一条ゆかり描く大人恋愛劇「5愛のルール」に学ぶ、女性受けする男の条件
優しくてイケメン、時には冷たいけどレディーファースト。
きらびやかな広告業界を舞台にした5人の男女による恋愛泥沼劇「5愛のルール」。同作は第1章で打ち切りとなってしまい未完のままでしたが、時を経て第2章のストーリーが収録されることになり、ファン待望の文庫化として発売されました。ちなみにタイトル「5愛のルール」とは、いい広告を作るための条件である「5Iのルール」にかけた造語です(Idea 、Impactなど)。
小さな広告代理店で雑用ばかりさせられている浅野麻保は、自分の才能をどこかで試したいと思いながら悶々とした生活を送っていました。そんな中、同居中の姉・理恵がきっかけで大手広告代理店の課長・鷹見耕一とカメラマンの立原に出会い、鷹見の元で働くことになります。鷹見はある復讐のために、周りの女性に思わせぶりな態度をとって、婚約者でありトップモデルのユリアや理恵、そして麻保までをも虜にしていきます。何もかもを手に入れているはずの鷹見が企てている復讐とは……!?
今回作品を紹介してくれるのは、大人の恋愛劇を描く一条ゆかり作品を小学生のころから読んでいたという海百合子ちゃん。鷹見&立原という2人の男性が持つそれぞれの魅力について聞きました。
きらめく広告業界を舞台にしたラブストーリー
―― 百合子ちゃんは一条ゆかりさんの大ファンと言うことですが、今回「5愛のルール」を選んだ理由は?
広告業界のコピーライターのように、「コピー1本10万円」とかアイデアがお金になる世界に職業的にすごく憧れがありました。センスという名の能力があって、目に見えない技術が仕事として成立していて。著者本人も言っているんですけど、少女漫画にしては珍しい舞台で、そういうのが自分の中でヒットしました。
―― 特に印象に残っているシーンはありますか?
麻保ちゃんは最初さえない女の子だったんですけど、鷹見さんに認められて大手代理店で働くことになってから、カメラマンの立原さんに「時代の先端を行く広告代理店で働く人が流行に疎くちゃ駄目だよ」って言われて変身させられるんです。髪の毛を切ったり、化粧を教わったり、ドレスを買い与えられたり。そんなシンデレラストーリーが大好きです。
―― 憧れる仕事ということですが、今の百合子ちゃんにもつながっていることはありますか?
「5愛のルール」だけでなく、一条ゆかり作品からはがっつり影響を受けていますね。モデル業界やデザイン業界を舞台にしている漫画が多いんですけど、仕事の様子は熱血さを感じないくらいクールに描かれているので、子ども目線ではただただ楽しくて華やかな仕事に見えちゃうんです。
だから私も、そういう華やかな世界に魅せられて少しながらモデル出演したり、美術系の大学を出ていたりと、しっかり影響受けちゃってますね(笑)。
―― 人生に影響を与えるとは一条ゆかり作品恐るべし。他にはどのような魅力がありますか?
登場人物の立ち位置がしっかりしている構成力にもひかれます。貧しかった姉妹がモデルやトップ広告代理店で働きたいってどんどん変わっていく中で、鷹見さんは彼女たちを愛しているそぶりを見せながらも、復讐のことしか考えていない仕事人間だったり、その4人を客観視している立原さんだったり。みんなやりたいことがはっきりしていてブレないんですね。
―― 構成力まで分析しているとは相当なファンですね……!
女性からモテまくる鷹見耕一の魅力を分析
―― 読者の一部からは「鷹見の性格を全部分かっている麻保ちゃんまでも何でほれてしまうのか」と疑問が挙がっているようです。皆がほれてしまう鷹見の魅力を百合子ちゃんはどう分析していますか?
地位とか名誉が好きな人もルックス重視の人も、みんな鷹見のことが好きになるんです。要は何でも持っているからなんですよね。
―― 鷹見さんは男性として完璧だと。
そう、完璧なんです。優しいし、時には冷たかったりってところもいいんじゃないんですかね。レディーファーストだし、女性が望むものを与えることもできる。でも仕事に一生懸命で「後にしてくれないか」とかさらっと言えちゃうところが、女性を追いかけたくさせるんじゃないでしょうか。
多分、皆分かってるんですよ、立原さんの方が幸せになれるって。でも……。
―― 鷹見さんのアメとムチな接し方に多くの女性が魅了されるのですね。一方で、立原さんの魅力はどんなところですか?
立原さんは、麻保ちゃんと二人きりになるとズバズバ麻保ちゃんの気持ちを言い当てるんですよ。麻保ちゃんの気持ちを代弁して「これって◯◯だよね?」って。読者から見ても「お前バレバレだろ」って感じなんですけど、麻保ちゃんは疎い子だから「何でこの人はこんなに女性の気持ちが分かるのかしら、怖いわ気味悪い」ってなるんです。
「花より男子」で言うと、花沢類が冷たくなった感じですかね。「誰の立場にも味方しないよ、自分の身は自分で守るし」って感じで、どれだけ相手が傷つこうが自分が思っていることを言うような、一匹狼なところがありますね。
―― 百合子ちゃん的には、立原さんの方が好きなんですよね?
そうなんです。私は立原さんみたいになれないから憧れるのかもしれません。言いたいことを言って、誰に嫌われたっていいやって男性はカッコいいと思います。
まぁでも、立原さんは良くも悪くも正直すぎるからみんな鷹見さんを好きになっちゃうんですけどね……。
―― 立原さんに注目して読むと、また違った読み味が得られるかもしれませんね。本日はありがとうございました!
海百合子ちゃんプロフィール
名前:海百合子(うみゆりこ)
生年月日:1991年2月12日
出身:東京都
職業:カフェバースタッフ
趣味:海をみること、お酒を嗜むこと、ベッドを整えること
他に好きなマンガ:めぞん一刻、女ともだち、天使のツラノカワ、北斗の拳、KAPPEI
Twitter:@seayuriko
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