四角形を動かすだけでオリンピックからパラリンピックへ 東京五輪のエンブレムの秘密に驚きの声があがる
こんなに考えられていたとは。
4月25日に決定した2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム「組市松紋」を、数学的に分析するツイートが注目を集めている。その設計の緻密さに、デザインの完成度をあらためて見直す声もあがっているようだ。
「組市松紋」は、数学的なアプローチから無数の文様を作り続けるデザイナーの野老朝雄さん(47歳)が制作。紺一色の3種類の四角形を45枚組み合わせ、オリンピックとパラリンピック、それぞれ異なる市松模様の輪をデザインした。「多様性と調和」のメッセージを込め、同大会が国や文化・思想など違いを認め合い、つながる世界を目指す場であることを表現しているという。
Twitterユーザーの@mocho_twさんは両エンブレムを比較したところ、どちらも四角形の数が同じであるだけでなく、内側の円の半径も等しいことに気づいた。さらには双方の違いは四角形の配置だけで、どちらも3種類の四角形を同じ枚数・角度・大きさで使っていることも発見。「本当によくできたエンブレム」と感心した
野老さんは25日の記者発表会で、「一つ一つのピースを数えると45枚。五輪もパラリンもおんなじピースを組み立てていくというのはずっと考えてきたことです」と語った。両エンブレムの四角形の数が一緒なのは「パラリンピックにもある平等の精神を意識した」とのこと。45枚という数字については「数の摂理の問題」「あまり意図はありません」と言っていたところから、幾何学的なアプローチで挑んでいたことが分かる。
建築家・プロダクトデザイナーの山中祐一郎さんはFacebookで、本来のエンブレムが持つべき意味と可能性という視点から、野老さんのエンブレムの决定について「本当に良かった」と述べている。
山中さんは1968年のメキシコ大会、1972年のミュンヘン大会の成功事例を挙げながら、エンブレムから拡張されるデザインシステムは、「小さなグラフィックやタイポグラフィに始まり、広告などのビジュアルイメージに展開し、動画になり、立体化、空間化され、風景を構成する基本要素に至るまで、総合的アイデンティティーとして展開可能なもの」だと説明する。
2020年東京大会のエンブレムも大きなシステムの一部かつ象徴となるものであるべきだとし、デザインにそのシステムを構想しているのが野老さんの案だったと振り返る。「彼は元来建築家でもある。立体化、空間化しランドスケープができる時にこそ、エンブレムに潜んだシステムが可視化されるだろう」と、今回のエンブレムからさまざまな展望を示唆した。
野老さんは記者会見で、今回のエンブレムは平面にとどまらず立体化な展示も視野に入れているとも語っていた。選ばれたことに「とても長く時間をかけて作図した。我が子のような作品」と喜びを述べていたが、その言葉の裏側にあるデザインの意図は、今後の展開でさらに明らかになるのかもしれない。
追記
Twitterユーザーの@ibuki7さんは、エンブレム全体が12角形の集まりとして捉えられると分析。25枚の四角形はそれぞれ12角形の頂点を結んで作ったものだと推測している。
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内村さんの一人舞台「東京オリンピック生まれの男」の感動が再び。10月には映画化も。
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