あれも大根、これも大根、大根だらけの「大根づくし縁結び定食」とは?

デザートも大根で作られています。

» 2016年06月13日 09時00分 公開

 毎日祭りのようなにぎわいを見せている東京の浅草は、浅草寺をはじめ数々の寺社仏閣が立ち並んでいます。歩いているだけでもご利益に恵まれてしまいそう。そんな霊験あらたかなこの街に、縁起のいいメニューを名物にした新しいカフェがオープンしました。

 浅草駅から徒歩10分、夫婦和合や願望成就で有名な「本龍院 待乳山聖天(まつちやましょうてん)」の目の前にできた「ごはん×カフェ madei(までい)」。強力なパワースポットの眼前に今年3月26日に開店した新しいお店です。


画像 聖天さまの真ん前にある

 一見、老舗の日本茶や和菓子店がリニューアルしたのかと思える外観ですが、中に入れば心を無にしてくつろげそうな雰囲気が印象的です。


画像 木のテーブル席4人掛け、2人掛けが並びます

 席について、前方の黒板を見ると、あるメニューが目にとまりました。「大根づくしの縁結び定食」。そう、こちらは待乳山聖天のシンボルのひとつである大根を使った定食が話題なのです。しかも「縁結び」なんて、ちょっとうれしい。


画像 「大根づくしの縁結び定食」以外にも数種類の献立を用意

 「大根づくしの縁結び定食」を頼み、どんな料理が運ばれてくるか期待しながら待つ間、店内を一周。すると、奥には小上がりが。なかなか“味”のあるちゃぶ台が置かれています。こじんまりとした“昔の家の居間”っぽい座席に座ってみたいと思うのは筆者だけではないでしょう。


画像 店主の祖母の愛用品だったちゃぶ台

 壁ぎわはベンチシートでひと続き。さまざまな柄の座布団と木の風合いが、妙にマッチしています。


画像 和テイストのカバーで作ったオリジナル座布団

 そうこうしているうちに「大根づくしの縁結び定食」が運ばれてきました! 香りがい〜ぃぃぃ。献立は、大根の炊き込み御飯、大根のみぞれ汁、大根と豚バラの炊き合わせです。


画像 「大根づくしの縁結び定食」は平日と休日で多少内容が変化します

 まずはメインの大根をいただきましょう。サクッと切れ、薄味なのにしっかりとした味。味の主張が強くなく薄めの味つけなのに、ダシの味がしっかりと味わえます。さらにお好みで青柚子を絞ると、酸味で爽やかな風味がプラスされ、箸がいっそう進みます。


画像 塩で炊いた夏向けの味

 大根づくしというからには、小皿も大根。皮の部分を使っており、大根特有の辛みをほのかに感じられる漬物でした。


画像 大根の皮のたまり醤油漬け

 ご飯ももっちりとした食感で天然の甘みが口の中でフワッと広がります。ダシを吸った大根がミックスされ、何杯もおかわりできそう! 大根おろしが入ったみぞれ汁とも相性良くて大満足でした。


画像 グリーンが乗って、色合いもキレイ

 ちなみにご飯は土鍋で炊いているそう。店主は「実は、うちの自慢はご飯なんです。だから店名にもね」と満面の笑みで話してくれました。なるほど、「ごはん×カフェ」で納得です。


画像 土鍋で炊くとご飯を冷凍してもおいしさが持続するという

 このほか別メニューにも、大根を必ず入れているとのこと。紅芯大根やカイワレ大根なども使い、料理の中にさりげなく大根を使っているんだとか。どこに大根があるか、探すのも楽しみになりそうです。

 さて、定食を平らげたので、次なるメニューはデザートだ! と思っていると、それを察した店主が「うちには2つの看板スイーツがあるんです」とニッコリ。

 最初に登場したのは「はちみつ大根アイス」。大根おろしを甘く煮て、牛乳や生クリームを混ぜてシャーベット状にしたもの。サッパリとした、ほのかな甘みにとろけそう。「大根にちなんだ甘味は作れるのかと思っていたけど、できちゃうもんですね」と店主。しゃりしゃりの食感で、かき氷とアイスのダブルのおいしさを味わっている感じです。


画像 「はちみつ大根アイス」の蜂蜜は、中に練りこまれ、表面にもかかる

 続いては、「madiあんみつ」。上品な甘みがたまらない手作り粒あんに、天草から煮出した寒天、その下には甘くない豆乳かんでバランスをとった和スイーツです。あんみつのイメージが変わった! そんな気持ちにさせる逸品でした。


画像 素朴な中に品のよさを感じる「madiあんみつ」

 この店の料理はどれも手作りで、天然素材がカラダに染み入るような味わいが印象的。「どちらかというと渋めの献立が多く、奇をてらったものはないのですが、ダシに力を入れているので、それぞれの料理を味わっていただけると思います」と話す店主は、栄養士の資格を保有しています。栄養バランスもばっちりな献立というわけですね。


画像 朗らかな表情がステキな店主の礒菜穂子さん

 ちなみに店名の「madei(までい)」とは、店主の地元福島県の方言で「手間ひまかけて丁寧に」という意味。「おばあちゃんがよく言っていた言葉なんです。この言葉に忠実に行動していたら、どこまでも手作りになってしまいました(笑)」。


画像 座布団のカバーと同じ柄のメニューブック

 爽やかな風が吹き、木々の緑が揺れる――、そんな光景を見ながら、ホッとひと息つける場所「ごはん×カフェ madei(までい)」。浅草観光の小休止は、隅田川のほとりでゆるりとするのもいいですが、ここに立ち寄り、「食」と「空間」から栄養をいただきたいものです。

(茂木宏美/LOCOMO&COMO)


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