「ラーメン道を突き進む」AKBから経営者へ、後援者ゼロから始めた梅澤愛優香のこれから 中傷被害・週刊誌報道その後を初告白:私の人生が動いた瞬間(2/2 ページ)
「非のない中傷には絶対負けない。自分が間違っていないことにはしっかりと対応するべき」
ラーメンへの愛を自覚した 中傷被害に産地偽装報道……激動の2021年を乗り切れた原動力
―― 2021年には誹謗(ひぼう)中傷や殺害予告を受けて法的措置を採ったことが話題になりました。同時期には食材の産地偽装とやゆされた形で報じられ、経営者としても困難が続きました。あらためて一部始終をお聞きできますか?
梅澤 一言でいうと成長の時期でした。良くも悪くも、今まで経験したことないことが一度に集中して起きたので、学び成長する時期になりました。
誹謗中傷や殺害予告については、既に刑事事件で罰していただき解決しました。また産地偽造と報じられた件は、メニューの材料表記を開店当時から変更せず、そのままにしていたことが原因でした。
詳しくお話すると、ラーメンをもっとおいしくするためにと日々ブラッシュアップして進化させていく中で、お店やWebサイトで掲出していたメニュー内容の表記は、開店時のもののままで変更するのを失念していました。消費者庁への自己申告は報道前、表記間違いが発覚した時点で行いました。経緯や原因追究のための調査に必要な資料も提出し、結果として故意でしていたことではないと認められ、電話での口頭注意のみで終わり解決しました。
ただ、私自身の脇の甘さが原因でこうなってしまったことは反省の念しかありません。同時に私のミスで沢山のお客さまへご迷惑をお掛けしたことは本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。二度とこうしたミスを起こさないよう、今は材料管理を徹底して運営しています。
―― この時期を乗り切れた原動力は何だったのでしょうか?
梅澤 自分を見失わないことですかね。自分の信念とお客さまの笑顔や優しい言葉に救われました。自分は何のためにラーメン屋さんをやりたかったのか。初心(しょしん)に帰り、開店当初からお店へ通い「おいしかった」と言ってくださる常連さんの顔を思い浮かべることで、「自分が作るラーメンをおいしく食べてほしい」と気が付き、あらためてスタッフやお客さまへ感謝するようになりました。
―― 不祥事として一方的に報じられる中、その後の調査結果はスルーされていたことにフェアではないとの思いがあったとも想像します。当時、ネットでは伝わっていなかったお店の状況はどんなものだったのでしょうか?
梅澤 産地についての報道が出た直後から半年後くらいまでは、それまでと比べ2倍ほどの来客があり売上も上がりました。ミーハーというか、記事を見て「どんなもんかな」と足を運んでくださるお客さまが多かったです。そのころに来てくださったお客さまが今も通ってくださっていることが何よりうれしいです。味を気に入っていただけることは、飲食店をやる上でこの上なく喜ばしいことですから。
―― 売上以外にもこの経験から得たポジティブな影響はありましたか?
梅澤 とにかく周囲からは「心が折れないなんてハートが強いね!」と褒められました(笑)。ラーメンへの思い、ラーメン愛がとにかく強いからなんだろうねと。周囲だけでなく同業の方にも認めていただき、メッセージをいただけたことはうれしかったです。本当に感謝しかありません。これからの自信にもなりましたし、マイナスな状況でもプラスに捉える考え方でより強くなれたと思います。全てをポジティブに捉えられるようになりましたね。
―― SNSでの誹謗中傷については、「女性だから」「元アイドルだから」という理由で不当な扱いを受けた経験もあったかと思います。多くの女性が少なからず似たような経験をすることと思いますが、自身の経験からいえることは?
梅澤 自分に非のない中傷には絶対負けないこと。自分が間違っていないことにはしっかりと対応するべき、そこでちゃかしてくる人へも、ひどいものなら必ず弁護士さんに頼み、対処した方がいいと思います。
また私の話でいえば「女のくせにラーメン店主かよ」という中傷がありました。ラーメンに限った話ではないですが、いつまでも過去の価値観や偏見、型にとらわれるべきではないし、自分の考えを人に押し付けるのは絶対に良くない。時代はどんどん変わってるわけですから。ましてや今はジェンダーレスが主張されています。男はこう、女はこうという考えは捨て、みんなでいいもの、幸せになることを考え作り上げていける世の中になればいいなと思います。みんなで成長のある時間を過ごして幸せになれたらいいですね。
「おばあちゃんになっても現場に立ちたい」 これからの梅澤愛優香
―― 2021年当時は、個人的な騒動だけではなくパンデミックの時期でもありました。多くの飲食店が少なからず影響を受けましたが、梅澤さんの場合は?
梅澤 最初はとにかく「ヤバい!」と思いました。結果的には前売りお食事券をインターネットで販売したことが大きな助けになりましたね。半日で140万円分くらい売れて、当時ではまだ珍しいビジネスモデルだったので経済誌にも取り上げられました。期限は設けていなかったこともあり、3年たった今でも当時のチケットを持ってきてくださるお客さまもいます。助けてくださった方たちの中には「潰れてほしくない」という常連さんもいましたが、遠方の方で「お店にはなかなか行けないですけど頑張ってください、遠くから応援しています」とうれしいメッセージを添えてくださる方もいて本当にありがたかったです。
―― すてきな関係ですね。今後10年、20年とどんなビジョンを描いていますか?
梅澤 私は現在4店舗を経営し、それぞれ違う種類の麺料理を出しています。ですが今は海外展開も含めてこれ以上、店舗を増やすことは考えていません。
(カップ麺展開とか? という質問に)お話をいただいたこともありますが、やはり味の再現が難しくて……。例えば遠方にお住まいの方がコンビニで購入してくれたとして、店舗で出す品とは違うと分かったうえで食べてもらえても「こんなものか」と思われてしまうのが嫌で最近はそういうお話もお断りしています。
今は自分の手が届く、見える範囲でやっていきたいと思っています。自分が作りたくて作った今ある麺料理を育て、地元で長く多くの方から愛されるお店にしたいと考えています。「鎌倉に来たら沙羅善へ行きたいよね」「絹ノ郷を予約して行きたいね」と言っていただけるようなお店作りをしていきたい。私自身、おばあちゃんになっても現場に立ちたいですし、お客さんに愛され、お客さんと末永く仲良くいられる店主でありたいと思っています。
―― 梅澤さんのように、全く異なるセカンドステージへ挑もうとしている人へアドバイスをお願いします。
梅澤 やりたいと思ったら将来後悔しないためにも絶対行動に移して、自分が求める夢や理想に向かって頑張ってほしいです。自分の夢に賛同してくれて、なおかつ信じられる仲間が見つかれば最高ですね。何も知識のない状態で始めたにもかかわらず、今もついてきてくれるスタッフさんには本当に感謝しかありません。そんな方たちから一つずついただいた助けやアドバイスがあって、今につながっていると思っています。
―― 梅澤さんが成功できたのはどんな要因があったからだと分析しますか?
梅澤 まだ私自身が成功してるとは全然思っていないので大きなことは言えませんが、今の自分がこうしてあるのは、やはりやり遂げようとする強い思いと、それに賛同して一緒に頑張って助けてくれた仲間がいるからです。それと私自身が負けず嫌いなこともあったかもしれません(笑)。
―― もしご自身で「私は成功した!」と思えるタイミングがあるとすれば、それはどんなときだと想像しますか?
梅澤 たくさんの人に私が作るラーメンを食べてもらいたいというのが当初からの夢。だからどこへ行っても「梅澤さんが作るラーメンておいしいんだよね」と耳にするまでになったら、それが私にとっての成功なのだと思います。
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