最大限の“痛さ”で札幌の新名物に 長栄交通の「痛タク」がつくるフリー経済すごいぜ痛タクシー(1/3 ページ)

エヴァやバイオハザードとのコラボでも注目を浴びた長栄交通の痛タク。広告料や版権などのお金のやり取りをせずに実施することで最大限の“痛さ”を実現している。

» 2013年05月24日 11時00分 公開
[岡田智博,ねとらぼ]

 北海道・札幌で、一風変わったタクシーを目にするようになった。

 エヴァンゲリオンやバイオハザードのラッピングに始まり、見慣れないキャラクターやアニソンで活躍する歌手の写真をデザインした車両もある。広告が一部に施されたラッピングタクシーの存在を耳にすることはあるが、でかでかと車体の全面にキャラクターをラッピングした痛車ならぬ「痛タク」が、数多く目につく都市は札幌だけといっても過言ではないだろう。

画像 す、すごく痛いです
画像 アニメ「Fate/Zero」エンディングテーマ曲などで活躍の札幌出身の歌手、藍井エイルさんのラッピングタクシーも走行中
画像 本人も搭乗

 それもこのタクシー、広告料や版権などのお金のやり取りをせずに実施することで、最大限の“痛さ”を実現できたというのだ。痛車とフリー経済との関係、より一層興味をそそられる話ではないか……。ということで、「痛タク」を考案し、その展開に1人で奔走する長栄交通(札幌市)営業企画課長の竹内紀仁さんに話を聞いてみた。

札幌の新たな名物に

 昨年8月、観光名所としても知られる北海道庁の赤レンガ庁舎で、北海道産ベリー類を擬人化した「リトルベリーズ」のPRイベントが開かれた。このとき披露された痛タクは長栄交通がラッピングしたものだ。ちなみにリトルベリーズは、初音ミクでおなじみの地元企業クリプトン・フューチャー・メディアが絵師のコーディネーションやキャラクター作りに協力している。

画像 北海道庁での「リトルベリーズ」痛タク発表の模様
画像 全面ラッピングです

 今年の3月までは、同じく札幌に本社を持ち、ガイナックスのモバイル向け公式コンテンツを展開するメディア・マジックが当地にてプロデュースした「エヴァンゲリオン展 札幌」にあわせ、エヴァのラッピングタクシーを展開した。同社が痛タクを始めたのはほんの1年前のことだが、こうしたコラボの実績を重ねることで、今や札幌の新たな名物として浸透し始めている。

画像 今年2月末の開催期間まで走行していた「エヴァンゲリオン展 札幌」バージョンのラッピングタクシー

「痛タク」は広告ラッピングのタクシーではない

 痛車の“痛さのインパクト”は、車体にどれだけ大きく効果的にキャラの世界観を表現できるかが決め手となる。長栄交通の痛タクはそのインパクトを高めるためにコラボを無料で行っていると、竹内さんは明かす。

 実はラッピングタクシーというのは、各自治体が定めている屋外広告物の規制にあわせて、広告扱いとなるとその露出面積に制限が生まれてしまう。規制に従っていると、ただキャラクターが小さく貼ってあるだけになってしまい、世界観が表現しづらい。痛いことがデザインになっていない、本当に痛い車体になってしまう。そこで広告ではなく、会社独自のデザインとしてのラッピング扱いで展開することで、世界観を持った大胆なグラフィックのタクシーを実現した。

 とは言え、痛タクを制作するには最低でもラッピングのための費用が1台あたり何十万円もかかり、コストにシビアなタクシー会社にとってメリットが見出せない冒険であると言える。それも長栄交通は札幌でも小規模なタクシー会社。そこをなぜ踏み切ったのか。

 「実は運転手さんのためになるのです」と竹内さんは意外な回答をする。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2409/09/news034.jpg 猛毒ガエルをしゃぶった30分後、口がとんでもないことに…… 直視できない異常症状に「死なないで」「この人が苦しむってよっぽど」
  2. /nl/articles/2409/07/news027.jpg “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  3. /nl/articles/2409/08/news032.jpg 「コレ入れると草が生えない」 外構工事のプロがやっている“究極の雑草対策”に注目
  4. /nl/articles/2409/10/news035.jpg 米人親友に日本土産を渡したら……「もうアメリカのは食べたくない」と言った食べ物は? 意外な和食への高評価にも驚きの声
  5. /nl/articles/2409/07/news032.jpg 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  6. /nl/articles/2409/10/news083.jpg Apple「iPhone 16」を発表 ピンクなど新色3つ追加、カスタマイズ可能なボタンも
  7. /nl/articles/2407/29/news021.jpg 貝をも砕く怪力魚に“指を砕かれてみる”実験に絶句…… 「親指がしばらく使えない」予想外の結末に「不謹慎ながら草」
  8. /nl/articles/2409/09/news024.jpg 「嘘だろ」ネットで買ったメダカの卵を育てた結果…… ショックが隠せない“事実発覚”に「びっくりしました」「わたしも……」
  9. /nl/articles/2409/10/news147.jpg 本田真凜の『ONE PIECE』ビビ役が再び話題 「まさに王女」「美の極み」と絶賛の声 アイスショーでの美しすぎるコスプレ姿
  10. /nl/articles/2409/09/news010.jpg 妻が自腹で古民家を購入→DIYで“ガタガタのトイレ”をリフォームしたら…… 新築同然の仕上がりに「ここまでできるなんて」「明るくてきれい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  3. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  4. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声
  5. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  6. 猛毒ガエルをしゃぶった30分後、口がとんでもないことに…… 直視できない異常症状に「死なないで」「この人が苦しむってよっぽど」
  7. 33歳の「西郷どん」二神光さん、バイク転倒事故での急逝に衝撃 1年前の共演者は“願い”明かし「叶わないなんて」
  8. 「コレ入れると草が生えない」 外構工事のプロがやっている“究極の雑草対策”に注目
  9. 「へー知らんかった」 わずか7年で“消えた駅” 東京メトロが明かす“知れば納得の歴史” 「だからあんなに……」
  10. 秋葉原のトレカ店が“買い占め被害” 近隣店とその常連客が共謀し“全口購入の人員確保” 「大変遺憾で残念な限り」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
  2. 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
  3. 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
  4. 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  5. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  6. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  7. 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
  8. 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」