「パズドラ」そっくり「パズルキングダム」は“クロの疑いが強い”―― 弁護士に聞いてみた

チュートリアルのテキストもまったく同じ。これは……。

» 2014年12月25日 22時16分 公開
[ねとらぼ]

 「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」にそっくりな「パズルキングダム」というiPhoneアプリが最近リリースされ、「あまりにもパズドラに似すぎている」とネットで話題になっています。


画像画像 タイトル画面

画像画像 ゲーム画面はこんな感じ(以下、すべて左が「パズル&ドラゴンズ」で、右が「パズルキングダム」)

 確かに、「パズドラ」ほどのヒット作ともなれば類似作品が出てくるのは仕方のないこと(関連記事)。しかしこの「パズルキングダム」は、グラフィックやサウンドを差し替えただけで、ルールもインターフェースもほぼ「パズドラ」そのまま。またこれまでのパクリアプリとは異なり、渋谷区にあるタイソンという会社が開発している“国産ゲーム”である点でも議論を呼んでいます。

 果たして「パズルキングダム」はセーフなのか、それともアウトなのか。IT関連の法律問題に詳しい内田・鮫島法律事務所の、伊藤雅浩弁護士に話を聞きました。



著作権法的に「クロ」の疑いが強い

「私の意見としては、著作権法的に『クロ』の疑いが強いですね」(伊藤弁護士)

 ゲームの著作権をめぐる裁判で記憶に新しいのは、グリーとDeNAによる「釣りゲー」裁判です。こちらは魚の釣り上げ場面の類似性が主な争点となりましたが、「ありふれた部分が似ているだけ」との判断から、知財高裁で著作権侵害が否定されています(関連記事)。これに限らず、ゲームの著作権をめぐる裁判では、イラスト素材やプログラムなどをそのまま流用でもしていないかぎり著作権侵害は認められない――というのがこれまでの通例でした。

 となると「パズルキングダム」もセーフに思えるのですが、伊藤弁護士によると、ここまで似ていると「クロ」の可能性があるとのこと。

「(釣りゲー裁判と同様)本件でも個別の要素(モンスターの絵、ドロップの絵など)は違いますし,画面のレイアウト自体もそれほど斬新とは言えないため、著作権侵害は否定されるかもしれません。とはいえ、ここまで酷似していると、他の同種のゲーム(例えば「テトリスモンスター」など)との違いが際立つため、画面単体でも著作権侵害が認められる可能性はあります」(伊藤弁護士)

 例えば「パズドラ」に似たゲームA、B、C、Dがあったとして、Aだけがパズドラに酷似していて、他のB、C、Dが違っている場合には、「選択の幅があったにもかかわらずあえてパズドラに似せている」と判断され、後発のAには著作権侵害の疑いが出てくるのだそうです。

 また画面「単体」の見た目だけでなく、画面の遷移・展開といった「全体」が類似していることでも著作権侵害が成立する可能性がある、と伊藤弁護士。

「この点は釣りゲー事件でも争点になっていました。過去に画面の遷移が類似しているとして著作権侵害を認めた例はありませんが、裁判所はその可能性は閉ざしていません。画面写真を見るかぎりでは、『パズルキングダム」と『パズドラ』の画面の遷移はほぼ同一であり、他のゲームとの違いがあれば、この点でも著作権侵害が認められる可能性があります」(伊藤弁護士)。



チュートリアルのテキストがまったく同じ、これはアリ?

 ちなみに「パズルキングダム」でもう1つ気になるのが、チュートリアルのテキストやドロップの並びが「パズドラ」と完全に一致しているところ。ごく小さな要素とは言え、完全に一致してしまっているのは大丈夫なのでしょうか。

 しかし、こちらについては「そこが“創作的”な部分であれば、一発で著作権侵害を認めることもあります。ただしこのテキストの場合、特徴的なセリフなどではなく、あくまで説明的な文章ですから創作的とは言えないでしょうね」とのことでした。


画像画像 ゲーム開始時に表示されるテキスト。「パズドラ」も「パズルキングダム」も一言一句同じ

画像画像 ドロップの並びもまったく一緒

 まとめると「画面単体でも著作権侵害の疑いがある」のに加え、「他の画面の全体(画面の遷移など)を捉えても著作権侵害の疑いがあります」と伊藤弁護士。さすがにこれだけ似ていると、たとえグラフィックやサウンドがオリジナルであっても、著作権侵害に問われる可能性は出てくるようです(もちろん実際に著作権侵害にあたるかどうかは、実際に法廷に持ち込んでみないと分かりません)。

 今のところAppStoreでの評価は星2.5、レビュー欄では「あのゲームに似ているとかじゃなくて劣化してますが完全に一致しています」「何一つ違わない混じりっけのないパクリ」など、やはり「パズドラ」との類似性について言及している声が多く並んでいます



その他画面写真(ゲーム開始〜チュートリアル途中までを比較)


画像画像

画像画像

画像画像

画像画像

画像画像

画像画像

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  6. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  7. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/21/news005.jpg 藤本美貴、晩ご飯に手料理7品 多忙でも野菜とお肉たっぷりで反響 「お疲れ様です」「凄く親近感」【2024年の弁当・料理まとめ】
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」