勇者ヨシヒコに導かれちゃった7!!、結成から12年の仲良しバンドは音楽よりもマンガ好き?
ドラマのエンディングで流れるあの曲を歌っているのは、沖縄在住の4人組バンド。
山田孝之さん演じる勇者ヨシヒコが魔王を倒す冒険を描く人気シリーズ最新作「勇者ヨシヒコと導かれし七人」(以下、ヨシヒコ)。「HK 変態仮面」などで知られる福田雄一さん脚本・監督で、くせ者ぞろいのキャスト陣による“低予算冒険活劇”は、シリーズを重ねるごとにファンを楽しませているが、エンディングで流れる「きみがいるなら」がそれまでのテンションをいい感じにクールダウンしてくれて何だか妙に気になる。
ボーカルの透き通った歌声が印象的なこのミディアムバラードを歌うのは、沖縄在住の4人組バンド7!!(セブンウップス)。アニメ「四月は君の嘘」EDの「オレンジ」などでも知られる7!!初のドラマED。10代から20代の女子にも人気の彼らにお話を聞いてみた。
「いいの録れたよ」(MAIKO)
―― 11月23日リリースの新曲「きみがいるなら」は、「勇者ヨシヒコと導かれし七人」のエンディングテーマですね。
MICHIRU ヨシヒコの福田(雄一)監督が、僕たちの「オレンジ」という楽曲を聴いて「エンディングのイメージにピッタリだ」ということで依頼をいただいて。
―― 作詞作曲はMICHIRUさんですよね。歌詞や曲調でお気に入りの部分は?
MICHIRU サビの「ひとりじゃないと思えることが今力になるから」というフレーズがあるんですけど、ドラマや自分たちの私生活をうまくとらえたフレーズだと思っていてすごく気に入ってます。あとはBメロの入り方。ドラマにどう寄り添って表現しようかなと考えたり、NANAEちゃんとかとも相談しながらこだわって作ったので。
―― 「きみがいるなら」は7!!にとって13枚目のシングルですが、ドラマのEDは初めてですよね。
MICHIRU そうなんです! 僕たち、溝端淳平さんが主演された映画のテーマソング(『フォーリン・ラブ』)でデビューしたんですが、ミュージシャンになるにあたってかなえたい夢ってたくさんあるじゃないですか。ドラマのEDもいつか手掛けられればとは思っていました。福田監督の「HK 変態仮面」とかめっちゃ見てたので、その本人が僕たちの楽曲を聴いて「この人たちで行きたい」と言っていただけるなんて、ただただうれしいですね。
―― 曲作りやレコーディングで苦労したことはありますか?
NANAE 「きみがいるなら」は、みっちー(MICHIRU)がとてもこだわって歌詞を書いていたので、レコーディングするまでに確か3、4回歌詞が変わったんです。この曲を初めて披露したのは9月17日の全国ツアー初日(北海道)だったんですが、MAIKOと歌うサビの部分がツアー中主に変わっていったので、どっちかが間違えるとすぐ分かっちゃうから歌詞が変わるたびに私とMAIKOは大変な思いをしながら、曲を覚えて歌ってました(笑)。
MAIKO そうそう。うっかりすると間違うので、ずっと気を張ってね(笑)。
NANAE あと私がツアー前にちょっとノドを壊してしまって、歌えない時期が結構あったので、レコーディングのスケジュールもすごく押してしまったのも皆さんにはすごくご心配をおかけしました。
MAIKO いや、いいの録れたよ(そっとNANAEの肩に手を添えるMAIKO)。
MICHIRU こだわりもそうだけど、ツアーで演奏したときに自分の中で感じるものとか、「ここをこう変えるともっと響くな」ってのがやっぱ出てくるんですよね。
―― ヨシヒコ本編を楽しんだ後に心が洗われるような歌声もそうですけど、歌詞にも支えてくれる人がいる強さを感じる部分があったりして、思った以上にマッチしているなと感じました。ヨシヒコのことは以前からよくご存じだったんですか?
MICHIRU それがですね、沖縄ではヨシヒコ放送してなかったので過去作はHuluで見ました。今放送中のものもそうで、スタッフさんが録画してくれたのを見ていたんですが、今日初めてリアルタイムに見られるんじゃないかって(編注:この日は第6話の放送日で、7!!は沖縄から東京にやってきていた)。
―― これは「沖縄でもヨシヒコの放送を」と声を大にして言いたいところですね。
NANAE、MAIKO ほんとに!
ムラサキ役の木南晴夏さんMV出演に「ただただ感動」
―― MVではヨシヒコでムラサキ役を演じている木南晴夏(きなみはるか)さんが、仕事に追われ彼氏とすれ違ってしまう美容師役で出演されていて「おおっ」って思いました。
MICHIRU (木南さんのMV出演は)ダメ元でお願いしたんです。撮影などでお忙しいでしょうが、ギリギリまで待ちますと。僕も木南さんのファンなので、木南さんが出ているMVを見てただただ感動するという(笑)。
MAIKO NANAEちゃんはMVの撮影現場に行って木南さんにお会いしてね。
NANAE 現場に行ったとき、ちょうど木南さんが涙を流す緊迫したシーンの撮影中で。“スタート”が聞こえた瞬間に声をあげて泣いている姿に圧倒されて、「さすが女優だ」って(笑)。ヨシヒコのムラサキ役が一番印象深いので、ちょっと口が悪くて気の強い感じの方をイメージしていたんですけど、とっても気さくで優しくていい方でした。
KEITA 僕たちのMVでは初めて、僕たちの演奏シーンがないんですけど、逆にそれがよかったなと。
―― なるほど。ところで、過去には「曲を書くときに必ず1人の女子高生を主人公に立ててる」と話していましたよね。でも、今回MVで木南さんが演じていたのは社会人の美容師。曲作りには何か変化があったんですか?
MICHIRU 僕たちが結成したのが高校生のときで、作詞作曲もするので、バンドの世界観がぶれないよう1人の女の子像を作ろうと。だから、当時の僕たちと同じ世代の子を設定したんですよね。今は僕たちも成長し、僕らの中でその子も成長してきて。(未発表の)10代のころの歌詞もあれば、成長した等身大の歌詞もある。その辺は経年変化を楽しんでいただけるんじゃないかなって。
―― ちなみに、7!!の歴史の中で分岐点だと思うのは?
MICHIRU 僕は2ndシングル「ラヴァーズ」(2011年6月リリース)じゃないかと。
―― アニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」のOPですね。
MICHIRU そう。それをきっかけに日本でも多くの人に知っていただけたし、海外のアニメフェスにも呼ばれるようになって。日本から飛び出るきっかけをくれたという意味でも大きな分岐点だったと思いますね。
MAIKO インドネシアやサンノゼやテキサス、ダラスとかでやったよね。
7!!には“音楽フリーク”はいないけど“マンガフリーク”はいるぞ!
―― 結成から12年、メジャーデビューから5年がたちましたが、これまでを振り返って、7!!が考えるプロの姿をお聞きしたいなと。
KEITA 音楽に対する姿勢は変わりましたね。結成当時は「音楽楽しいからバンド組もうぜ〜」という自己満みたいなノリが、デビューしてプロになると楽しいだけじゃダメで、プロならではの楽しさをお客さんに披露しなければならなくて。部活の延長線上じゃないってのはプレッシャーにもなるし、だからこそ振り切ったときの演奏はめちゃくちゃ楽しいんだけど。
MICHIRU プロって、求められてるものをちゃんと表現できるかどうかじゃないかと。僕らを好きでやってきてくれるお客さんを満足させられるかどうか。自分たちがやりたいものを通してどう満足させるか。
MAIKO んー、満足しない、こと? 大小問わず何かしらの課題が毎日あって、それをこなして「自分もここまでできるようになった〜」って満足するんじゃなくて、満足しないで極めていくことが大事なんじゃないかなぁって。
―― すごくストイック!
MAIKO ううん、言ってるだけ(笑)。過去2度、メンバーからクビ宣告を受けたことがあるくらいだし(笑)。でも最近、そういうことなのかなぁって。
―― さらりとすごい話が(笑)。
NANAE 私は……、やっぱり結成以来ずっと同じメンバーでいられるのが大きいなって。音楽性の違いなどで脱退や解散したりするのって、音楽に対する熱とか思いとかが強いから起こり得るのだと思うんですが、意見もやりたいこともあるメンバーが、いい意味でそれを我慢したりできるからこそ、その人の意見も尊重できることにもつながるように思うんです。
KEITA そもそも、7!!にはいわゆる“音楽フリーク”みたいなやつがいないんですよ。
MAIKO 何、フリークって? 何かおいしそう。
KEITA それフレーク。「7!!はこうでなければいけない」みたいなのがない。だから音楽でけんかすることもないし、あとプライベートの趣味が共通しているのもデカい。
―― 共通する趣味とは?
MAIKO マンガ好き〜。メンバーで一緒に沖縄の漫画喫茶に行ったりもするので。行きつけの漫画喫茶、うちらのCD飾ってくれてたりしますし(笑)。
KEITA いわゆるネットカフェじゃなくて、定食を注文したら2時間いていい、みたいな昔ながらの漫画喫茶ね。シートとかめっちゃ味がある感じだったりするんだけど(笑)。
NANAE でもご飯はめっちゃおいしい……。
KEITA 音楽の話よりマンガの話をしているときの方が多いかも。音楽フリークはいないけどマンガフリークはいるぞ、みたいな。
―― マンガフリークとして最近の7!!オススメ作品を聞いてみたいところ。
MAIKO 「キングダム」「宇宙兄弟」「アイアムアヒーロー」とかはみんな読んでるよね。私が好きなのは、「行け!稲中卓球部」の古谷実さんの新作で「ゲレクシス」。あれめっちゃ笑った。
KEITA 「ゴールデンカムイ」(野田サトル)とか「僕たちがやりました」(原作:金城宗幸 漫画:荒木光)は映像化に期待したい。3人は好みが結構共通しているけど、NANAEちゃんはちょっとだけ暗いのが好きなんだよね。
NANAE 暗いのが好きです私。「マンホール」(筒井哲也)とか「ミュージアム」(巴亮介)とか。古谷実さんでいうと「ヒメアノ〜ル」。
MICHIRU 僕は曲を書くとき、少女漫画から着想を得たりすることも。「あ、こういうところでキュンとくるんだ」みたいな女性視点や心情が分かるし。「花より男子」(神尾葉子)は一番読みました。
―― ヨシヒコはいわゆる冒険活劇ですけど、皆さんが冒険やチャレンジしたいことって何ですか?
MICHIRU ちょっとだけ……東京に住んでみたい。
MAIKO 確かにうちら沖縄にずっと在住で出たことないもんね。
MICHIRU 沖縄だと友だちがいるし、だらけがちになるんで。東京ならもっと練習するんじゃないかなって。ストイックな環境に身を置きたいんですよね。
NANAE 私、横浜でちょっと仕事させていただいているんですけど(編注:tvk『saku saku』)、人が行き交ってて毎日お祭みたい。でも東京と比べてほどよく人が少ない。赤レンガとかの景色もすごくよくて、住んでみたいな。
MICHIRU 音楽の話でいえば、次のアルバムの楽曲制作。来年の早い段階でリリースできるよういろいろ動いていきたいなと。今回はかなり気合が入っていて、僕ら4人でしっかり作り上げていきたいなと。
―― ありがとうございます。最後に、ファンに向けて一言。
MICHIRU 今回、13枚目のシングルで、1つの夢であるドラマタイアップ 僕らなりにも気合の入った曲になってるし歌詞にもこだわっているので、自分の大切な人を思いながらより多くの人に聴いてもらえたらなと。そして! ライブハウスにもぜひ足を運んで生の音楽を体感してくれたらうれしいです。
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ヨシヒコらしさ全開。
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