かわいい絵柄に小さなトゲ――北欧女子・オーサの描く4コマが魅力的なワケ北欧女子×メイド 対談(2/2 ページ)

» 2015年03月06日 07時00分 公開
[宮澤諒eBook USER]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

単行本に載せられなかったネタ

ミソノ 日本でマンガを出版することについては、どう思いますか?

オーサ びっくり、ですね。いまも信じられないくらいです。たぶん“外国人が見つけた日本の不思議”というテーマのおかげだと思うんです。日本の人はそういったテーマに興味があるんじゃないかなと感じてます。

advertisement

ミソノ 担当さんとは何をきっかけに知り合ったのでしょうか。ブログをやっててお声が掛かったんですか?

オーサ 前のブログは学校の課題として毎日4コママンガを描いていたんですけど――

ミソノ え、学校の課題だったんですか?

オーサ そうそうそう。ほかにもいろいろ宿題があって、4コマは1日15分ぐらいしか描けませんでした。とにかくそれを印刷して、コミティア(編注:コミティア実行委員会が主催する自主制作マンガ誌の展示即売会)の出版社ブースで見てもらったのがきっかけですね。

ミソノ なるほど。そこから本になるだけの4コマを描いていくって、勉強もありますし、大変だったんじゃないですか?

advertisement

オーサ 大変でしたね。でもいまはもう原稿も全部描き終わって、卒業制作も無事に終わりましたので。

ミソノ 卒業制作は、ブログにもアップしていらっしゃいましたよね。定期的に4コママンガをブログにアップしていらっしゃいますけど、ネタ探しとか大変じゃないかなって思うんです。考えたはいいけど本に描けなかったとか、担当さんからストップが掛かったとか、そういうネタはありましたか?

オーサ ありました! あー、ちょっと……(担当編集者の方をちら見)。

ミソノ あ、ちらっと担当さんの方を(笑)。

オーサ えっと、例えばビザに関する文句とかですね。でもこれは外国人の問題なので、日本の読者にはちょっと分かりづらいよねってことになったり、あとマスクの話とか……。

advertisement

ミソノ マスクですか?

オーサ なぜ日本人はよくマスクをしているんだろうって不思議だったんですけど、日本人の友達にそれを言ったら、プライバシーを守るために使うことがあるよと。

 そうなんだと思って、それから毎朝電車の中でマスクを使うことにしたんです。朝って、顔がちょっと疲れてるじゃないですか。それにマスクを使うと自分の世界に入り込むこともできますし。でも、それはあまりよくないなって思いました。

ミソノ 女性だと、朝急いでいてメイクする時間がなかったときなんかはマスクがあると助かりますよー。

オーサ そう! それはよく分かります。

担当編集者 ……そんなのありましたっけ? 結構面白いネタだなーって思って聞いてたんですけど(笑)。1つ覚えているのは、日本人はお風呂をすごく大事にするっていうネタで、オーサさんのルームメイトの日本人が、朝の4時にお風呂に入る話があったんです。それで「日本人は朝の4時からお風呂に入るなんてすごい」って書いてあったんですけど、それは一般的じゃないから! って言ったらすごく驚いてました(笑)。ずっとそうだと思ってたみたいで。

オーサ 外国人からすると、何が普通で何が普通じゃないかがよく分からないので、日本人が皆そうなのかなと思ってしまいますね。もちろん、逆もありますけど。いろんな人がいますが、私にはこういう印象だよっていうのがこのマンガです。

ミソノ オーサさんは、いろんな国の人とルームシェアしているんですよね?

オーサ そうですね。マンガにも描きましたけど、「今日は暑いな」って言いたかったのに、「今日は暑いだ」って言い間違いをしてしまって。そしたらルームメイトが面白がって「~だ」って言い始めたり。

たびたび登場するルームメイトたち たびたび登場するルームメイトたち

ミソノ 皆さん仲いいですよね(笑)。スウェーデンに居た時、周りに日本語を教えてくれる人はいましたか?

オーサ 友達の奥さんが日本人で、彼女と一緒にプライベートレッスンしました。楽しかったです。

ミソノ 前にオランダから来た人に聞いた話なんですけど、アニメの中でおにぎりが理解できないから、オランダでは全部サンドイッチって言うことになってたって聞いたんです(笑)。日本に来て、あれはサンドイッチじゃなくておにぎりだったんだってことを知ったっていう話があって。

オーサ えー!? 私は13歳から日本の文化に興味があって、いっぱい日本のマンガを読んだんですけど、それでもまだびっくりすることがあるので、それは日本のすごいところだと思います。特徴が多い文化です。

日本で困ったことは?

ミソノ 驚いたことをたくさんマンガにされていますけど、困ったことってありますか?

オーサ 外国人の友達と一緒に銀座に行ったときのことなんですが、私の写真を撮ってくれたお礼に晩ご飯をおごってあげることにしたんです。お寿司屋さんに入ったんですけど、友達は魚のネタを全然頼まなくて。

ミソノ 魚がお嫌いだったんですか?

オーサ たまご寿司とか、しいたけの寿司、あとは巻き物とか。食事中も様子がおかしくて、何でだろうなーと思ってたんですけど、ちょっと寿司を食べて、ビール一本飲んだだけなのに会計が2万円で……。それ、ちょっと困りました……。

ミソノ うわぁー! 銀座でお寿司って、日本人でも特別な時にしか食べないイメージです。逆に、日本人がスウェーデンに行ったら、これはびっくりするんじゃないかなっていうのはありますか。

オーサ 最近、スウェーデンに留学している日本人と知り合いになったんですが、彼がSystembolaget(システムボラゲット)という制度に驚いていましたね。システムボラゲットはお酒の専売制度のことで、許可をもらったお店でしかお酒を販売できないんです。スウェーデンでは、普通のスーパーやコンビニではお酒は買えません。

ミソノ そうなんですか!

オーサ 政府がやっている特別な店に行かないと飲めなくて、しかも、平日なら午後6時くらいまでしか営業してないですし、土曜日は午後2時まで、日曜日は開いてないです。バーもありますけど高いんです。お酒の税金がすごく高いですから。私にとって日本の不思議なところは、飲み放題っていうコンセプトですねー。

ミソノ 飲み放題、日本ではよくありますね。

オーサ そうなんですよね。スウェーデンではアレは無理です。みんなたくさん飲みますから。たぶん、どんな外国人に聞いてもあれはびっくりしたって言いますよ。

ミソノ 確かに、外国で飲み放題って聞いたことないかもしれません。オーサさんは、マンガを描いていて、ネタが思いつかないとか、もう日本にびっくりしなくなっちゃったとか、そういうことってありますか。

オーサ いままでは仕事で家にいてもいろいろとネタがあったんですが、最近はネタを探しに外に行かないといけないですね。ネタとネームはいつもすごく心配です。

ミソノ どこに行くのが好きですか?

オーサ 日本の面白いテーマのカフェにはまってます。この前は、秋葉原のガンダムカフェに行きました。フクロウカフェにも行きたいです。

たどたどしい日本語も魅力の1つに

ミソノ スウェーデンにいるときは自分でストーリーを考えて作品を描いていたと思いますけど、日本では担当さんと一緒に作り上げていきますよね。その方法に戸惑うことってありますか? 例えば、「担当さん文句言い過ぎ!」とか「担当さん私のこと分かってない!」とか。

オーサ もちろん、たまにこれはなぜ直さなきゃいけないのか分からないというのもあります。でもやっぱり、外国人というのもありますけど、担当編集者の方の経験を頼った方がいいと思っています。

 それに、直していただくのはだいたいスクリプトだけなんです。絵をすべて描き直してくださいっていうのはあまりないのでうれしいですね。描き直すのは大変ですから。

ミソノ 本の中でぜひ見てほしいっていうところはありますか?

4コママンガではコマが小さいために背景を省略する場合も多いが、オーサさんの作品はかなり細かく描き込まれている

オーサ カラーはちょっと大変でした。友達が手伝ってくれたりして。あと、背景も頑張ってるので見てくれたらうれしいです。

ミソノ わ、すごい情報量ですね。

オーサ まだデジタルに慣れていないので、たまに細かく描き込みすぎますね。

ミソノ 丁寧に描いてあるので、これが日本のどこで、どういう場面で、オーサさんがどれくらいびっくりしたっていうのが、すごくよく伝わってきます。

オーサ わぁ! うれしいです!

ミソノ オーサさんって時々、日本語の間違いがあって、私はそれが可愛いなって思っているんですけど、単行本ではその辺りって直されちゃってますか?

担当編集者 直さなかったところもたくさんありますよ。それもオーサさんの個性だと思うので。でも読めるようには直させてもらったというところで。

オーサ まだまだ日本語を失敗しちゃうんですよね。

ミソノ あ、でも、意味は伝わるので、読む分には何の問題もなく読めます。今回の単行本でオーサさんを知る人って、絵が上手い外国人が突然デビューしたなって思うんじゃないかと。でも、スウェーデンにいたときからマンガを出版されてたことなども読者の方に知ってもらいたいなって私は思います。これからも日本でマンガを描いていきたいですか?

オーサ はい、できればそうしていきたいですね。

ミソノ ご活躍期待しています。本日はありがとうございました!

3月6日発売の単行本を手に

(画像出典:北欧女子オーサが見つけた日本の不思議)

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/21/news157.jpg 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  2. /nl/articles/2502/21/news132.jpg コストコで販売「生カキ」原因で体調不良か…… 全国で1万食自主回収「深くお詫び」
  3. /nl/articles/2501/30/news115.jpg コストコで人気「ヨーグルト」に大腸菌群陽性の可能性…… メーカーなど謝罪「深くお詫び」 5万8000個自主回収
  4. /nl/articles/2502/21/news073.jpg 「行かねば!!!!!」 マクドナルド、次回ハッピーセットを“におわせ”…… “最恐”のコラボに「まじかーーー!」「これはたのしみ」
  5. /nl/articles/2502/20/news148.jpg 鮮魚店で売れ残ったタコ、自宅に連れ帰ると産卵して天国へ→母タコの代わりに卵をお世話したら…… とんでもない瞬間に「泣けました」
  6. /nl/articles/2502/21/news042.jpg コロコロよりも楽? 床に落ちた髪の毛 → ノンストレスで掃除できる“まさかの裏技”が「素晴らしすぎ」「神!!」
  7. /nl/articles/2502/20/news011.jpg 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  8. /nl/articles/2502/21/news145.jpg 「キスの会しよう」 華原朋美、高級接待した記者に“関係迫られる”トラブル 激怒の相手に5歳息子も怯え「あの人頭おかしいよ!」「ママやばい」
  9. /nl/articles/2502/21/news053.jpg 「助けて。息子がこれで幼稚園に行くってきかない」→まさかのアイテムに母困惑 「行かせましょう!」「控えめに言って最高」と反響
  10. /nl/articles/2502/21/news006.jpg 「3度見くらいした」 ハードオフに100円で売られていた“とんでもない掘り出し物”に仰天 「ガチでヤバい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  4. 雑草ボーボーの荒れ地に“牛3頭”を放牧→2週間後…… まさかの光景に「感動しました」「いい仕事してますねぇ~!!」
  5. “この子はきっと中型犬サイズ”と思っていたら……たった半年後とんでもない姿に 「笑わせてもらいました」
  6. 年の差21歳で「夫は娘の同級生」 “両親大激怒”で結婚は猛反発されるも……“まさかの行動”で説得
  7. 163センチ、63キロの女性が「武器はメイクしかない」と本気でメイクしたら…… 驚きの仕上がりに「やっば、、」「綺麗って声でた」
  8. サイゼリヤ、メニュー改定で“大人気商品”消える 「ショック」悲しみの声……“代わりの商品”は評価割れる
  9. ママが反抗期の娘に作った“おふざけ弁当”がギミックてんこ盛りの怪作で爆笑 娘「教室全員が見に来た」
  10. 「さすがに無神経な内容」 “暴言受けた”伊藤友里が降板発表→岡田紗佳の直後の投稿に批判の声 Mリーガーも反応
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議