我ながらひどいと思います――人気主婦ブロガー「まんしゅうきつこ」さんの正体:鬼才現る(1/2 ページ)
ようこそ、斜め上を行くワンダーランドへ。
2012年も残すところあとわずか。LINEの隆盛をはじめ、ソーシャルネットワークがより浸透した1年だった。そんな中、彗星のごとく現れ、注目を集めたブログがある。それが「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」だ。当初は“マン臭きつ子”だったが、本人の家族からの苦情により、今年7月に平仮名表記に変更した。
あまりに強烈なタイトル・ペンネームに加え、内容も名前に劣らず面白いとあって人気が急上昇。更新頻度はそれほど高くないが、5月の開設直後から熱心な読者を獲得している。開設当初98人だったTwitterのフォロワーは2万人を突破。Googleで「まんしゅう」と入力すると、予測変換候補に「満州事変」と並んで「まんしゅうきつこ」が表示されたりする。中身は、本人の実体験などが淡々と描かれ、下ネタはあくまでスパイス。漫画家アシスタントだったという実力を感じる可愛らしいイラストとテンポのある文章、斜め上をいくオチなどが持ち味だ。
ブログのエピソードを1つ紹介しよう。実弟が包茎手術したときのこと。お年頃の弟は「1カ月間できるだけ勃起させない」という大事なアフターケアを案の定しくじり、患部から大出血してしまう。痛みで激しく動揺する弟、血がにじんで国旗みたいなホワイトジーンズ、それを見守るしかない姉……それらが絶妙な間で描かれており、読み手をじわじわと引きこんでいく。「腹がよじれる」「涙出たw」とネットで話題になったエントリーだ。
この天衣無縫なブログの持ち主“まんしゅうきつこ(以下、まんきつ)”さんとは一体何者なのか。ペンネームに込められた意味とは――実際に本人に話を伺うことができた。なお、まんきつさんはこれまで一切メディアで顔出ししていないが、巷で噂されている「まんきつさんは超美人」説は紛れも無い真実であったことをはじめに断っておく。
「下ネタ耐性」を培った漫画家アシスタント時代
まんきつさんに肩書きを尋ねると「主婦です!」という答えが帰ってきた。創作活動の場はブログがメイン。世間では漫画家として紹介されることも多いが、「まんしゅうきつこ」としてほかの媒体に出演したり、イラストの仕事を請け負うようになったのは、ブログが話題になってからの話で、それまでに漫画家として活動していたわけではない。
若い頃に目指していた職業は「荒木飛呂彦さんのアシスタント」というなんともピンポイントなもの。「ジョジョの奇妙な冒険 第3部」にドハマリし、ジョジョの背景画を描けるようになりたいと憧れた。荒木作品の話題となると「魔少年ビーティー、武装ポーカーほか、すべて読んだ」「好きなキャラはイギーと承太郎で、吉良吉影と同じみずがめ座のA型です」など、フリークぶりを隠さない。
学生時代は「週刊少年ジャンプ」などのアシスタント募集コーナーを頻繁にチェックする日々。なかなかチャンスが訪れないと諦めかけた時、男女問わず経験不問で募集していた、江川達也さん(ブログのK先生)のアシスタントとして採用されることに。そこで漫画のイロハを教わった。お色気シーン満載の「東京大学物語」などで知られる江川さんだけに、卑猥な言葉が日常的に飛び交う職場には初めこそ驚いたが、次第に慣れていき、「下ネタ耐性」は間違いなくこの場所で培われたという。
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