現在の姿に大反響「すごくて鳥肌たった」
  8. 普通の塩を1500度の超高温に加熱→水に入れたら…… “衝撃の実験結果”が1600万再生「今年1番爆笑したw」
  9. 【べらぼう】「なにこの美しさ…」 新キャストの“38歳俳優”、剃髪姿に「スーパー男前」「かっこよすぎ」
  10. 「洗濯機が壊れた!」→修理を頼む前によくよく調べてみると…… 「えぇ〜」“まさかの原因”が200万表示「何度もやりました」