ニュース
» 2016年10月18日 15時00分 公開

「留年や中退は決して人生の破滅ではない」 京大の手引「留年について」が挫折した学生を優しく導く名文

留年や中退などは多くの人が経験するごく普通の出来事としたうえで、向き合い方を優しく記しています。

[沓澤真二,ねとらぼ]

 京都大学のカウンセリングルームによる手引き「留年について」が、心優しい名文と注目を集めています。公式サイトに掲載されているもので、留年を悲観的にとらえずに向き合うべきと、学生を優しい文章で導いています。


留年について 「留年について」

 文部科学省の調査によると、4年制学部を4年で卒業するのは、入学者の約8割弱とのこと。京大でも事情はほぼ等しく、学部全体では約2割の学生が留年するそうです。同学は、これだけの人数に及ぶ留年や退学は、単に個人の失敗としてのみとらえるべきではないとし、「現在の日本の社会において、大学というシステムは一定数の留年や退学を生み出すようにできている」ことを指摘。そこには入試や企業の採用のあり方など、さまざまな要因が多重に関与していることを理解したうえで、留年に取り組むべきと提案しています。

 留年に至るケースには、学業面の困難や修学意欲の喪失など、不本意な要因によるものもあります。この場合、留年が留年を呼ぶ悪循環があるとして、同学は「留年を繰り返させる行動や考え方のパターン」をまとめ、そこから抜け出すための方策を示唆。「うしろめたさから留年を家族や友人に隠した結果、周囲から孤立」「一気に挽回しようと多数の科目を履修し、かえって疲弊して失敗」など、6つのパターンを提示しています。

 特に4つ目の「卒業しなければ生きていけないと考える」では、社会全体の問題をも提起。「卒業しなければ破滅だ」と、極端に悲観的な考えに陥る学生に「あせりをもたらし、かえって修学意欲を窒息させてしまう」と警鐘を鳴らしています。そして、留年や中退、退職などは人生において多くの人が経験するごく普通の出来事であり、「これらに不寛容な社会はチャレンジを抑制するものであり、不健全」と指摘。いつでもやり直しがきく社会作りが必要としています。

 「留年脱出のためのちょっとした工夫」の項では、「毎日缶コーヒーを買いにいく程度の習慣をつけることで、大学に行けるように」「大学外でいいので普通の生活を続け、“ぼちぼち”大学について考える」など、具体的な方策を提示。留年がもとで授業が同じ知り合いがなく、相談相手がいない場合では、京大のコミュニティサイト「kyoto-u.com」で情報を入手するなど、ネットの活用も提案されています。


コミュニティサイト コミュニティサイト「kyoto-u.com」。講義に関するフォーラムも用意されている

 最終項「留年・中退というキャリア」では、留年や中退のデメリットについて言及しています。「企業の採用方針の狭量さゆえに就活で不利になる」ことは認めながらも、「かといって中退したら人生が終わりだとか破滅だとかいうわけでは決してない」と明言。「当たり前に普通に働いてこの社会を支えている大学中退者はいくらでもいる。留年経験者なら、なおのこと」と勇気づけています。

 こうして「留年・中退=破滅」という固定観念から学生を解放するように文章は結びへ向かい、大学生活に意味を感じられなくなったならば、「やめる」選択肢もあるとも提案。「続ける」という選択を支えている根拠の大きな部分が、周囲の期待や学費の問題など「やめられない」という理由にあるのなら、「一度、やめるという選択肢を落ち着いて現実的に考えてみては」と、学生の視点で親身につづられています。

 「大学における進路変更がより自由に安心してできるような社会をみんなで実現していきたいものです」と、社会全体へ向けて締めくくられた文章は、ネットで大きな反響を呼びました。Twitterでも大勢が言及していますし、はてなブックマークでは1500件を超すブックマークがつけられています。

 「学生時代に読みたかった名文」「心が追い詰められてる学生向けの優しい文体」「学生向けではあるけど、社会人になっても通じる」など、社会人からのコメントも多数。「社会の不寛容さにも言及して、いっしょに住みよい社会を作っていこうと呼びかけているところがすばらしい」との意見が核心と筆者は考えますが、みなさんはどう思いますか?


(沓澤真二)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2205/15/news033.jpg 華原朋美、“隠し子”巡る夫の虚言癖に怒り「私はだまされて結婚」 家を飛び出した親に2歳息子も「もうパパとはいわなくなりました」
  2. /nl/articles/2205/15/news045.jpg 人気動画ジャンル「ゆっくり茶番劇」を第三者が商標登録し年10万円のライセンス契約を求める ZUNさん「法律に詳しい方に確認します」
  3. /nl/articles/2205/14/news007.jpg 子猫のときは白かったのに→「思った3倍柄と色出た」 猫のビフォーアフターに「どっちもかわいい!」の声
  4. /nl/articles/2205/15/news003.jpg “お手”を覚えた子柴犬、披露してみると…… まさかの新技に「進化したお手」「かわいすぎる」の声
  5. /nl/articles/2204/25/news111.jpg 華原朋美、怒り爆発の騒動から初家族ショット “ファンへの非礼”謝罪した夫の姿に「3人揃って良かった」
  6. /nl/articles/2205/15/news039.jpg 生駒里奈、乃木坂46のライブにサプライズ出演し「激アツ」「号泣」「最強」と反響 制服姿で同期メンバーへの感謝メッセージも
  7. /nl/articles/2205/15/news006.jpg タイハクオウムが足をダンダンして荒ぶるワケは…… ママの足の間に入ってご満悦な姿が面白かわいい
  8. /nl/articles/2205/14/news071.jpg ありえない立体「ペンローズの三角形」が粘土で制作される 切れ目無しでの再現に「うおぉぉぉ」「脳がバグる」
  9. /nl/articles/2205/13/news168.jpg ルービックキューブは「2次元」にすると分かりやすい……? 画期的な動画が「天才的発想」「すごいことをしていることだけ分かった」と話題
  10. /nl/articles/2205/11/news167.jpg 「あなたのAirpodsではありません」 隣の人がAirpodsの蓋を開け締めしているせいでiPadが操作できない話がおつらい

先週の総合アクセスTOP10

  1. 名倉潤、妻・渡辺満里奈との結婚17周年に“NY新婚旅行”ショット 「妻には感謝しかありません」と愛のメッセージも
  2. フワちゃん、指原莉乃同乗のクルマで事故 瞬間を伝える動画が「予想の10倍ぶつけてる」「笑い事ではない」と物議
  3. 植毛手術のいしだ壱成、イメチェンした“さっぱり短髪”が好評 「凄く似合ってます」「短い方が絶対いい」
  4. 渡辺裕之、66歳バースデーで息子と2ショット 合同誕生日会に「すごいお料理とケーキ」「イケメン息子さん」
  5. この写真の中に2人の狙撃手が隠れています 陸自が出したクイズが難しすぎて人気 まじで分からん!
  6. 神田愛花アナ、バナナマン日村との“夫婦デート風景”にファンほっこり 「幸せあふれてる」「仲良くてステキ」
  7. 「ビビるくらい目が覚める」「生活クオリティ上がった」 品薄続く「ヤクルト1000」なぜ、いつから人気に? 「悪夢を見る」ウワサについても聞いてみた
  8. 山田孝之、芸能人として“3億円豪邸”に初お泊まり 突然泣き出すはじめしゃちょーをハグする異例展開で「本当にいい人」
  9. トム・クルーズ、4年ぶり来日をウマ娘が発表 突然の大物コラボに困惑する声「まず戸田奈津子さんに理解してもらうところから」
  10. 堀ちえみ、新居ダイニングの解体&再工事が完了 住居トラブルへの怒りも“夫の名言”で鎮火「ハッとしました」