艦これ艦娘“戦歴的”プロフィール「三隈」編ほかの姉妹より幸せだったかも

その経歴から「薄幸の艦娘」と思われがちだったりするが、いやいや、けっこう充実した戦いぶりだったんじゃないのかなあと。

» 2013年10月21日 09時15分 公開
[長浜和也,ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

軍令部の性能要求ブラック過ぎる

 艦隊これくしょんの9・25システムアップデートで“第5-2海域ドロップ”となった重巡洋艦「三隈」は、最上型2番艦にして1935年(昭和10年)8月29日三菱長崎造船所の生まれ。最上型の4姉妹は、最初(書類上はずっと)主砲に15.5センチを採用した軽巡洋艦として登場して、途中20.3センチ砲に換装した。こんなややっこしいことになった理由は、各国海軍が保有できる軍艦の“量”(数でないことに注意)を制限した「ロンドン海軍軍縮条約」が1930年(昭和5年)にできたため。

「艦これ」の「三隈」

 この条約で日本は、「基準排水量1万トン以内で主砲に20.3センチまで搭載できる重巡洋艦を10万8400トンまで」「基準排水量1万トン以内で主砲に15.5センチまで搭載できる軽巡洋艦を10万450トンまで」持てることになった。ところが、当時の日本海軍は、重巡洋艦の“持分”を高雄型4隻作ったところで使い切ってしまいそれ以上重巡洋艦を作ることができない。一方、軽巡洋艦の“持分”は、あと3万5655トンだけ残っていた。

advertisement

 そこで、この残りの重さで“重巡洋艦並みに強い”軍艦を1個戦隊4隻分作るため、基準排水量が8500トンで主砲に15.5センチを三連装5基15門載せた“軽巡洋艦”を設計した。これが最上型だ。当初計画では、1万トン級重巡洋艦相当の戦闘力と防御力に加えて、37ノットというこれまで以上の高速を発揮する機関を基準排水量8500トンに詰め込もうとしたが、もちろん収まるわけがない。

 過度な軽量化(もともと船体を支える骨組みの鋼材に軽量化の穴を開けていたが、さらに、その穴を増やしたりしていた)を進めた結果、1番艦「最上」と2番艦「三隈」は公試で船体亀裂、ゆがみ、砲塔旋回支障が発生して改正工事、第4艦隊事件で強度不足によるシワが発生して性能改善工事と、不具合を直すための“予備艦”時代が1938年まで続くことになる。結局、すべての工事が終わった状態で基準排水量は1万2000トン近くまで達し、公試時の最高速力は34.735ノットにとどまっている。

 「三隈」は、1942年6月のミッドウェー海戦で沈没してしまうので太平洋戦争で戦った期間は短い。とはいえ、緒戦で「最上」や駆逐艦「敷波」、第5水雷戦隊の「名取」に第11駆逐隊「初雪」「白雪」「吹雪」、第5駆逐隊とともに米重巡洋艦「ヒューストン」と豪軽巡洋艦「バース」を撃沈した1942年3月1日のバタビア沖海戦は有名だ。

 しかし、三隈(というか最上型4姉妹)の戦歴としてそれ以上に注目したいのが、地味ながらも日本の水上戦闘艦艇が成功した唯一の通商破壊戦「ベンガル湾機動作戦」だ。この作戦で三隈と最上、駆逐艦「天霧」で構成する馬来部隊南方隊は、4月6日にインド本土東岸のCocanada港沖まで進出、所属水偵が発見した敵商船5隻を午前11時から午後3時にかけて断続的に撃沈している。この作戦における三隈の消費弾数は主砲120発高角砲22発(熊野と鈴谷も駆逐艦「白雪」とともに馬来部隊北方隊を編成してインド本土Pizagapatam沖まで進出し敵商船8隻を沈めている)。

 ただ、この作戦は脱出が遅れた敵商船を掃討するという短期間の戦術的な通商破壊という側面が強く、独海軍の水上艦艇が行った長期間遠距離航海による戦略的通商破壊戦とは性質が異なると言えるだろう。

advertisement
ボードウォーゲーム「INDIAN OCEAN ADVENTURE」(GDW)でベンガル湾機動作戦における4月6日1200の戦況を再現してみた。「三隈」「最上」「天霧」の南方隊(TaskForce1)はCocanada沖で商船5隻を沈めている。この作戦には「熊野」「鈴谷」「白雪」の北方隊(TaskForce2)のほか、中央隊(TaskForce3)として軽空母「龍驤」重巡「鳥海」軽巡「由良」駆逐艦「夕霧」「朝霧」が参加して、龍驤所属機が商船8隻撃沈5隻大破を報告している

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2503/29/news087.jpg 皇后さま、服から靴まで「ロイヤルブルー」 天皇陛下のネクタイとの“おそろいコーデ”
  2. /nl/articles/2503/29/news054.jpg 「全てが完璧」 無印良品の“1990円バッグ”に称賛続出 「やっぱりこれ」「文句なし」「使い勝手抜群」
  3. /nl/articles/2503/27/news056.jpg 福袋に入ってた“定価3万円”の高級魚を大事に育てたら…… 「やりやがったな」涙する結果に「すごい」「ほんと感動」
  4. /nl/articles/2503/28/news058.jpg 「昔はかなりモテた」と話す母→ウソかと思いきや…… 100万再生された“当時の姿”に娘も驚き「なんてこった!!」【海外】
  5. /nl/articles/2503/29/news026.jpg 養子に迎えた娘を溺愛していたお父さん、その26年後には…… まさかの展開に感動の声 「泣いた」「美しすぎる」【米】
  6. /nl/articles/2503/25/news065.jpg パパに抱っこされる娘→30年後…… 同じポーズで撮影した“現在の姿”に驚き「私もお父さんが恋しくなった」【海外】
  7. /nl/articles/2503/29/news066.jpg 「この値段では考えられない」 ワークマンの新作“1900円アウター”が品切れ続出の反響ぶり 「コスパ良し!」
  8. /nl/articles/2503/29/news067.jpg 「こんな安くていいのか」 ワークマン新作“1500円パンツ”が売り切れラッシュの大人気 「何の文句もない」
  9. /nl/articles/2503/27/news039.jpg 【着物】たんすに眠っていた帯→“斜め上の発想”でリメイク 完成したアイテムに「何て素敵なんでしょ」「挑戦してみます」
  10. /nl/articles/2503/28/news169.jpg “有吉弘行も大ファン”の「伝説の女装愛好家」が死去 亡くなる2日前に「志半ばにして逝きますが燃え尽きる思い」とメッセージ
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  2. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  3. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  4. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが550万再生「凄すぎて笑うしかないw」「チーズが、、、」 話題になった作者に話を聞いた
  5. ディズニーランドがオープンした1983年当時、カップルだった2人→37年後…… 目頭が熱くなる現在の姿に感動
  6. ニットで口元が隠れた赤ちゃん、そっと脱がせてみると…… “想像を超える”表情が2300万再生「心に刺さった」「今まで見た中で1番!」【海外赤ちゃん記事3選】
  7. 水族館のイカに“指でハート”をしてみたら… “まさかのお返し”が190万表示「こ、こんなことあるのか」
  8. 「ひどすぎ」 東京ディズニーランドで“約100人のドジャースファン”が一斉に“迷惑行為” 「やめてほしい」と物議
  9. 19万8000円で購入した超高級魚を、4年間育てたら…… ド肝を抜く“大変化”に「どんどん色が」「すごい」
  10. 初めて夫の実家に挨拶した妻、初々しかった表情が9年後…… “そうはならんやろ”な変わりっぷりが1150万再生
先月の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  4. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  5. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  6. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  7. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  8. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  9. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  10. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に