電王戦第2局は炎上を経てどうなったか ネタキャラ対決は「カツラ落ち」のガチンコ勝負に

対局前の炎上が話題となった第2局は、誰もが認める大熱戦の将棋に。

» 2014年03月24日 13時07分 公開
[たろちん,ねとらぼ]

 プロ棋士と将棋ソフトによる5対5の団体戦「第3回将棋電王戦」の第2局が、両国国技館で行われました。

画像 対局上は両国国技館

画像 土俵を下げて対局上を設置。今回も無観客のシュールな光景に

 対局者は伝説のプログラマー磯崎元洋さんの「やねうら王」と「光ってる方のサトシン」こと佐藤紳哉六段。開幕前から両対局者のコミカルなキャラクターで「ネタキャラ対決」と言われていた本局ですが、直前の「やねうら王ソフト改変問題」が炎上する事態となり、当日はかなりシリアスな雰囲気に。カツラをかぶるパフォーマンスが期待された佐藤六段も和服を着用しての戦闘態勢で登場し、コメントでも将棋用語の駒落ちになぞらえて「桂(カツラ)落ち」と書かれるガチンコ勝負となりました。

画像 佐藤六段は和服で登場

画像 やねうら王開発者の磯崎さん。対局直前、観戦記を担当する河口俊彦さんに「あなたも将棋強いんだって?」と話しかけられていました

画像 今回もぺこりとおじぎをする電王手くん。早くも「かわいい」と大人気に

衝撃の初手

画像 衝撃の初手1六歩

 将棋の初手は角道や飛車道を開ける手がほとんどですが、先手のやねうら王が選んだのは、そのどちらでもない1六歩の端歩突き。初手をランダムで選ぶやねうら王の中でも、この手を選ぶのは1000分の1の確率だということで、プロの対局でも実例の少ない珍しい幕開けとなりました。長考派の佐藤六段は序盤から慎重に時間を使い、コンピュータの振り飛車対人間の居飛車穴熊という電王戦初登場の戦型に。ゆっくりした展開のまま昼食休憩を迎えます。

画像 控え室ではPonanza山本さん、ツツカナ一丸さん、習甦竹内さんが仲良く検討中

画像 佐藤六段の扇子には自身のキャッチフレーズ「砂糖のように甘い言葉で深夜に君を寝かさない」の揮毫(きごう)が

 この1局を通して印象的だったのが、佐藤六段の険しすぎるほど険しい表情。終始、泣いているような怒っているような表情で考え続けており、普段の「スベり芸」を披露している陽気なイメージとはまるで別人です。先崎学八段は、第1局で菅井五段を完全に押さえ込んで勝利した習甦を「習甦は、なにげなく鬼であった」と表現しましたが、サトシンは露骨に鬼でした。顔が。

画像 鬼の形相で対局するサトシン。ほかの棋士によると「いつもこんな感じだから、対局する時は佐藤さんの方は見ないようにしてる」とのこと

ニコ生も盛況

 ニコファーレでの大盤解説や現地中継にも多数のゲストが登場。現地には「SSF(佐藤紳哉ファミリー)」のメンバーが多数来場し、ポーカー世界チャンピオンの木原直哉さんなどもニコ生に出演。応援に駆けつけたメンバーの中には棋士以外の著名人も多く、誰からも愛される佐藤六段の人柄がうかがえました。ただ、隣のSSF控え室からドンドンと床を踏み鳴らしながらの応援歌の大合唱が聞こえてきた時にはちょっと怖かったです。

 また、視聴者の棋力アンケートでネタ項目の「竜王・名人」が17.9%と発表された直後に、本物の森内俊之竜王・名人が中継で登場するといった神展開も見られました。

画像 竜王・名人多すぎィ!

画像 あ、私が本物の竜王・名人です

大熱戦の終盤戦

 夕食休憩明けには、局面もいよいよ佳境に。やねうら王が桂馬を損する手順に踏み込んだ辺りでは佐藤六段有利の見方が強かったものの、その後佐藤六段に見落としが出て評価値はやねうら王に大きく傾いていきます。

画像 控え室には第3局に登場する豊島七段も登場。プロ棋士による検討も過熱します

 圧倒的な計算力で終盤に無類の強さを誇るというのがコンピュータ将棋の通説。しかし、ここでやねうら王にまさかの疑問手が出て大きく差がついた評価値が再び接戦に揺り返します。普段は土俵がある場所に設置された対局場で、佐藤六段はまさに土俵際の粘りで観客を沸かせます。ニコ生視聴者の形勢アンケートでも、判断がころころと変わり熱い手のひら返しが繰り返されました。

画像 視聴者の手のひらが持たない大熱戦

終局

 しかし、序盤の長考が響いた佐藤六段はここで持ち時間を使いきり1分将棋に。最後はきわどい局面でも「震えない」コンピュータの強さを見せつけたやねうら王がしっかりと佐藤玉を寄せきり、95手で佐藤六段の投了となりました。

 佐藤六段は終局後、「プロなら勝たなければいけない展開だった。プロが弱いのではなく、自分が弱いので負けたことが悔しい」とコメント。磯崎さんも「多分、練習対局では佐藤先生が勝ち越していると思う。やねうら王の弱点を突くのではなく、正面から堂々とぶつかっていただいたことに感謝したい」と対局者をたたえました。

画像 事前の騒動はあったものの、将棋自体は素晴らしい内容となりました

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」