脳天貫くウンコの香り→そして昇天 世界一臭い食材を大人が泣きながら食べてみたウンコ×下水×動物園=無理

新宿ロフトプラスワンで開催された「世界のくさウマ実食会」。“世界一の臭さ”と言われるシュールストレミングをはじめ、世界中の「くさウマ」食材を食べ尽くすイベントだ。

» 2013年01月30日 21時04分 公開
[池谷勇人,ITmedia]

 世界一臭い食べ物というのは、一体どれくらい臭いのか――。

 新宿ロフトプラスワンで1月29日、世界の臭い食べ物をみんなで食べるトークライブ「世界のくさウマ実食会」が開催された。入場時、「このイベントに関しての苦情は一切受け付けません」という念書にサインしないと入れてもらえないという念の入れよう。当日出演食材の中にはもちろん“世界一臭い食べ物”として有名な「シュールストレミング」の名前もあり、くさウマ好きたちの注目を集めた。

 シュールストレミングのほかにも“世界で2番目に臭い”と言われる韓国の「ホンオフェ」、中国の「臭豆腐」などなど、くさウマ界の実力者たちが一堂に会し、しかもすべて試食可能という夢のイベント。筆者も会社で翌日「臭っ!」と言われるのを覚悟で参加してきたので、会場で出された「くさウマ食材」たちの味と臭いをリポートしよう。

画像 “缶詰博士”として知られる黒川勇人さん(左から2番目)が中心となり、さまざまな「くさウマ食材」を紹介

まだまだ序の口? 「モンドールチーズ」

 1品目は、冬場のこの時期にしか食べられないという「モンドールチーズ」。関西を中心に“流しのチーズ屋”として活動している、チーズ魂(@cheese_session)さんが、この日のために熟成させたという逸品を持ってきてくれた。

 中がトロトロでやわらかく、スプーンですくって食べるのがモンドールチーズの特徴。濃厚なカマンベールチーズのような味で、食べると舌の上にぷーんと塩味と苦みが広がる。苦みがかなり強いので好き嫌いがハッキリ分かれそうだが、ニオイはそれほどキツくなく、おいしく完食することができた。

画像 小さな桶のような入れ物に入ったモンドールチーズ。中はトロトロで、スプーンで取り分けて食べる

画像 右がモンドールチーズ。左はヤギのチーズだそうで、こちらもおいしかった

下水と動物園のハーモニー 「臭豆腐」

 続いて出てきたのは中国の「臭豆腐(しゅうどうふ)」。Wikipedia先生によると「植物の汁と石灰等を混合し、納豆菌と酪酸菌によって発酵させた漬け汁に豆腐を一晩程度つけ込んだ物」だそう。表面はちょっと緑がかった灰色で、パッと見た感じは蟹味噌のペーストのように見える。

画像 日本だと瓶詰めで売られているそう。そのまま食べてもいいが、中国では厚揚げにして食べることも多い

 顔を近づけてみると、唐突にすさまじいウンコ臭が鼻から脳天を貫いた。身近な臭いに例えるなら、下水と動物園の臭いをミックスしたような感じ。あるいはウンコはウンコでもとびきり体調が悪い時のウンコである。こ、これは脳が全力で「食べるな」と言っている気がする!

 とりあえず爪ようじの先にちょっとだけ付けて食べてみる。味噌のような濃厚なしょっぱさに続いて、フレッシュなウンコ臭が口の中いっぱいに広がった。ハイ無理! これは無理! あやうく吐きそうになり、慌ててお酒で流し込んだ。

画像 これが臭豆腐。こうして写真を見るだけでも臭いがよみがえってくる……

 結局、ほんのひとなめしただけでギブアップ。超神水を一口なめて悶絶したヤジロベーもきっとこんな気分だったのかもしれない。また相当しつこい臭さのようで、何度お酒で口をゆすいでもウンコ臭さがなかなか消えないのにも困った。

国内最“香”峰の実力は? 「くさや」

 3番手はご存じ、日本の「くさや」。「しょっちる」と呼ばれる汁につけ込んだ魚の干物で、焼くときにものすごい臭いがするのが特徴。今回はなんと、国内では最“香”峰とされる「新島産のくさや」がふるまわれた。

 実はくさや初体験だったのだが、一口食べた感想は「おいしい!」。焼くときは確かに強烈なウンコ臭(下水+洗ってない犬+魚の生臭さ)がするものの、小皿に取り分けられてみるとそこまで気にはならない。普通の干物よりうまみが濃く、好きな人が多いのもうなずける味だった。

画像 会場ではムロアジとトビウオのくさやが提供された。初めて食べたけど、おいしい!

鼻をつくアンモニア臭 「ホンオフェ」

 4番手は“世界で2番目に臭い”と言われる韓国の「ホンオフェ」が登場。発酵させたエイの刺身で、エイならではの強烈なアンモニア臭が特徴だ。

 これまでのウンコ系臭さとは明らかにジャンルの違う臭さで、「臭豆腐は平気でもホンオフェはダメ」という人もいるとか。食べてみると、なるほど、噛めば噛むほど身の中のアンモニアがしみ出てきて、口の中がちょっとしびれる感覚もある。

 ただ食べられないというほどではなく、これはなんとか完食。キムチや豚肉と一緒に食べるのがオススメの食べ方だそうで、そのとおり試してみたところ、確かにキムチの辛さと酸っぱさがうまくアンモニアの臭さを中和してくれた。ホンオフェ自体には薄い塩味がついていて、刺身というよりカルパッチョのような感じだった。

画像 右下に見えるのがホンオフェ。キムチ、豚肉と一緒に食べればなんとか……

世界一の貫禄 「シュールストレミング」

 そして最後はもちろん、“世界一臭い食べ物”ことスウェーデンの「シュールストレミング」の登場だ。シュール=酸っぱい、ストレミング=ニシンの意味で、ニシンをタルに詰めて8週間熟成させたのち、さらに缶に詰めて発酵させたもの。臭いの強さは納豆の20倍と言われ、汁が服やカーペットなどに付いたら捨てるしかない、というくらいデンジャラスなシロモノだ。

画像 黒田さんが手に持っているのがシュールストレミングの缶

画像 安全に配慮し、今回はステージ上での開缶は断念。事前に外で開封し、中身だけを取り出しておいたそう

画像 先陣を切って食べる黒田さん

画像 ガブッといったー!

 説明ののち、いよいよ客席にシュールストレミングが配られる。臭豆腐は顔を近づけなければ大丈夫だったが、シュールストレミングは隣のテーブルに置いてあるだけで顔をしかめたくなる臭い。これが世界一……! ニオイはやはり王道のウンコ系で、加えてタクアンのような発酵臭も感じられた。

 今回は現地の伝統的な食べ方にのっとり、小さく刻んだシュールストレミングを薄いパンの上に乗せ、さらにジャガイモ、タマネギ、トマト、バターなどと一緒にいただいた。ドキドキしながら口に含むと……あれ? タマネギ、トマトのおかげでかなり臭みが軽減され、意外にイケる。味は塩辛というかアンチョビのようで、パンにほどよい塩気がマッチ。そのままもりもりと食べ進み、すんなり完食してしまった。シュールストレミング、全然いけるじゃん!

画像 こんな感じで食べるのが伝統的食べ方だそう。トマトの下に、小さく刻んだシュールストレミングが

画像 缶の中に入っていた汁を嗅がせてもらう参加者たち。この汁が1滴でも服についたら一巻の終わり

「臭豆腐」だけは無理でした

 個人的にランキングを付けるなら、臭豆腐>>>(越えられない壁)>>>ホンオフェ>シュールストレミング>くさや>モンドールチーズの順でキツかった。臭いの強さで言えばシュールストレミングが圧倒的だったが、タクアン臭がけっこう強いため、こちらはまだ脳が「食べ物」だと判断してくれたのだと思う。対する臭豆腐はまさにウンコそのもので、口に入れた瞬間、頭からつま先まで下水に浸かったような錯覚に陥った。他の食材は一応すべて完食したが、臭豆腐だけは最初のひとなめだけでギブアップしてしまった。

 あと、臭豆腐と並んで臭かったのが、くさやを作る時に漬ける「しょっちる」。特別にちょっとだけ味見させてもらったのだが、たった一滴手のひらに垂らしただけなのに、その後石けんでいくら洗っても臭いが取れず、その手で触った手袋や服にまで臭いが移ってしまうなど大惨事に。1日経ってようやく臭いが薄れてきたが、このままずっとこの臭いが取れなかったらどうしようかと本気で焦った。

 イベントは大盛況で、平日の開催にもかかわらず会場は満席。ぜひまた開催したいとのことだったので、今回参加できなかった人は第2回の開催をお楽しみに。

画像 この真っ黒な液体が「しょっちる」

画像 1滴だけ手に垂らしてもらった。味は塩辛く、臭いはやっぱりウンコ系だった

画像 おみやげに物販コーナーでシュールストレミング購入。ちなみにこれで5000円!

関連キーワード

イベント | 缶詰 | スウェーデン | グルメ


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  2. /nl/articles/2412/20/news034.jpg 「博物館行きでもおかしくない」 ハードオフ店舗に入荷した“33万円商品”に思わず仰天 「これは凄い!!」
  3. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. /nl/articles/2412/20/news050.jpg 「マジかーーー!」 新札の番号が「000001」だった…… レア千円を入手した人が幸運すぎると話題 「555555」の人も現る「御利益ありそう」「これは相当幸運」
  5. /nl/articles/2412/20/news148.jpg 浅田真央、男性と“デート” 驚きの場所に「気づいた人いるかな?」
  6. /nl/articles/2412/20/news016.jpg 身内にも頼れず苦労ばかりの“金髪ギャルカップル”→10年後…… まさかまさかの“現在”に「素敵」「美男美女でみとれた」
  7. /nl/articles/2412/18/news144.jpg 海岸で大量に拾った“石ころ”→磨いたら…… 目を疑う大変貌に「すごい発見!」「石って本当にすてき」【カナダ】
  8. /nl/articles/2412/18/news047.jpg トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  9. /nl/articles/2412/15/news077.jpg 生後1カ月の保護子猫、後頭部を見るとあのアルファベットが……→9カ月の現在にびっくり 「プレミアム猫」「本当にPですね」
  10. /nl/articles/2412/19/news190.jpg 辻希美、17歳長女・希空に「ダサすぎるって」とツッコんだ格好 
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」