どう生きるべきか 『少女終末旅行』つくみずは問い掛ける(2/2 ページ)

» 2015年07月24日 06時00分 公開
[宮澤諒eBook USER]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

どうやって生きることが正しいのか、キャラクターを通して問い掛ける

―― チトとユーリにつくみずさん自身を投影していたりするのでしょうか。

つくみず 自分の中の光と影じゃないですけど、問い掛けを二人に代弁させるというのはあります。あとは、イシイとカナザワというゲストキャラも出てきますが、この二人も割と自分と重ねているところがあったりします。

―― どういった部分ですか?

つくみず カナザワは旅をしながら地図を作り、イシイは遠くへ行くために飛行機を作るという目的を持って生きてるじゃないですか。自分も連載が忙しくてやりたいことができなかったり、将来どうなるか分からない不安はありますけど、そういった日々の中でも、おいしいものを食べたり、風呂に入ったり、散歩したりといった楽しみはあります。

 イシイとカナザワみたいに目指すものがあって生きる人もいれば、チトとユーリのように無目的にのんびり旅をする人もいる。どう生きるのが本当の幸福なのか、正しいことなのか。彼らはそういう問い掛けの中で生まれたキャラクターでもあります。

―― チトが日記を書いたり、ユーリがカメラで写真を撮ったりしていますが、二人が世界を記録するような役割を担ったりしているのでしょうか。

つくみず そういうわけではないです。終末世界を旅しながら記録していくストーリーはありがちな話かもしれませんが、この作品では二人はそういった役割を担っているわけではありません。何の意味も持たないというスタンスでたぶん最後まで描いていくと思います。

表現って何だろうということを常に考えています

―― Twitterに短めの動画(GIF)を上げられていますが、映像にも興味があるのでしょうか?

つくみず そうですね。アニメが好きで、自分でも描いてみたら面白くて。アニメ作品も作ってみたいと思っています。難しいかもしれませんが、トライはしてみたいんですよね。表現に対しての好奇心が強くて、絵でもそうだし、アニメだったり、詩を読むのも好きですけど、いろんなものに触れながら、表現って何だろうと常に考えています。

―― 作画はPCですか?

つくみず 下書きは鉛筆で描いて、それをPCに取り込んでペン入れやトーン貼りなどをしています。ソフトは「CLIP STUDIO PAINT」を使ってます。これがあればだいたい描けちゃうんですけど、将来的にはアナログでペン入れもやっておかなきゃなと思っています。

―― やっておかなきゃというのは?

つくみず デジタルとアナログどっちがいいのか分からないので、試してみないとなって。絵を描き始めたころからずっとPCでやっているので、アナログでの表現をあまりやっていなくて。マンガを描くときに、もしかしたら紙とインクの方がいいかもしれないなと最近思い始めたんです。

―― アナログからデジタルに移行する方が多い中、その逆というのは新鮮ですね。

つくみず 最終的に紙媒体になるのに、デジタルで描くというのもなって。デジタルだと拡大・縮小ができちゃうんで、紙面全体のバランスを把握しづらいんですよ。それがいま一番のネックです。

チトとユーリを描いてもらった

チトとユーリを描いてもらった1 「いいですよ」と快諾してくれたつくみずさん
チトとユーリを描いてもらった2 線が震えているのは、ジブリなどの原画を担当しているアニメーター・大平晋也さんの影響で、なるべく力を抜きながら描いているためだという。日々、描き方に関しても実験を重ねている
チトとユーリを描いてもらった3 「ストロークで線を引いちゃうと意識が途絶える気がするんですよね」と、つくみずさん。始点から終点まで、いかに均一な線で表現するかで正確な立体描写が生まれると話す
チトとユーリを描いてもらった4 こちらが完成したもの。大学生のころ絵画の先生に教わった、白と黒、明暗のバランスを考えることを意識しており、最近はネームから白黒の配分を考えて描いているという

―― イラストまで描いてくださってありがとうございました! 物語はすでに結末まで考えられているのでしょうか。

つくみず そこはまだぼんやりと。結末らしい結末が果たしてあるのか、わたし自身も探りながら描いています。

―― まだまだ作品が続いてほしいという意味でも、二人にはもっといろんな場所を旅してもらいたいです。では最後に、今後の目標と読者の方へ一言お願いします。

つくみず 目標は、「少女終末旅行」に関して言うならば、「自分の納得するものを最終巻まで描き続けること」です。

 ファンの方には、実生活の良さというものを見出しながら生きていってほしいです。この作品が、楽しく生きるための助けになればと思います。

―― 2巻発売でお忙しい中、ありがとうございました!

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/22/news047.jpg 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  2. /nl/articles/2412/18/news207.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. /nl/articles/2412/21/news040.jpg 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. /nl/articles/2412/22/news034.jpg 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
  5. /nl/articles/2412/21/news019.jpg 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  6. /nl/articles/2412/22/news036.jpg 「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
  7. /nl/articles/2412/21/news023.jpg 「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
  8. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. /nl/articles/2412/17/news042.jpg 山奥で数十年放置された“コケと泥だらけ”の水槽→丹念に掃除したら…… スッキリよみがえった姿に「いや〜凄い凄い」と210万再生
  10. /nl/articles/2412/22/news020.jpg 余りがちなクリアファイルをリメイクしたら…… 暮らしや旅先で必ず役に立つアイテムに大変身「目からウロコ」「使いやすそう!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」