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» 2015年06月15日 17時47分 公開

日本初のビールが生まれた町を知ってほしい……「幕末のビールアイス」に込められた熱い想い

なぜ作ろうと思ったのか。そして何より「おいしいのか」?

[賀見洋輝,ねとらぼ]

 ビールといえば、大人の飲みもの。アイスと言えば、子どもから大人まで楽しめる甘味。それら2つが合わさった大人のアイス「幕末のビールアイス」が兵庫県三田市の「しいたけランドかさや」にあるという。ビールとアイスの融合体だと!? 使命感に近い思いに駆られ、出かけていった。

 「しいたけランドかさや」は、JR福知山線相野駅から程近く。かさやの敷地はとても広く、ちょっとした山道のような坂を登らなければならない。途中、イチゴ狩りの施設やシイタケ栽培に使うのであろう木材が目に入る。


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 売店は、昔ながらの売店といった趣で、風情がある。「お み や げ」という大きな文字が、どことなく昭和っぽさ、ノスタルジーを感じさせる。

 坂道を登り、やっとご対面したビールアイスは、どことなく手作り感のあるパッケージだった。この手作り感が、ご当地のお土産っぽくて良い感じだ。


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 中身は一見バニラアイスのよう。一口食べてみると、見た目どおりにバニラの味がする。ところが、バニラのやさしい甘みが口いっぱいに広がったかと思うと、アイスが溶けるとともにビールの味がすーっと口の中を通り抜けていった。鼻からは確かにビールの香りがした。とてもさわやかな味で、食べやすい。ビールの苦味はない。ただただ、ビール独特の麦の甘みや香りを感じた。

 このビールアイスを考案したしいたけランドかさや専務取締役中西孝之さんは「これがギリギリの絶妙のバランス。これ以上ビールの割合を増やすと、ビールの苦味が出てしまう。バニラの割合を増やすと、今度はビールの香りが弱くなってしまう」という。ちなみに幕末のビールアイスのアルコール度数は1%未満。価格は1つ税込300円。


画像 ビールアイスの中身

 「めっちゃうまいです!!」と思わず笑顔。その笑顔に、中西さんはうんうんと満足げに頷いていた。

なぜ「ビールアイス」をつくろうと思ったのか

 中西さんは、自らが所属していた三田市の商工会で、「こう太郎のあいす屋さん」と出会った。こう太郎のあいす屋さんは、日本酒を使ったアイスを製造する福井県のアイス製造会社だそうで、「ご当地の素材を何でもアイスにする」と言ったそう。そこに目をつけた中西さんは、かさやのしいたけやイチゴ狩り施設のイチゴを使ったアイスを作ってほしいと依頼したという。

 こうしてできたイチゴアイスを、しばらくは自社ブランドアイスとして売店でのみ販売していた。それからしばらく経ち、今から十年ほど前に兵庫県三田市に「幸民麦酒」という地ビールが生まれたのだ。この地ビールは、三田市の偉人である川本幸民が醸造した日本初のビールを、兵庫県伊丹市にある「小西酒造」が再現したものである。

 小西酒造から幸民麦酒の販売を頼まれたが、その値段は1本税込600円。高い。「普通に売ったのでは売れないだろうなあ……」と、ビールを販売するかどうか中西さんは悩んだ。しかし、頼まれたからには販売したい。頭を抱えていた矢先に、こう太郎のあいす屋さんのことを思い出し、企画を立て、開発に踏み切った。「アイスにすれば、別の切り口・方面でビールのPRができる……!」(中西さん)。


画像 川本幸民は、日本人で初めてビールを醸造した人物として知られる。彼はもともと、「日本近代科学の祖」と呼ばれる幕末の蘭学者であった。ペリー来航の際に振舞われたビールを飲んだところ、その味に魅了されたのだそう。そこで彼は、西洋の化学書を参考にして、ビールを造ったのだという。小西酒造は、幕末当時彼がつくったレシピを再現し、三田の地ビール「幸民麦酒」を作った。

ビールアイスをきっかけに

 「このアイスをきっかけにして、日本初のビールやそれが生まれた三田市に興味を持ってもらえればこれ以上のことはない」――中西さんは言う。


画像 ビールアイスを考案した中西さん

 「この幕末のビールアイスはここでしか買えない。今までに食べたことのない味を、皆さんに味わってほしい」

 これからの季節、ビールとアイスがより一層おいしくなる。その2つの夏の風物詩を一度で楽しむことができる「ビールアイス」。三田市に訪れた際、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。

賀見洋輝

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