「ソースはねとらぼ」と言われたい 月星食品と“ねとらぼソース”を作ってみた:ほんとに作ったよ(2/3 ページ)
我々もソース作りにチャレンジ!
次に編集部でソースの味を考えることにした。お好みソースやウスターソースなど種類があるなか、多数決でとんかつソースに照準を絞る。味については皆ド素人だが「自分たちに厳しく、読者には甘い」編集部となることを願って、ちょっと甘めなソースを目指すことにした。だがそれだけではつまらない気も……。もうひとひねり欲しいところだが一体どうすればいいんだ。アイデアに煮詰まり、長沼社長に電話で泣きついた。
すると「まだ製品化してないですが、糖蜜仕立てでちょっと甘めのソースに、カレー粉を加えたスパイシーなとんかつソースを企画したことがあります。それならイケるかもしれません」とのこと。それってつまり、辛そうで辛くない少し辛いってことか!? どこぞの食べるラー油みたいじゃないか。「それだ!」「おいしそう」と編集部が盛り上がる。「どうなるか分かりませんが、まあやってみましょう」と、少し不安げな長沼社長の声が電話の奥で聞こえてきたが、作ってみることになった。
ソース作りは、玉ねぎ、トマト、りんごなどの野菜と果物を粉砕し、8時間じっくり煮込むところから始まる。それを裏ごししたものに、調味料や約20種類のスパイスを合わせ、さらに3時間人の手で絶えずかき混ぜながら加熱する。この後もう1度裏ごしし、口当たりをなめらかに。これでソース自体は完成だが、出荷の前には金属探知機にかけたり、殺菌したり、梱包作業が必要になる。
製作期間は通常2、3カ月かかり、長いと半年以上に及ぶこともあるそうだが、気の短い我々はできるだけ早くソースを手に入れたい。そこでちょっとイレギュラーな方法ではあるが、ベースとなるとんかつソースには既存の商品を使い、そこに調味料やスパイスを加えて作ることにした。さあ、ソース工場へ乗り込む時がきた。2時間電車に揺られていざ足利市へ。
工場に到着したら白い作業服に身を包み、全身を殺菌消毒して中へ。「さあ、作りましょうか」と長沼社長が鍋に火をかける。ベースとなる糖蜜仕立てのとんかつソースは甘くてコクがあり、これだけでもおいしい。そこへあらかじめ調合した「秘密のスパイス」を投入した。ソースの色が徐々にカレーっぽく変化してきたぞ。スパイシーな匂いも漂っている。記者の腹もぎゅるるっと鳴る。
一方、長沼社長は怪訝な表情で「少しとろみが強すぎるかなぁ」「カレーの香りが弱い」と首をかしげ、何度も味見をしながら微調整している。記者もひと口味見。おおお、うまい! 少しドロッとしているが、カレーととんかつソースの中間のような味がする。試作品の味に大満足だ。だが長沼社長は「どうですかねー、これでいってみますか?」とどこか不満気な表情。「もう少し改良が必要だなぁ……」ともこぼしていたが、取材時間に限りがあるので、とりあえず今日はここまで。アツアツの試作品を瓶に詰め、編集部へ戻った。
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