ついに出ちゃった、声優・原田ひとみさんの「はじめてのノベルゲーム」正規版はやっぱりカオスで、ちょっぴり泣けたねとらぼレビュー

なんかいろいろ卑怯なのでレビューします。

» 2016年09月04日 23時00分 公開
[たまごまごねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 以前紹介した原田ひとみさん原案・原作・シナリオ・企画・演出・宣伝・美術監督・音響監督・主題歌・ヒロイン役・プロデューサーなどなど担当のカオスゲー「はじめてのノベルゲーム」が、夏コミで頒布されました。現在通販と委託販売の予約が始まっており、発売は9月21日。ステラワースゲーマーズとらのあなで取り扱います。



 声優に、水島大宙さん、平川大輔さん、金元寿子さん、丹下桜さんなどなどが集結し、システム制作はゲーム会社のminori。個人製作にしてはあまりにも豪華すぎる。


画像 よく集まったなあ……(ゲーム画面より)

 もともとは原田ひとみさんが骨折して入院中に、フリーのscriptと素材だけで作ったゲーム。どえらい混沌とした作品でした(関連記事:骨折で入院中の声優・原田ひとみさんの作ったゲームがカオスでかつ感動作だと話題に)。



 元のバージョンはフリー素材でつくられたもので、なんとなくギャルゲーかな、と分かりやすかったんですよ。ところが完成作品のキャラ絵は、意外にも女性向けゲーム寄り。

 これ男性向けなの? 女性層ねらい? 気になったので(あと元のフリーゲームが面白かったので)買ってやってみたんですが、うん、ごめん、どっちでもない別物だわ

 「フラットな気持でプレイするといい」、と言いたいところですが、ある程度先入観持ってやった方が(例:声優さんの作ったゲームだ、下ネタが多いらしい、丹下桜さんなんの役なの、などなど)、いい意味で裏切られて楽しいと思います。

カオスなままだった

 元のゲームの混沌としたノリは、一切削られていません


画像 どう形容すればいいのかわからない……けど、割りと大事なシーンです

 主人公のひとしの前に「マリアンヌ?」(?までが名前です)というシスターが登場。わけも分からぬまま異世界に飛ばされてしまう、という物語。ひとしが世界観のいびつさに、常時ツッコミを入れながら話は進みます。

 とんがったパロディもそのまんま。このへんが個人製作のいいところ。商業でやったら多分怒られる。


画像 宿屋の名前!! 怒られるよ!

 原田シナリオの持ち味は、隠さない下ネタの乱発。次から次に声優さんたちが、真剣に下ネタを畳み掛けてくる波状攻撃。これもやっぱり商業でやったら場所によっては怒られる。でも下ネタがないと、はじノベは成立しないってくらい重要。


画像 ひどい(褒めてます)

 やっぱり、アニメ好きなら誰もが聞いたことありそうな声優さんを並べたのはずるいな! めちゃくちゃテンポよく掛け合いを重ねてくるので、フリーゲーム版の方をプレイ済みでも全然飽きません。漫才を聞いているかのよう。特に水島大宙さんのツッコミが冴えまくっているため、もともとの高いテンションが何倍にも跳ね上がっています。


画像 うっとうしいわ!!! 神とは原田ひとみさん本人。何回も登場します。

 幾度と無く「これはひどい」と褒め言葉のツッコミを入れたくなるシーンの連続。ところが後半に行くにしたがって、急激にシリアス展開に。そして分岐エンディングはどれもこれも、ガチなものばかり。めちゃくちゃにすら見えた、広げまくった伏線が一気に回収されていくのは、ちょっとゾワッとします。


画像 突然物語はシリアスに

「はじめてのノベルゲーム」のタイトルへのこだわり

 そもそもタイトルが「はじめてのノベルゲーム」ってなんだよ、って話ですよ。確かに最初のフリーゲームは、付け足し付け足し作ったそうなので、そのタイトルは分かります。けれどもリブートで豪華キャスティングで作って、そのタイトルのまま?

 ……と、最初は思っていたのですが、一通りクリアすると「はじめてのノベルゲーム」じゃないとダメだと理解しました。


画像 これはフリーゲームを作り始めた最初の時に作った文章かと思われますが、あえてそのまま

 「物語」が分かるようなタイトルでは全くない。でもこの作品の場合、作者には物語だけが重要なのではない。自分のはじめての経験そのものや、はじめてだから思いっきり詰め込んだ好きなもの全てを見てほしい、という方向にプレイヤーの目線を向けさせるには、このタイトルが的確。

 ゲーム制作の事実と体験。声優さんたちの声。イラスト。キャラクター。会話の内容。物語のパーツ。パロディ。パロディ元作品。そしてもともとのフリー素材。ひとつひとつ全てを、等しく価値のある大事な素材にしたいという思いが、作中の会話でほのめかされていて、納得。

 内輪受けじゃない、ちゃんとしたゲームにしちゃったこと自体も、ネタであり、欠かせない素材のひとつじゃないかな。

メタを重ねたメタ視点ゲー

 最初に、男性向けでも女性向けでもない、と言ったのは、このゲームが「メタ視点ゲー」だからです。常時デッドプールが口を挟んでくるような感じ。

 主役であるひとしとマリアンヌ?が、ゲームの構造やストーリーのありかたに、もりもりツッコミを入れてくる。時々原田さんのセリフにすらなる。「男性向けゲームならこれはお約束」「女性向けだとこんなシチュあるよね」「ノベルゲーって、こんな選択肢あるある」というのがどんどん出てくる。


画像 ちょっとビクッとする。誰の発言か、「?」のせいでわからなくなる

 例えば「マリアンヌ?」という名前の「?」は、外部から見てわかる符号であって、本来ありえない。ところがこの名前の意味が、物語を解く鍵になっています。声優さんたちが「マリアンヌ?」をちゃんと疑問形にして読み上げて、混沌とした世界観を一発でわかるようにしちゃっているのは、今回声がついたからこその面白さ。ストーリーの作り方としてはだいぶ変化球。

 オタク文化あるあるネタも、下ネタも、もりだくさん。髪の毛の色ピンクだから淫乱なネタ言っていい、と割り切る豪快さ、好きです。メタ的に歌詞などを使って「そういう冗談です」とツッコミを入れる。この冗談が集まって、気づいたらストーリー化。途中からどんどんバランスが取れて、冗談が事実になり、きっちりエンディングに向かっていく。「はじノベ」が「カオス」と言われるゆえんであり、最大の個性だと思う。


画像 ノベルゲーム慣れしている人ならゾワッとするシーン、というネタ……のはず? マリアンヌ?

 といっても、序盤は本当に適当に作ったらしく、最終的な整合性は全部後付けとのこと(ゲームの小冊子より)。逆にすごいわ。

おまけ要素満載でした、あとリコッタかわいいです

 最後に。リコッタかわいいです


画像 真ん中の子。名前長い。かわいい

 登場したとき、ぼくのテンションがマックスに。「イカ娘だ!」「カチューシャだ!」「金元寿子さんだ!!

 この純粋少女に金元寿子さんの声は卑怯だよ! そんなのかわいいに決まってるじゃん! 元のゲームやったときより印象だいぶピュア化してるよ! 原田さんのセクシーボイスと対比できちゃうからえらいこっちゃよ。

 この子掛け値なしにめっちゃいい子で、話を追っていくとムニャムニャなので、最後まで見ると良いです。

 おまけ……というにはボリュームが多いものとして、それぞれのキャラのスペシャルドラマ(後日談)と、パラレルワールドの「はじノベ学園」が入っています。

 

 プロの人がプロ力を結集して、商業ではない場所で、思いっきり羽を伸ばした作品を出す、というのは同人即売会の面白さ。夏コミだと西川貴教兄貴も同人誌を出していて(関連記事)、話題になりました。今後も増えていきそう。

 原田さん、次は百合ゲー楽しみにしています。



たまごまご


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」