「きようも おきやきさん きませんでした」――“あの”ビカスさんの「2号店」が原宿に開店!

悲しすぎるツイートが話題になった、ネパール人店主・ビカスさん。あれから1年半、原宿にオープンしたというビカスさんの「2号店」へ行ってみました。

» 2012年05月23日 21時02分 公開
[池谷勇人,ITmedia]
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「ここまでなると思ってませんでした。熱出ちゃいそうね」

 1年半前、カタコトの日本語でそうつぶやいていた、ネパール人店主のことを覚えているだろうか。

 名前はプラダハン・ビカス(@daisuki_vikas)さん。ビカスさんのお店「だいすき日本」がネットで話題になったのは、2010年11月のことだった。ビカスさんは今、原宿にオープンした「2号店」で、新しいお客を迎えるため元気に働いている。

画像 「だいすき日本」の店主・ビカスさん

 ビカスさんが中板橋にネパール料理店を開いたのは、2010年の10月。しかし開店当初はまったくといっていいほどお客が入らず、苦しい日々が続いた。ビカスさんは当時の辛さをこう振り返る。

「お金もなかったから、このままお客さんこなかったら、3カ月後にはホームレスだと思った。未来の自分がイヤでも思い浮かんで、ほんとに辛かった」(ビカスさん)

 流れを変えたきっかけはTwitterだった。ビカスさんのつぶやきを、知人が了承を得てTwitterに投稿すると、その内容がTwitter民たちの目にとまった。



 「今日もとっても辛いランチでした」「ごめんなさい、今日もお客さん、来ませんでした」――。あまりに弱気なツイートはたちまち拡散され、「なんとかしてあげたい」という「支援RT」の輪が広がった。一気にフォロワーも増え、小さなお店には「ビカスさんに会いたい」「ビカスさんのお店で食べたい」という人たちが行列をなすようになった。

 漢字は読めないが、ひらがなとカタカナから、だいたいの内容は理解できる。当時はリプライを読みながら、毎晩のように枕をビショビショに濡らすほど泣きじゃくったという。

「なんで顔も見えない、外国から来た、ただの貧乏なおじさんのためにそこまでしてくれるの? みんなわたしのことやさしいって言うけど、ぜんぜん逆だよ。みんなの方がずっとずっと、わたしより10倍もやさしい」(ビカスさん)

画像 Twitterは携帯電話でチェック。漢字は読めないけれど、何が書いてあるかはだいたい分かるそうだ

 ビカスさんのフォロワー数は現在、約7万9000人。さすがに拡散当時の熱狂は落ち着いたものの、今でもビカスさんに会いに来る人は後をたたないという。

 ――そして、ようやくハナシは現在に至る。5月22日、ビカスさんの新しいお店が、原宿にオープンした


「あした5月22日、だいすき日本原宿オープンします。これからもがんばりますので、よろしくお願いします。ビカス」

 場所は原宿駅から徒歩8分、北参道駅から徒歩4分。当初はお店を増やすことに迷いもあったが、ちょうど好条件の物件が見つかったことと、以前から「もっと都心にあれば足を運びやすいのに」という要望が多かったことから、思い切って出店に踏み切った。席数もちょっと増え、1号店よりも多くのお客さんを迎えられるようになった。

画像

画像 新しくオープンした原宿店。中板橋店よりひとまわり大きい

 取材のついでに、自慢のネパールカレーを注文する。インドカレーに近いが、ネパールではナンよりもライスの方が主流なのだという。スプーンですくって口に運ぶと、なるほど、ごはんによく合う、やさしい味だ。注文するとき、さりげなく「辛いの大丈夫?」と聞いてくれたのも嬉しかった。

 今でもビカスさんのツイッターには、多くの人からリプライがあるという。店名にあるとおり、もともと日本のことは大好きだったが、今ではもっと好きになった。

 「たった一言なのに、怖いくらいのパワーがある。ビジネスには厳しいけど、日本人の誰かを助ける気持ち、ほかの人を思う気持ちは本当にすごい」(ビカスさん)

 今後しばらくはスタッフ育成のため、ビカスさんは原宿店と中板橋店を不定期に行き来する形になるそう。ビカスさんに会いたい人は、事前に電話で確認してから行くのがオススメだ。

画像 注文したダブルカレー+タンドリーチキン。カレーは日替わりで、この日はチキン+キーマカレーの組み合わせだった

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