Googleストリートビューにタイムマシン機能 東日本大震災がきっかけで開発、7年前まで町並みさかのぼれます
これまでストリートビューでは最新画像のみを表示していたが、今回から過去の画像も閲覧できるようになりました。
Googleは4月24日、Googleマップのストリートビューにタイムマシン機能を追加した。これまでストリートビューでは最新画像のみを表示していたが、今回から過去の画像も閲覧できるようになった。最も古いものでは2007年撮影の画像までさかのぼることができ、町並みの移り変わりを確認できる。今後も新しいストリートビューが追加されるたび蓄積していく。
実はこの機能はもともと日本で生まれたものだ。2011年に公開した東日本大震災復興支援サイト「未来へのキオク」では震災前と後のストリートビューを見比べられるようになっている。これをストリートビューに対応している世界50数カ国の地図に適用した。「日本で生まれた機能がグローバルになりました」と同社の河合敬一プロダクトマネージャーは語る。
この機能は段階的に公開されているので、しばらく待っていればすべてのユーザーが使えるようになる。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でデロリアンを改造したドク(エメット・ブラウン博士)のように、「ドラえもん」で机の引き出しを開けるのび太とドラえもんのように、時間旅行へ出かけよう。
震災がきっかけ 過去のストリートビューが持つ価値とは
タイムマシン機能はストリートビュー画面の左上にある時計マークをクリックし、時間軸を表すスライダーを左右に動かすと確認できる。例えば米ニューヨークのワールドトレードセンター跡に建設中のフリーダムタワーや、2010年に開業したシンガポールのマリーナベイサンズがどんどん高さを増していく様子が分かる。四季の移り変わりも感じられる。
ストリートビューの最初の撮影が米国で始まったのは2007年で、最大7年分のデータが蓄積されている。場所によって撮影回数は異なるが、河合さんによると「だいたいどんな場所も2度以上は走っている」とのこと。シンガポールなど小さい町(国)は撮影が多いらしく、先ほどのマリーナベイサンズ周辺などは過去の画像が充実している。
もちろん日本のストリートビューもタイムマシンを試せる。東日本大震災の被害を受けた東北のストリートビューには、町が津波で流され、瓦礫が散乱し、片付けられて更地になっていく様子が残されている。河合さんによれば、震災前の自宅の写真がストリートビューにしか残っていないという人も多く、「未来へのキオク」にもこれまで大きな反響が寄せられていた。
「常に新しいものばかりを追求してきたが実はこれまで撮影した画像に思いもよらない価値があったんだなあと(未来へのキオクで)気付かされ、アメリカのチームとも相談して世界中でこういった使い方をできるんじゃないかとタイムマシン機能の開発を進めてきた」と、仙台出身の河合さんは語る。
日本ではストリートビュー開始当初、プライバシー侵害が問題視され、Googleは2009年にカメラの位置を下げた。そのためタイムマシンではカメラ位置を変更する前の写真は公開されていないが、東北に関しては記録を伝える観点から2008年〜2009年の画像も表示対象となっている。
「死蔵していたデータを引っ張り出す」ことで実現したタイムマシン機能。開発には約2年かかった。「裏側ではストリートビューの全面的な作り替えとなった。インフラストラクチャから作り替えた」と河合さんは明かす。ストリートビューは世界で1000万キロを走って撮影しており、過去画像の追加によりデータ量は「倍に増えた」そうだ。
現在はPC版のみに対応。今後はスマートフォンからも利用できるようにしていく。
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