「1999年が近づいてきてヤバいと思った」 伝説の漫画「MMR」を作った男たち タナカ・イケダ・トマル隊員インタビュー(後編)(3/4 ページ)
「オレにだって……わからないことぐらい…ある」の真相
―― 連載が続くうちに、「MMR」メンバーもキャラとして成長していきましたよね。
イケダ キバヤシさんについては、こちらが悪ノリしたところがありまして。ご本人が本当にお忙しかったとき、どんどん僕らが暴走させたところはあるかもしれません。
―― キバヤシさん本人は何か仰ってました?
イケダ キバヤシさんもエンターテインメントの人なので割り切っていて、面白くなるならどんなふうに扱ってもいいよ……とは言ってないですけど、勝手にそう思って進めています。
―― あ、許可取ってないんですね(笑)。「な、なんだってー!」って、本当に現場で言われたんですか?
タナカ あれは石垣さんが描いたんですよね。はじめて言ったのは、実はナワヤの報告に反応したキバヤシなんですよ。それがキバヤシが「〜なんだよ!」と断言するのが定着してきてから、石垣さんが「なんだってー!」と他のメンバーが驚愕(がく)する方向で描いたのがすごく受けて、そのパターンが定着しちゃった。
イケダ そこは石垣さんのネーム力のすごさですよ。「時空を超えてあなたは一体何度我々の前に立ちはだかってくるというのだ! ノストラダムス!」も石垣さんが考えたセリフですね。
―― 「MMR」はノストラダムスを何度も引用してるんだから、立ちはだかって当然なんですよね。
イケダ 最後のほうではキバヤシが言う「オレにだって……わからないことぐらい…ある」という言葉。あのへんも石垣さんでして、僕らも打ち合わせをしてネームを読んでみたとき、楽しくて笑っちゃいましたね。
トマル でも「わからないことぐらい……ある」ってのは、さすがにリアルキバヤシさんにやりすぎだよ! と怒られて(笑)。面白いならいいじゃないですか最後なんだし、みたいな。
イケダ 逆に言うとあれ以外は何でも知ってるという。すごい面白かったですね。
メンバーの特徴を的確にとらえた石垣先生のキャラ作り
―― イケダさんのキャラ立てとしては「コンピュータやネットが使いこなせる人」でしたね。
イケダ 一応は大学までは理系だったので、そういうことになったんですかね。
タナカ でも俺の印象としては、イケダは英語が堪能で、アメリカに2年行っていて、チャーリーと親友で。
―― メルマガで、トマルさんは「キバヤシさんは格好良く描かれてるのに、自分は実物のままだ」とボヤかれてましたね。
トマル 編集部でいつも適当な格好をしていたら、石垣さんが魚のTシャツ姿で描いちゃって、それがデフォルトになってしまいました。
イケダ 僕もヒゲを生やした時期があったんですけど、それを見た石垣さんが「Ressurection」で描かれてましたよ。バカなことやってるなと思って入れたんじゃないですかね。
―― 石垣さんは、実在の人たちをモデルにしたキャラ作りが絶妙ですよね。ご本人にお会いすると、ちゃんと「MMR」メンバーだと分かりますし。
イケダ やっぱり漫画家さんって、人の特徴をとらえるのがすごく上手いですよね。たぶんキバヤシさんと話すなかで石垣さんがキャラを感じ取って、その観察力がセリフの節々に表れてるんじゃないかなと。
―― みなさん漫画の中に出られていて、有名人ですよね。周りから何か言われたりは?
タナカ 一番びっくりしたのは、ネパール旅行に行ったときに山登りで知り合った人に、「週刊少年マガジン」好きなんですよ、特に「MMR」と言われて。それで「MMR」のタナカですよと言ったら、ええーっと驚かれて。あと、友達の結婚式に行ったとき、新郎の友人に「『MMR』のファンなんですけど、サインしてください!」と言われ、仕方なく崩し文字でタナカと書いてあげまして。その人、小学館の社員だったんですね(笑)。
―― 出版社を超えたファンという(笑)。
イケダ 僕は、連載当時はほとんどなくて。逆に最近ですよね、元読者の方がある程度の年齢になって、仕事でお会いしたときにもしかして……という話になることがすごく多い。
―― イケダさんは柴田亜美さんの漫画を担当されたとき、「MMRイケダ隊員」と描かれてましたよね。
イケダ それは一部の方だけに知られてたんですが、ここ最近は仕事でお会いする人に言われるようになりました。やっぱり石垣さんの描かれた絵が印象的で、子どものころからずっと記憶に残っていた人が多いんじゃないですかね。
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