徹底考察「名探偵コナン 黒鉄の魚影」 コナンファンが語り尽くす5つのポイント【ネタバレあり】:赤いシャムネコ・将来の終わりが語る(1/7 ページ)
ネタバレありで徹底考察!
劇場版コナン最新作「黒鉄の魚影(サブマリン)」について、『名探偵コナン』ファンが勝手に語り明かす緊急対談企画。前回の“ネタバレなし編”記事に続いて、今回の“徹底考察編”では、ネタバレありで作品内容について語っていく。
作中の5つのポイント「老若認証システム」「ピカイチのキャラクター」「ピンガの行動解説」「黒ずくめの組織考察」「水中ラブコメ」を巡り、コナンファンの赤いシャムネコと将来の終わりが徹底考察。記事の後半になればなるほどネタバレレベルが上がっていくので、未鑑賞の方はご注意願いたい。
“ネタバレなし編”はこちら↓
“櫻井脚本らしい”老若認証システム
赤いシャムネコ(以下、シャム) 今回の物語の中心になっているのは「老若認証システム」。AIによって、ある人のある段階の顔から、年を取った姿、若い姿をAIで自動生成し、全世界の監視カメラの情報と照合をかけられる――という仕組みです。開発者の直美・アルジェントが宮野志保(灰原)にかつて救われた過去を持っていたことから、過去の志保の顔写真をもとに現在の志保の居場所を知ろうとした。それによって子ども化した姿である灰原も引っかかってしまい、絶体絶命のピンチになる……という展開でした。終わりさんはこのシステム、どう見ました?
将来の終わり(以下、終わり) 今回の脚本を担当している櫻井武晴さんらしさがありますよね。櫻井さんは「科捜研の女」のメイン脚本家として活躍しています。このドラマはとにかく新しい科学技術を主軸に置いた作品で、ドローンやDNA鑑定を用いた捜査などはもちろんですが、実証段階の「熱音響冷却装置による遠隔殺人」や「仮想の菌類による犯罪」、はたまた「殺人AI」といったある種ぶっとんだネタなどが次々出てきます。そして櫻井さんの担当作品ではありませんが、もちろん顔認証を扱ったエピソードもあります。シーズン17、第15話「見当たり捜査の鬼/マリコVS顔面記憶男 逃亡犯500人を暴く謎のラーメン」。
シャム タイトルすごくない?
終わり いつものことです。これはAIと刑事の勘どちらが正しいか……というエピソードなので、本作とは雰囲気が違いますが、櫻井さんがこのような技術に関するアイデアをコナン映画に投入するのは意外ではありませんでした。ちなみにディープフェイクに関しても、櫻井さんとともに「科捜研」メイン脚本を担当する戸田山雅司さんが、2022年に「AIで蘇った悪魔」を書いていますね。これは25年前に死んだはずの男がビデオ通話を通し、現在進行形の毒ガステロを予告してくる。もしやディープフェイクで作られた映像に合わせてAIが話しているのではないか? という面白い設定。
科捜研についてはあと1時間くらい話したいことがあるんですが(笑)、とにかく、新技術を盛り込んだ作風になっていて、それを書き続けるために櫻井さんはいろいろな科学論文を読んでネタ集めをしていると明かしています。その積み重ねが、「ゼロの執行人」のIoTだったり、「緋色の弾丸」の電磁力を利用した長距離狙撃、そして本作に生かされているんでしょうね。
シャム 櫻井さんの最新テクノロジーのアイデアに関しては毎回ツッコミどころがなくもないですが、今年はわりとよかった気がします。
終わり 櫻井さんがパンフレットのインタビューで、「灰原がピンチに陥る原因が善意である」というふうに語っていたのが僕は印象的でした。老若認証システムは見るからにコナンと灰原を窮地に陥れそうな代物ですが、黒ずくめの組織がそのシステムを開発したわけでも、シェリー発見のために使おうと最初から思っていたわけでもない。開発者である直美が志保にかつて助けられ、「彼女にもう一度会いたい」という気持ちが、灰原を最大のピンチに導いてしまうというのがとてもよかった。
シャム 直美とシステムの話から、人種差別について描こうとしているのも僕は好感を持ちました。直美は人種差別に抵抗しているキャラクターですが、原作では、灰原の母・宮野エレーナがそうなんですよね。志保がまだお腹にいるころのエレーナが、幼き日の降谷零にその思いを示すエピソードがある。今回、灰原をフィーチャーした物語を作る上で、エレーナを踏まえたキャラとして直美が作られていったんだろうなと感じます。公開前の予告映像でも、エレーナと安室にスポットを当てたものがありましたし……。
終わり 「バイバイだね、零くん」と「バイバイだね、江戸川コナンくん」を重ねているあの予告………でもあれ予告詐欺じゃない!? エレーナ、今回の映画に出てないじゃないですか!
シャム 僕も予告詐欺だ!!! と思ったんですけど、よく見ると「予告」とは一言も書いてなくて、「特別映像」というくくりでした。
終わり 叙述トリックじゃん。
「黒鉄」アイドルウォッカ、頑張るキール、ファンサービス全開の赤井+安室
終わり 本作は登場人物がすごく多い中、黒ずくめの組織まわりをちょっとオトボケに設定することで見やすさが生まれてましたね。
シャム オトボケじゃないよ! みんな真面目にやってるよ!
終わり 真面目にやってるからのかわいさがありました。映画館でもちらほら笑いが漏れていたのが中盤、ウォッカが他の組織メンバーと話をしているシーン。灰原をさらえとジンから命令されるけど、そこにいるのはバーボン(安室=降谷)とキール(水無)とベルモット。ウォッカ以外全員ジンの言うことを聞かないメンツ。ひどい船だな~ここは! と和みました。
さらに灰原の脱出を助けるべく、キールがウォッカに脱出方法をそれとなく聞き出すシーンも最高だった。「お前何も知らないのかよ~!」みたいな感じで、知ってること聞かれるとうれしくなっちゃう。入社3年目って感じの人。
シャム なんでも喋ってくれちゃう。「大丈夫か、お前」とキールを心配までしちゃって。ウォッカ、これでまた人気出ちゃうね……。僕は今回「ジンって『クソシステム』とか言うんだ!」と興奮しました。あんなエンジニアに対してブチ切れるジン、今後見れないだろうな。
終わり 「コナン」のファンたちはジンに対していろんな気持ちを抱いていて(笑)、何度も何度も言われているのは「1話の遊園地でウォッカとふたりでジェットコースター乗ってるのかわいすぎる」「思い浮かべるシェリーの姿がなぜか裸」。あと「原作では100巻まで組織関係者以外誰一人殺せてない」とか、「愛車を褒められるとちょっとうれしそう」とか。それは好きだからこそいじりたくなっちゃう感じではあるんだけど、それはそれとして今回のジンはちゃんと残酷でよかったですよね。ヘリコプターから潜水艦へ合流していくシーンもかっこよかった。
シャム よかった……。僕がぐっときたのは冒頭ですね。ユーロポールの警察官を逃がそうとしていたキールの右肩越しに撃ち殺すジン。一気にシリアスのレベルが引き上がってよかったです。そして今回は……キールがすごくよかった!
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