すごいドラマが始まった……! おじさんたちのテラスハウス「バイプレイヤーズ」が第1話からぶっこみまくり:ねとらぼレビュー
「どんな現場も誇りを持ってやってますんで!」
6人の侍
テレビ東京のドラマ24「バイプレイヤーズ 〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」が、1月13日からスタートしました(毎週金曜深夜0時12分〜)。「バイプレイヤー」とは、脇役のこと。
一つ屋根の下、50代以上の名脇役俳優たちが、シェアハウス生活。いわばおじさんたちの「テラスハウス」。登場人物はイコール本人。ドキュメンタリ―ではありませんが、本人の仕事歴や性格は、デフォルメされていたり、ドラマ上の設定はあるものの、割とそのまま。
まずは登場する6人のプロフィールをご紹介(公式サイトより抜粋/50音順)。
心配症な男:遠藤憲一
55歳(1961年6月28日生まれ)
眼力鋭いコワモテな風貌で悪役として頭角を現し、数々の映画・ドラマに出演。
男っぽくコワモテだが、繊細で細やかな感性を持ち、心配性である。日常生活でも仕事の上でも、実は意外と右往左往する。
思い込みと気遣いが激しく、やや頼りないリーダー:大杉漣
65歳(1951年9月27日生まれ)
幅広い役柄を演じ“300の顔を持つ男”と呼ばれるバイプレイヤーの代表的存在。
メンバーの中で最年長。だから6人から「リーダー」と思われている。性格はとびきり優しい。思い込みが激しいが、責められるとへこむ。
自由な宇宙人のような男:田口トモロヲ
59歳(1957年11月30日生まれ)
俳優として活躍する一方、ナレーター、映画監督などマルチな活躍をする才人。
一言で言えばエキセントリック。口数は少なく、他人には理解できない行動をよくとる。どんな性格なのか、誰も把握できていない。フィギュアが好き。
人情に熱い下町“漢”だが、超がつくほどの小心者:寺島進
53歳(1963年11月12日生まれ)
北野映画の常連として注目を浴び、下町育ちの気さくな性格で独特の存在感を放つ。
下町生まれの陽気な男。男っぽく、がさつなようで細かく、強気なようで寂しがりや。せっかちで、すぐにカッとなるが実は誰よりも小心者。
何事にも文句を言わない、和を尊ぶ我慢と謙虚の人:松重豊
53歳(1963年1月19日生まれ)
高身長と朴訥(ぼくとつ)な雰囲気を持ち味に、悪役から善良な市民まで演じる怪優。
6人の中で一番物腰の柔らかい謙虚で優しい男。周囲が望むような芝居を、自分なりにコツコツ積み上げていく。ストレスが溜まると突然餃子を焼き始める。
人懐っこく皆に愛され、良い人過ぎて罪作りな男:光石研
55歳(1961年9月26日生まれ)
16歳で初出演・初主演デビュー。苦労時代を経て獲得した渋さと優しさが魅力。
人懐っこい性格で、とにかく皆から愛される。老若男女関わらず、誰とでも仲良くなれる稀有な存在。六人の中で一番オシャレ。恋愛ネタでよくイジられる。
――どの俳優も、演じた役が数え切れない人ばかり。ワンクールで3役4役当たり前。CMなどにもバシバシ出ているので、日本人なら、全員どこかで見たことがあるはず。
きずなって言われても、ねえ
チャン・イーモウ監督が、中国大手配信会社の特番「七人の侍」を撮影する、ということで、破格のギャラで集められた6人。彼らは「きずなを深めるため」と、クランクインまでの3カ月、シェアハウスで暮らすよう言われます。
ところが7人目であり主役の役所広司さんが、なかなかこない。おかしい。取りあえず6人の共同生活が始まります。
松重豊さんが大杉漣さんに、メッセージアプリの使い方を教えるシーンは、なんだかかわいらしい。料理を作り洗濯の方法をみんなに教える松重さんにもキュンとくる。というか松重さんの生活スキルの高さ、キラリと光っています。
バカヤローコノヤローと喚き散らす寺島進さん。この家のムードメーカー。口は悪いし、ケンカっ早いけれど、基本うそがない上に、滞りがちな大人の会話をぶっ壊すので、見ていて大変ほっとする。褒められると照れる彼、めちゃくちゃキュート。
遠藤憲一さんは、自分が寝る時の歯ぎしりが迷惑かけないかと心配する。これからの6人生活で問題になりそうなことを先に提言する。なんて繊細で、気配りのできるプロなんだろう。光石研さんに「どうだった? 何時くらい?」「既読スルーかよ」と連続で送るのが微笑ましい。
いつもあったかい笑顔の光石研さんはお人好し。みんなに色々言われつつも愛されており、うまい緩衝材の役割を劇中で果たしています。おっちょこちょいで皿を割ったりもしちゃうけど、いつも一生懸命でとても優しい。
マイペース極まりなくチョロチョロ動き回る田口トモロヲさんは、本当に行動が読めない宇宙人。シェアハウスで全裸はだめでしょう! それにツッコむ寺島さんや大杉さんがいることで、家全体のテンションが明るくなります。
みんなをまとめる最年長の大杉漣さん。全員に対して気配りができて、ひとりひとりに声掛けする。メンバーも彼が声をあげると、話を聞きます。ちょっと暴走することもあるけど、彼の優しさは、不安になっているみんなの救い。
あれ、案外うまくいくんじゃないのこのチーム?
しかしこの6人、10年前に顔をあわせていました。自主制作映画「バイプレイヤーズ」。熱くなりすぎてしまって、大げんかの末、途中で頓挫。触れてはいけない傷のように、みんなこの話題については、語りません。
松重豊「続けたかったなあ、最後まで」
大杉漣「まっちゃんだけだよ、そう言ってくれるのは」
松重豊「うまくいくといいですね、今回は」
大杉漣「大丈夫だろ。あの時はぶつかったけど、みんないい大人になったしなあ」
50代以上で、苦労人ぞろい。ぶつけあう言葉にも重みが出てくる。苦労を重ねてきた若いころ、自主制作映画を撮ったころ、そして今。中年だからこその3回めの青春。もっともラストシーンのあれは、なんなのかわかりませんが……。
どんな現場も誇りを持ってやってますんで!
「役所さんがこない」ということが判明して、やけっぱちになってリビングで話し合う6人のシーン。
寺島進「俺もみんなもよ、主役やってるよ? 松重だって遠藤だって」
光石研「テレ東だろ?」
遠藤憲一「おい、テレ東の何が悪いんだよ」
光石研さんは役所さんが来ないことにショックを受けて、泥酔気味でした。(ちなみにテレ東だと、遠藤さんは「湯けむりスナイパー」、松重さんは「孤独のグルメ」でそれぞれ主役)。
主役をやったら箔がつく。じゃあ脇役だったら、それは主役に劣る仕事なのか?
田口トモロヲさんは、光石さんの「あんた(NHK地上波ではなく)BSだろ?」という言葉にブチ切れて、この仕事を降りようとします。
田口トモロヲ「どんな現場も誇りを持ってやってますんで!」
大杉漣「みんなそうだろ?! 言わないだけだよ!」
Vシネマにピンク映画にテレビドラマに大作映画、多数出演しているバイプレイヤーたち。「演じる」という仕事において、役の貴賎はありません。
大杉さんが書いた一文「けんちゃん(光石研)は自分で、個性がないって言いながら、最低のキャラにも最高のキャラにも染まれる職人。つねに新鮮な気持ちで現場に挑むけんちゃんに、嫉妬と愛おしさを感じています」。
みんな職人。この1話だけで、「脇役俳優ってなんてステキなんだろう」とぐっと引き込まれる……んだけど、収録後の雑談(演技ではない方)まで、それぞれキャラが強すぎて全然噛み合わない。楽しそう。ああ、これが大人の部活。
2話予告では早速、ヒリついた空気が漂っていますが、それよりも荒川良々さんのインパクトがでかい。彼もまた、40代の名バイプレイヤーです。
(たまごまご)
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