むむむ、何かにおうぞ…… シロアリ探知犬の訓練を見てきた働くわんわんお(2/2 ページ)

» 2011年11月09日 11時45分 公開
[山本恵太,ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

探知犬ならではのメリットとは?

 ノアはアメリカ(フロリダ州)で生まれて訓練を受けた後、2006年7月20日にアサンテにやってきた日本初のシロアリ探知犬。今年で職歴5年になるベテランで、シロアリだけでなくトコジラミ(南京虫)も探知できるスーパードッグだ。

 2010年にはシロアリ探知犬のキラと、トコジラミ探知犬のサムソンが加わり、アサンテには現在3頭の探知犬がいる。3頭とも犬種はビーグルだが、ビーグルしか探知犬になれないわけではない。アメリカではラブラドール・レトリーバーなどの大型犬やミニチュア・ピンシャーなどの小型犬まで、さまざまな種類の犬が探知犬として働いているという。アサンテでは日本の住宅に合った体格と嗅覚の能力、そして人懐っこい性格が適していると判断して、ビーグルを選んでいる。

宮本記者もハンドラーを体験させてもらった

 同社がシロアリの探知に犬の助けを借りるのは、調査の際に壁や床を壊さずに済み、広い範囲を調べられるという2つのメリットがあるため。住宅によっては床下に人が入れない構造のものもあるが、探知犬なら床下に入らなくてもにおいでシロアリの有無を調べることができる。シロアリが床下から2階3階、屋根裏へと広がっているような場合でも探知犬なら短時間で広範囲を調べられ、人間に比べて素早い探知が可能だ。気になるのは探知犬の調査が正確かどうかだが、見学した訓練では迷うことなく全問正解。現場でも確かな結果を出しているという。

 また最近はトコジラミ探知の仕事も増えている。トコジラミの被害は1960年代以降下火になっていたが、ここ3〜4年、海外からの旅行者の増加に伴い、宿泊施設での発生が多くなってきている。調査にかかる時間は、一般的なホテルの客室の広さなら1〜3分で、部屋を1周するだけ。人間の目視による発見率は30%にとどまるが、探知犬なら90%を超える。

シロアリ探知犬は仮の姿……?

 ノアのハンドラー、丸山さんはアサンテ法人営業部の係長。アサンテではノアを語り手とした「しろあり犬BLOG」を公開しており、丸山さんは丸ちゃんの愛称でたびたび登場している。ノアにとってはお父さん的存在のようだ。ペットは飼い主に似ると言われるが、丸山さんとノアも……似ている気がする。

 もっとも、ノアは丸山さんのペットではないので、常に一緒にいるというわけではない。普段はほかの探知犬たちと一緒に八王子のドッグスクールで訓練を受けながら暮らしていて、仕事が入ると丸山さんと合流して現場へ向かう。現場へ向かう車の助手席には「ノア専用車」のシールが貼られている。

 現場でお客さんに記念写真を頼まれることもあるという人気者のノアだが、探知犬としての仕事もこなす一方で、アサンテのPR犬としても活躍する。内定式や研修会などの社内イベントや、社外でのイベントにも参加して訓練の様子を実演したり、ハンドラーの体験会を行っている。

 りりしい顔つきに数々の実績。スーパードッグを記者たちが絶賛していると、丸山さんが、それは仮の姿だと教えてくれた。ユニフォームを脱ぐと、普通の犬と変わらない。ごろんごろん床を転がり始め、遠吠えをしたりあお向けになってお腹をなでてもらったり、想像以上のリラックスモードだった。

ユニフォームを脱ぐと……
自由だ!
気持ちいい!


ユニフォームを脱いでリラックス!

日本での探知犬普及を目指して

 日本でもどんどん活躍してもらいたいシロアリ探知犬。アサンテのほかには熊本の会社が1頭導入しているが、トコジラミ探知犬を合わせても、日本にいる探知犬は数頭だけ。数百頭の探知犬が働いているアメリカに比べると圧倒的に少ない。

 この差は法律の違いが大きく関係している。アメリカでは中古物件を売買する際、シロアリがいないという証明が必要な州がある。そういった証明に探知犬の調査が認められているため、探知犬が広く普及する要因となっている。

 日本では中古物件を売買する際にシロアリ調査は必須ではないため、調査が行われるのはシロアリ被害が出てからが多い。被害箇所、つまりシロアリの居場所が分かっているため、アメリカほど探知犬の必要性が高くなく、普及が進んでいないというのが現状だ。

「アサンテ探知犬チーム くんくんズ」結成イベントの様子

 しかし最近は海外からの旅行者の増加に伴いトコジラミの被害も増えており、アサンテではこれまでつちかった探知犬の育成ノウハウを生かし、探知犬の国内育成に力を入れている。今年6月には3頭の候補犬が加わり、合計6頭の「アサンテ探知犬チーム くんくんズ」を結成。シロアリ対策やトコジラミ対策のPRに力を入れていくという。



【読者プレゼントのお知らせ】探知犬ぬいぐるみ(3名)

 11月30日まで、「ねとらぼ」「ITmedia ガジェット」合同プレゼントキャンペーンを実施中です。こちらで探知犬「ノア」のぬいぐるみを抽選で3名様にプレゼントします。応募はこちらから。



前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/01/news003.jpg パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. /nl/articles/2412/01/news031.jpg 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. /nl/articles/2412/03/news082.jpg 「ほ、本人……?」 日本に“寒い国”から飛行機到着→降りてきた“超人気者”に「そんなことあるw?」「衝撃の移動手段」の声
  4. /nl/articles/2412/03/news111.jpg 才賀紀左衛門、娘とのディズニーシー訪問に“見知らぬ女性の影” 同伴シーンに「家族を大切にしてくれない人とは仲良くできない」
  5. /nl/articles/2412/02/news009.jpg 【今日の難読漢字】「誰何」←何と読む?
  6. /nl/articles/2412/05/news006.jpg 「今やらないと春に大後悔します」 凶悪な雑草“チガヤ”の大繁殖を阻止する、知らないと困る対策法に注目が集まる
  7. /nl/articles/2412/03/news148.jpg 武豊騎手が2024年に「武豊駅に来た」→実は35年前「歴史に残る」“意外な繋がり”が…… 街を訪問し懐古
  8. /nl/articles/2412/03/news092.jpg 大谷翔平、“有名日本人シェフ”とのショット 上目遣いの愛犬デコピンも…… 「びっくりした!!」「嬉しすぎる」
  9. /nl/articles/2412/03/news055.jpg ハローマックのガチャに挑戦! →“とんでもない偏り”に同情の声 「かわいそう」「人の心とかないんか」
  10. /nl/articles/2412/03/news179.jpg 「口座や住居が……」 坂口杏里、SNSで“重要個人情報を垂れ流し” 「かなりまずい状態」「大丈夫じゃなさそう」心配の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
  4. 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
  5. 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
  6. パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
  7. アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
  8. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  9. 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
  10. PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」