旬を迎え寒さとともに甘さをます野菜、日本人が大好きな「大根」がおいしい季節です!

日本の野菜の代表ともいえる「大根」の奥深い魅力を少しのぞいてみましょう。

» 2015年12月13日 18時00分 公開
[日本気象協会 tenki.jp(http://www.tenki.jp/)]
Tenki.jp
大根 はっぱもおいしいよ

 鍋やおでんが恋しくなる季節がやってきました。そんな晩秋から冬にかけては、「大根」がおいしくなる季節。日本各地、その土地の風土によって姿、形、味もさまざまな「大根」。八百屋やスーパーで最もポピュラーな「青首大根」だけでない、日本の野菜の代表ともいえる「大根」の奥深い魅力を少しのぞいてみましょう。

2000年以上昔に日本へやってきた「大根」。いにしえの歌に詠まれた呼び名は“おほ(お)ね”

 記憶に新しいことと思いますが、今年の秋に厚生労働省が発表した統計によると、(国民健康・栄養調査を基に、2012年11月のある1日に約3万2000人を対象に食べた野菜の量を調べたそうです)。日本人が最も多く食す野菜ランキングのトップにあげられたのは「大根」でした。漬物で、煮物で、サラダで、おろしで、刺し身のツマでと、一年中大根は大活躍。冷蔵庫に常に常備されているご家庭も多いことでしょう。

 そんな大根の歴史をひもとくと、「大根」が生まれ故郷の地中海沿岸からはるばるシルクロードをわたり日本へ伝わったのは、約2000年前のことだとか。大根が登場する最古の文献は、千数百年前のもの。古事記や日本書紀に出てくる仁徳天皇の歌に“おほ(お)ね”という言葉があり、「大根」は古代では「大きい根=おほ(お)ね」と呼ばれていたことがわかります。

 その後、漢字の「大根」をあてはめられ、発音も次第に“だいこん”となっていったのでしょうか。

大根 漬物になる前に干されます

江戸時代の大根は味自慢の個性派揃い! 今に残る江戸東京野菜「練馬大根」、「亀戸大根」、「大蔵大根」

 さて、時代変わって、江戸時代の「大根」はどんなものだったのでしょうか。すでにこの時代に百万都市であったという東京・江戸。人々の食卓を支えるために、各地で多くの野菜が栽培され、様々な大根も登場していたようですよ。

 五代将軍綱吉が、練馬村で脚気療養中につくらせた大根が、「練馬大根」のはじまりと言われています。関東ローム層の土に良く合い、自然交雑を重ね、実にいろいろな練馬系大根が誕生したとか。ちょうどその頃、かの沢庵和尚が“たくあん漬け”を考案。練馬大根は漬物用の大根として、江戸〜昭和のはじめまで大きな発展を遂げたのです。今でも「練馬」と聞けば「大根」をすぐ思い浮かべるのは、こんな歴史があるからなんですね。

 また、“おかめ大根”とか、“お多福大根”とか、愛らしい名前で呼ばれていたのが、根の長さ25〜30センチ、直径も3〜6センチと小ぶりな「亀戸大根」。これは、初物好きの江戸っ子が、春先に葉と根を一緒に浅漬けにして食べていたものなのだそうです。

 ほかにも、秋つまりという練馬大根の改良種が、東京・世田谷の大蔵原(今の東京農大周辺)で広まった「大蔵大根」という品種もあります。今では青首大根の台頭によりすっかり見かけなくなりましたが、世田谷区では“まぼろしの大根”といって栽培を再開しています。大根本来のほろ苦さが残る味わいは格別。さらに、味がしみやすく荷崩れもしないことから、煮物に抜群とされ密かな人気となっています。

大根 小ぶりでかわいい亀戸大根

ビタミン&ミネラルの宝庫「大根の葉」は捨てないで! 存分に活用しましょう

 全国的に「青首大根」が主流になった理由は、葉っぱが広がらず畑での植え付け面積を取らない点と、買い物カゴにすっぽり入る手頃な大きさが主婦層にうけたということは、世田谷区の農家さんに聞いた話。そんな青首以外にも、三浦大根や聖護院大根、桜島大根など、古くからその土地で栽培されている「地大根」があります。

 先述の「大蔵大根」もその一つですが、世田谷のJAで見ると大きさもバラバラ、長さもバラバラですが、だいたい40〜50センチ、直径6〜8センチ位の円筒形。葉の部分もボリュームたっぷりで、真っ白な根もさることながら、青々とした「葉っぱ」がおいしいのが特徴です。

 実は、βカロテン・ビタミンC・ビタミンK、葉酸といったビタミンや、カルシウム、カリウムなどのミネラルを含む「大根の葉」は、「緑黄色野菜」に分類されるほど栄養価抜群。なんとカルシウム量は小松菜に匹敵するほどで、ほうれん草と比較するとビタミンCも鉄分もカルシウムもかなり多く含んでいるそうです。

 胃腸の働きを整え、便秘や冷えの解消など健康や美肌に効果があるというので、この冬はぜひ葉っぱつきで購入したいですね。

 葉付きで入手した場合は、すぐに根と葉を切り分けることをおすすめ(付いたままだと栄養がどんどん葉っぱに持っていかれちゃうんです)。

 さっとジャコや胡麻と炒めたり、生でサラダにしたり、浅漬けやナムルにしたり、おみそ汁の具にしたり、干して入浴材にしたりと葉っぱの調理法&用途は様々。さっと茹でたり、干した後に冷凍すれば、日もちもします。

大根 世田谷野菜・大蔵大根

 ちなみに、大根のふろふきをつくる場合、茹でるのもいいのですが、切って面とりした後に蒸すのもおすすめ。その後、じっくりだしを含ませて、ほっこりあつあつ食卓でお楽しみください。

 寒い季節に甘さとみずみずしさを増す「大根」。ぜひこの冬は、旬を迎えたそのおいしさを、葉っぱごと存分に満喫したいものですね。

※参照&引用 江戸・東京ゆかりの野菜と花(JA東京中央会)

大根 あつあつ、ほっこり、じんわりおいしい冬の味

関連リンク

Copyright (C) 日本気象協会 All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  2. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  3. /nl/articles/2412/12/news089.jpg フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. /nl/articles/2412/14/news081.jpg 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  5. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/14/news038.jpg 「釣れすぎ注意」 消波ブロック際に“カツオを巻いた仕掛け”を落としたら…… 驚きの結果に「これはオモロい!!」「こんなにとは」
  8. /nl/articles/2412/14/news063.jpg 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  9. /nl/articles/2412/14/news002.jpg 【今日の難読漢字】「男衾」←何と読む?
  10. /nl/articles/2412/15/news024.jpg おじいちゃん「昔はモテた」→孫は信じていなかったが…… “今では想像できない”当時の姿が140万再生「映画スターのよう」【米】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」