「てぶくろを買いに」も萌え萌えに “児童書にかわいすぎるイラスト”の理由を角川つばさ文庫に聞いた

表紙が萌えイラストだと話題になっている角川つばさ文庫の児童書。そこにはどんな狙いがあるのだろうか。

» 2013年10月31日 09時30分 公開
[姫野ケイ,ねとらぼ]

 先ごろ、Twitterに「朗読用の本探していたら最近の『てぶくろをかいに』が大変なことになってた。お母さんの破壊力がヤバい」というツイートが投稿され注目を集めた。目がキラキラしたかわいらしい現代風のタッチの児童書の写真がついたこのツイートは、3000リツイートを超え、話題になった。

 筆者が読んだことのある「てぶくろをかいに」は、ここまでかわいらしい絵のきつねではなかった覚えがある。そういえば以前に「泣いた赤おに」のイラストがかわいいと話題になったこともある。なぜ今、このような萌えイラストの児童書が出現しているのであろうか。これらの萌え絵タッチの児童書を出版している角川書店の角川つばさ文庫編集部に話をうかがった。

角川つばさ文庫からはほかにもかわいい絵の児童書が出版されている。つばさ文庫編集部の有田奈央さんがそろえてくれた

 なぜこのような「萌え絵」風のイラストにしたのだろうか? 「つばさ文庫は小学生向けに刊行していますので、特に子どもに支持してもらいたいと思って作っています。良い作品だからこそ子どもに読んでもらいたいので、手に取るまでのハードルを上げたくないんですね。そのために、対象年齢の子どもに手に取ってもらいやすい絵を付けているのです」とつばさ文庫編集長代理の坂本真樹さんは語る。

 確かに、同じストーリーの児童書でも、普通の絵のものと、つばさ文庫のようにかわいらしいタッチの絵のものがあるとつばさ文庫のものを手に取りたくなる。普段アニメや漫画に夢中になっている子どもならば、なおさら手に取りやすいだろう。つばさ文庫を擁するKADOKAWAが漫画やアニメを多く手がけることから、同文庫でも有名なイラストレーターを起用することがある。とはいえ、基本的には「物語に合って、子どもが読みたい・興味をそそられる絵柄」を求めてイラストレーターを決めていると話している。

 角川つばさ文庫の特徴としては、「ごんぎつね・てぶくろを買いに」のほかに「シートン動物記」や同文庫オリジナルの「ドギーマギー動物学校」「こぐまのクーク物語」など動物ものが目立つ点がある。

 実は、他社の児童文庫のメイン読者層は小学校の5〜6年生が主で、主人公は人間が多い。しかし、角川つばさ文庫では低学年向きのものもそろえ、動物が主人公の話にかわいい絵を添えるようにしているそうだ。また、「シートン動物記」内のきつねの話は、お母さんぎつね以外全員死んでしまうというシビアな話なので、絵をかわいらしくして物語をやわらかくするようにしているという。

 ネット上で話題になっていることに関して「良い評価、感想をいただけることはありがたいことだなぁと思います」とのこと。ネット上では「萌え絵の児童書」として話題になっているが、実際のところは「萌え」を意識しているわけではないという。

 このかわいらしい絵の効果もあってか、「おかげさまで、つばさ文庫は創刊5年目ですが、売り上げが好調」と坂本さんは嬉しそうに語ってくれた。

 つばさ文庫では今後も、より多くの子どもたちが読みたいと思ってくれるようなイラストをつけた作品作りに励みたいとしている。

姫野ケイ:フリーライター・コラムニスト・作家。1987年9月7日生まれ。宮崎県宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社のアルバイトにて編集業務を学びつつ、ヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れるバンギャル。2010年度南日本文学大賞最終ファイナリスト。現在はWebやスポーツ新聞にてコラム・小説を執筆中。


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