スーパーでは“常温”で売られることもある卵ですが、家ではどうして“冷蔵保存”するのでしょうか?→「卵のプロ」が語る理由に納得 おすすめの保存方法も紹介(3/5 ページ)
ちゃんと理由がありました。
結局、卵はどう保存したらいいの?
では、結局のところ卵はどう保存したらいいのでしょうか? 「JA全農たまご」「日本卵業協会」はそれぞれ、以下のように回答しました。
「JA全農たまご」が推奨する保管方法
1.品質保持のため、購入後は速やかに冷蔵庫に保管し、冷蔵庫内でも温度変化が多い場所を避け、結露等の発生を防ぐようにしてください。
2.鶏卵は温度や結露のほかにもドアの開閉による衝撃によって殻にヒビが入ってしまうことがあるため、ドアポケットよりも振動の少ない冷蔵庫内の奥での保管を推奨しています。
3.現在のパックは衝撃吸収にも優れていて中の卵が割れにくく、鶏卵の鋭端部(とんがったほう)が下向きに入れられていることで品質を保つことができる点や、賞味期限が印字してあり分かりやすい点からも、パックに入れたままの保管を推奨しています。
「日本卵業協会」が推奨する保管方法
1.卵の鋭端部分(とんがった部分)を下向きに保存する
卵殻は鋭端部分が厚く鈍端部分が薄くできています。薄い鈍端部分を下にすると割れやすくそこから雑菌等が侵入しやすくなるため、鋭端部分を下向きに保存することを推奨しています。また鈍端部分を下にすると、気室が上の鋭端部分に移動(上昇)して卵内容物の動きが大きくなることも考えられるため、鋭端を下にするのが望ましいです。
2.冷蔵庫保管時はパックに入れたままで。ドアでなく振動の少ない冷蔵室等での保管が望ましい
ドアの開け閉め時に発生する振動で卵黄が動き、卵黄膜の弱体化が考えられます。卵黄膜が弱体化すると、鉄分等が卵白に移行しやすくなり、鮮度低下につながりやすいです。卵白に万一サルモネラが存在していたら増殖の心配もあります。
3.購入後水道水で洗って保管しないこと(必須)
消費者からよくある質問として、卵殻の汚れが心配で、水道水で洗って保管したいが大丈夫かというものがありますが、スーパーで販売している卵は洗浄消毒されているのでそのままの保管が望ましいです。卵殻には微細な穴が7000~1万5000個程度あるといわれ、水で洗うと浸透圧の原理で水分と細菌が一緒に卵内に入ることが危惧されるためです。
なんと、両者ともに卵パックから取り出さず、冷蔵庫のドアで保存しないことがおすすめとのこと。どっちもよくやっちゃうから気を付けねば……!
身近なのに意外と知らない卵のこと。適切に保存して、卵と安全に付き合っていきましょう。
※取材協力:JA全農たまご/日本卵業協会(順不同。五十音順)
参考文献
- 日本養鶏協会鶏卵日付表示等改訂委員会『鶏卵の日付等表示マニュアル改訂版』
- 一般社団法人日本卵業協会『タマゴのソムリエハンドブック タマリエ検定公式テキスト』
- 食品安全委員会事務局『平成22年度終了食品健康影響評価 技術研究課題の事後評価結果について』
- たまご知識普及会議“たまペディア”「たまごの国別消費量」
文:近藤仁美(こんどう・ひとみ)
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。これまでに、『高校生クイズ』『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどに問題を提供する。2023年、「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』(永岡書店)など。
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