「機動戦士ガンダム35周年プロジェクト」始動! 富野監督「この歳にしてよくやったとうぬぼれている」と最新作に自信たっぷり
ガンダム35周年のプロジェクトがスタート、記念作品3本を中心にさまざまな企画が発表された。富野監督も「Gのレコンギスタ」に込めた想いを口にする。
「ガンダム以降、どのように世代を乗り越えどういうメッセージを伝えていくか、ここ15年くらい本気で考えるようになりました。具体的に形にすることができずに今日まで来てしまいましたけれど、『Gのレコンギスタ』という形でようやく輪郭を見ることができました」――富野由悠季監督は「機動戦士ガンダム」の35周年記念バッチを胸に光らせ、制作中のガンダムシリーズ最新作についてこう語る。
3月20日、「機動戦士ガンダム35周年プロジェクト」の発表会が開かれた。「機動戦士ガンダム」が1979年のアニメ放映開始から今年で35周年を迎えることを記念し、バンダイナムコホールディングス、創通、サンライズはガンダムの世界観をさまざまな形で演出していく。その柱の1つ、今秋公開予定のアニメ「ガンダム Gのレコンギスタ」を手がける富野監督も登壇し、内容や方針についてコメントした。
3本の35周年記念作品
プロジェクトでは35周年記念作品が3本展開される。1本目が「機動戦士ガンダムUC episode 7『虹の彼方に』」。作家・福井晴敏さんによる同名小説をサンライズが1話60分でOVA化してきたシリーズだ。舞台は「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の3年後。全7話構成のうちすでにepisode 6までが上映済みで、今作をもってシリーズ完結となる。イベント上映、有料配信、上映館内でのBlu-ray Disc先行販売は5月17日からで、Blu-ray DiscとDVDの一般発売は6月6日だ。
2本目が「ガンダム Gのレコンギスタ」。「機動戦士ガンダム」をはじめガンダムシリーズ作の総監督を数々務めてきた富野監督の最新作だ。富野監督のガンダム作品は「∀ガンダム」以来14年ぶりで大きな注目を浴びている。
内容としてはこれまでの「宇宙世紀」の次となる世紀「リギルド・センチュリー」を舞台に、宇宙エレベーターを守る組織キャピタルガードのパイロット候補生ベルリ・ゼナムの冒険を描いたもの。公式サイトで予告映像も公開され、詳細は決定次第こちらで発表されていく。
3本目が2015年春にイベント上映予定の「機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル」。「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインを務めた安彦良和さんによるマンガ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の初のアニメ化作品となる。
物語では、あのシャア・アズナブルとセイラ・マス、兄妹2人の運命を決定づけた悲劇と過去に迫る。スペースノイドの指導者であった父ジオン・ダイクンの急逝がもたらした2人の流転の物語を「シャア・セイラ編」として全4話で描き、イベント上映形式で公開していく。こちらも公式サイトで予告映像が配信開始された。
お台場の実物大ガンダムに次ぐ企画も
映像作品以外にも、お台場の実物大ガンダムに次ぐ「REAL G Next Project」が40周年となる2019年に向けてスタート。新たなるリアルガンダムの制作を目指し、「世界から叡智(えいち)を集めることによって、グローバルにプロジェクトを展開する」としている。4月上旬にティーザーサイトが公開予定で、35周年公式サイトとともに詳細が随時発表されていく。
プロジェクトでは記念テーマ曲「G35」も制作された。Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅなどのプロデュースで知られる中田ヤスタカさんが担当し、重厚なサウンドに打ち込み音が響くエレクトロミュージックとなっている。今年1年は楽曲をいろんな場面で使っていくそうだ。
このほか「機動戦士ガンダム」の魅力をかつてない壮大なスケールで紹介する展覧会「機動戦士ガンダム展 THE ART OF GUNDAM」の開催(関連記事:今夏、大阪で「機動戦士ガンダム展 THE ART OF GUNDAM」開催、東京は来夏に)など、さまざまな35周年企画が催される。
次世代ファンに向けた「Gのレコンギスタ」
発表会の最後には、「機動戦士ガンダム」のOP曲「翔べ! ガンダム」と拍手に迎えられて富野監督が登壇。スペシャルゲストと紹介されたことに対し「スタッフにはスペシャルゲストじゃないだろ、当事者なんだから、と抗議をしたのですが、スペシャルゲストの文言が消えていないのが残念です。スペシャルじゃないです、レギュラーです」と笑い、会場を沸かせた。
最新作「ガンダム Gのレコンギスタ」は、ガンダム以降で次世代にどうメッセージを伝えるかようやく輪郭を見ることができた作品だという。タイトルの「G」については、「当然“Gundam(ガンダム)”が含まれていますが、一番大きな意味は『ガンダム大地に立つ』の“Ground(大地)”のGです」と解説。「レコンギスタ」はレコンキスタ(国土回復運動)から来た造語で、「レコン“ギ”スタにしなくちゃいけないのは極めて日本人的な感覚がありまして。濁点が入っていないと売れないから!」と、またもや会場を笑いに包んだ。
監督が今作に込める“次世代”への意識は強い。「大人たちのビジネスシステムが50年続くとは思っていません。だからこそ新しいコンテンツやメッセージが要るのではないかと思いました。ぼくなりに考えた結果が『Gのレコンギスタ』です」「明らかに『ORIGIN』『UC』までのファンとは違う。ファンが現在育てているお子さんたちに見てもらうものにしていきたい。そういう風なものをガンダムというフィールドから作られるか示したつもりですし、示すつもりで今制作に入っています」と制作に対する想いを明かす。
作品への自信のほどは、「評価は終わってみないと出てきません。が、この歳にしてよくやったとうぬぼれているところがあります。そういう意味ではすごく単純に、乞うご期待」。放映開始が待ち遠しくなる発言が飛び出した。
想いの先は未来のファンたちだけではない。あいさつの最後では、「こういうような言い方を35年目にして言える自分を幸せだと思います」と関係者への感謝を述べる。そしてこの日一番強い語気で、「こういう場を持てるというのは、ファンみなさんがいたからこそできたこと。本当に心から感謝いたします。ありがとうございます」と従来のガンダムファンに感謝し、帽子を脱いで頭を下げた。
35年前に翔んだガンダムは2014年、新たな大地に立つ。「機動戦士ガンダム35周年プロジェクト」の躍動を目にしよう。
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