ニュース
» 2016年11月18日 13時48分 公開

ヒラギノ角ゴシック「W0」の雪だるまはなぜ黒い帽子をかぶっているの? 開発元に聞いた

デザインが異なるのは雪だるまだけではありませんでした。

[Kikka,ねとらぼ]

 文字フォントの1つである「ヒラギノ角ゴシック」をW0〜W9まで一列に並べてみたところ、「W0の雪だるまだけ他とデザインが違う」というツイートが話題になりました。 なぜW0だけがこうしたデザインとなったのか、開発元に取材しました。


ヒラギノ角ゴシックW0 W0の雪だるまは黒い帽子をかぶっている(Yusuke Teradaさん提供)

 きっかけとなったのはTeX2img(TeXソースコードを画像で出力するアプリ)の開発者としても知られるYusuke Terada(@doraTeX)さんのツイート。

 ヒラギノ角ゴシックのW0からW9まで雪だるまを1列に並べると、確かにほかの雪だるまが白い帽子なのに、W0の雪だるまだけは黒い帽子をかぶり、微笑んでいるように見えます。

 この違いについてYusuke Teradaさんは、TeXデベロッパー界では、「雪だるま」で遊ぶのが一種の「お約束」となっていると言い、今回の「W0だけ雪だるまのデザインが違う」ということに、今更ながら偶然気づいたと明かしました。

そもそもW0とはどういうフォントなのか

 ヒラギノ角ゴシックW0は、10種類ある「ヒラギノ角ゴシック」の一種。これまでのヒラギノ角ゴシックの中で最も細かったW1の約半分の線幅で設計されており、いわば「極細ゴシック」です。ほかの極細フォントよりもスタイリッシュな印象で人気があります。


ヒラギノ角ゴシックW0 ヒラギノ角ゴシックW0で入力した文字例。確かにスタイリッシュな印象(SCREEN提供)

「なぜW0の雪だるまは黒い帽子をかぶったのか」開発元に取材

 そんなW0ですが、雪だるまに関してはW1〜W9までは全く同じデザインなのに、なぜW0だけデザインが異なるのでしょうか。開発元であるSCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズのフォント担当・三橋 洋一さん(以下、SCREEN)にお話を伺いました。

――なぜW0の雪だるまは黒い帽子をかぶっているのでしょうか

SCREEN:それは、W0だけ制作時期とフォントのデザイナーが異なるからです。W1〜W9までは1990年代に字游工房さんが制作したもので、W0は字游工房さんから独立したヨコカクさんが2014年に制作したものです。欧文はSHOTYPE DESIGNの岡野邦彦さんが担当されています。

――なぜW0はヨコカクさんと岡野さんが担当することとなったのでしょうか

SCREEN:ヨコカクさんは字游工房さんに長年在籍した岡澤慶秀さん率いる書体制作会社で、字游工房と同じく優れた技量を持ち、かつヒラギノフォントのデザインを完全に理解し再現できる数少ない会社です。弊社ではその時々の開発プロジェクトの内容や状況に応じて、この2社から委託先を決定し、品質を維持しています。

――そうだったのですね。具体的にはなぜ雪だるまのデザインが大きく異なるのでしょうか

SCREEN:雪だるま始めいくつかの記号類を弊社では「共通記号」と呼び、本来はフォントのウエイト(太さ)が変わっても、太さを含めてまったく同じデザインにします。しかしW0は細いデザインのフォントのためW0で同じ共通記号を使うと、共通記号だけが太く見えて違和感が出てしまいます。そのためW0では共通記号のデザインを調整してもらいました。

――ということは、雪だるま以外にもデザインが違うものがあるということですか

SCREEN:そうです。しかし多くは微妙な違いで、雪だるまのように「目立つ」違いは他にはないと思います。


ヒラギノ角ゴシックW0 雪だるまを含む共通記号のデザインの違い(SCREEN提供)

――そもそもなぜ「ヒラギノ角ゴシック」に雪だるまが搭載されているのでしょうか

SCREEN:雪だるまは弊社のヒラギノフォントに限らずDTP用のフォントには1990年代から採用されています。現在はOpenTypeフォントが主流ですが、それ以前はCIDフォント、さらにそれ以前はOCFフォントと呼ばれるフォントが主流でした。このOCFフォントにも雪だるまは搭載されています。さらにOCFフォントに雪だるまが搭載されていた理由を少し調べてみたのですが、当時のワープロ専用機に由来するらしいというところまでしか分かりませんでした。

――W0の雪だるまのデザインが違う、とTwitterなどで話題になっていたことは知っていましたか

SCREEN:はい、知っておりました。しかしここまで反響があるとは意外でした。でもこういった話題を機に、より多くの方にフォントを身近に感じてもらえるとうれしいですね。


 三橋さんによると、雪だるまなどの共通記号だけでなくW0では英数字や記号などのデザインも一新されているとのこと。見比べてみると確かにのびやかでメリハリのあるデザインが特徴的ながらも、従来のデザインを踏襲したステキなフォントになっています。


ヒラギノ角ゴシックW0 ヒラギノ角ゴシックW0はこんなデザイン(SCREEN・ヒラギノ総合カタログより)

 普段目にするたくさんの文字フォント、これからは文字そのもののデザインにも注目してみると毎日の生活が楽しくなりそうです。

(Kikka)

関連キーワード

デザイン | フォント | 取材 | デザイナー | 開発者


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2108/04/news015.jpg 柴犬「メシ、よこさんかーい!!(激怒)」 ごはんを忘れた飼い主に皿をぶん投げる柴犬、荒ぶる姿に「爆笑した」
  2. /nl/articles/2108/03/news132.jpg 海外記者「最高のコンビニアイスを発見した」 森永チョコモナカジャンボ、ついに世界に見つかってしまう
  3. /nl/articles/2108/04/news138.jpg アゼルバイジャン五輪代表チーム内で、意外な日本語がトレンドに 「落ち込んじゃったら日本のみんなはなんていうの?」
  4. /nl/articles/2108/05/news122.jpg キモノ風ですてき! 英金メダリスト、プールサイドで編んでいたカーディガン披露「五輪を思い出させる何かが作りたくて」
  5. /nl/articles/2108/04/news164.jpg 「可愛いいいい」「ハートに恋の毒が回りました」 本田真凜、『鬼滅の刃』胡蝶しのぶのコスプレでファンを魅了
  6. /nl/articles/2108/03/news029.jpg もしや女として見られていない? 突然の別れ話に「勝負メイク」で抵抗する漫画 彼氏の言葉がじんと響く
  7. /nl/articles/2108/05/news142.jpg おうちに帰るまでがオリンピックです! 五輪参加アスリート&ジャーナリストが感動した日本式“お見送り”
  8. /nl/articles/2108/05/news015.jpg 飼い主がお風呂に入ろうとしたら……ワンコの先客が!? 一番風呂でくつろぐゴールデンレトリバーに爆笑
  9. /nl/articles/2108/05/news037.jpg 子犬「暑い、むりぃ……」 早朝のお散歩で見せたモフモフワンコの全力な表情が応援したくなる
  10. /nl/articles/2108/04/news154.jpg Twitterで「今見てたツイートが急にスクロールしてどっか行く現象」を抑える方法が話題 「助かる!」「地味にストレスたまってた」

先週の総合アクセスTOP10

  1. 「くたばれ」「消えろ」 卓球・水谷隼、SNSに届いた中傷DM公開&警告「然るべき措置を取ります」
  2. 「貴さん憲さんごめん。いや、ありがとう」 渡辺満里奈、とんねるずとの“仮面ノリダー”思い出ショットが大反響
  3. 怖い話を持ち寄って涼もう→「オタバレ」「リボ払い」 何かがズレてる怪談漫画がそれはそれで恐ろしい
  4. おにぎりパッケージに四苦八苦していた五輪レポーター「日本の素晴らしい人々に感謝」 大量アドバイスで見事攻略
  5. 「助けてください」 来日五輪レポーター、おにぎりパッケージに四苦八苦 海外メディアにコンビニが大人気
  6. 「うちの子に着せたい」の声殺到 五輪会場で編み物をしていた英金メダリスト、作っていたのは「ワンちゃんの服」
  7. 五輪飛び込み金メダリスト、“手作りメダルポーチ”披露 英国と日本にちなんだデザインが「これまた金メダル級」と反響
  8. 武井壮、行方不明だった闘病中の父親を発見 「電気ついてるのに鍵閉まってて……」本人は自宅外で休憩
  9. 「涙が止まらない」「やっと一区切り」 東原亜希、夫・井上康生の監督退任で“17年分の思い”あふれる
  10. 水谷隼スタッフが一部マスコミの“行き過ぎた取材”に警告 住民を脅かすアポなし行為に「しかるべき措置を検討」

先月の総合アクセスTOP10

  1. 「竜とそばかすの姫」レビュー 危険すぎるメッセージと脚本の致命的な欠陥
  2. 笠井アナ、日比谷公園で「信じられないことが…」 サンドイッチを狙う集団に「何? えーっ! まさか、それはないでしょ!」
  3. 62歳の宮崎美子、マクドナルドCMで初々しい中学生少女を見事に演じる 「暖かい目でぜひ見てください」
  4. 瀕死のスズメのヒナを助けたのに…… 「助けたヒナたちに完全にナメられた」動画がほほえましくて面白い
  5. ハート打ち抜かれました! コロンビアのアーチェリー女子選手が「かわいい」「エルフ」と注目の的に
  6. 散歩中のラブラドール、助けを求める子猫を発見→保護 親子のような仲むつまじいふたりに涙が出る
  7. 宮迫博之、美容整形から2週間のビフォーアフター公開 手術直後の腫れ&炎症だらけな顔に「暴漢に遭ったんかって」
  8. 上野樹里、“娘”の誕生日に愛情たっぷり手作りオムライス公開 「がんばろうね ママより」と祝福メッセージ
  9. 出勤時、妻にいつになく強く抱きしめられた夫→妻が家に帰ってくると…… 何気ない日常を描いた漫画にツッコミつつもジーンとする
  10. 「本人にしか見えない」「めっちゃ似てる」 霜降り明星せいや、オリンピック開会式に“ガチのそっくりさん”を発見する