艦これ艦娘“戦歴的”プロフィール「三隈」編:ほかの姉妹より幸せだったかも
その経歴から「薄幸の艦娘」と思われがちだったりするが、いやいや、けっこう充実した戦いぶりだったんじゃないのかなあと。
軍令部の性能要求ブラック過ぎる
艦隊これくしょんの9・25システムアップデートで“第5-2海域ドロップ”となった重巡洋艦「三隈」は、最上型2番艦にして1935年(昭和10年)8月29日三菱長崎造船所の生まれ。最上型の4姉妹は、最初(書類上はずっと)主砲に15.5センチを採用した軽巡洋艦として登場して、途中20.3センチ砲に換装した。こんなややっこしいことになった理由は、各国海軍が保有できる軍艦の“量”(数でないことに注意)を制限した「ロンドン海軍軍縮条約」が1930年(昭和5年)にできたため。
この条約で日本は、「基準排水量1万トン以内で主砲に20.3センチまで搭載できる重巡洋艦を10万8400トンまで」「基準排水量1万トン以内で主砲に15.5センチまで搭載できる軽巡洋艦を10万450トンまで」持てることになった。ところが、当時の日本海軍は、重巡洋艦の“持分”を高雄型4隻作ったところで使い切ってしまいそれ以上重巡洋艦を作ることができない。一方、軽巡洋艦の“持分”は、あと3万5655トンだけ残っていた。
そこで、この残りの重さで“重巡洋艦並みに強い”軍艦を1個戦隊4隻分作るため、基準排水量が8500トンで主砲に15.5センチを三連装5基15門載せた“軽巡洋艦”を設計した。これが最上型だ。当初計画では、1万トン級重巡洋艦相当の戦闘力と防御力に加えて、37ノットというこれまで以上の高速を発揮する機関を基準排水量8500トンに詰め込もうとしたが、もちろん収まるわけがない。
過度な軽量化(もともと船体を支える骨組みの鋼材に軽量化の穴を開けていたが、さらに、その穴を増やしたりしていた)を進めた結果、1番艦「最上」と2番艦「三隈」は公試で船体亀裂、ゆがみ、砲塔旋回支障が発生して改正工事、第4艦隊事件で強度不足によるシワが発生して性能改善工事と、不具合を直すための“予備艦”時代が1938年まで続くことになる。結局、すべての工事が終わった状態で基準排水量は1万2000トン近くまで達し、公試時の最高速力は34.735ノットにとどまっている。
「三隈」は、1942年6月のミッドウェー海戦で沈没してしまうので太平洋戦争で戦った期間は短い。とはいえ、緒戦で「最上」や駆逐艦「敷波」、第5水雷戦隊の「名取」に第11駆逐隊「初雪」「白雪」「吹雪」、第5駆逐隊とともに米重巡洋艦「ヒューストン」と豪軽巡洋艦「バース」を撃沈した1942年3月1日のバタビア沖海戦は有名だ。
しかし、三隈(というか最上型4姉妹)の戦歴としてそれ以上に注目したいのが、地味ながらも日本の水上戦闘艦艇が成功した唯一の通商破壊戦「ベンガル湾機動作戦」だ。この作戦で三隈と最上、駆逐艦「天霧」で構成する馬来部隊南方隊は、4月6日にインド本土東岸のCocanada港沖まで進出、所属水偵が発見した敵商船5隻を午前11時から午後3時にかけて断続的に撃沈している。この作戦における三隈の消費弾数は主砲120発高角砲22発(熊野と鈴谷も駆逐艦「白雪」とともに馬来部隊北方隊を編成してインド本土Pizagapatam沖まで進出し敵商船8隻を沈めている)。
ただ、この作戦は脱出が遅れた敵商船を掃討するという短期間の戦術的な通商破壊という側面が強く、独海軍の水上艦艇が行った長期間遠距離航海による戦略的通商破壊戦とは性質が異なると言えるだろう。

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