「セーラー服を着てみたい」を部屋着でかなえる 「セラコレ」に込められたこだわりを開発者に聞いた

「セーラー服を着たい」願望と「SNSにアップしたい」女子ゴコロが人気につながっています。

» 2017年04月29日 11時00分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]

 2016年から急激に注目を集めているセーラー服型ルームウェア「セラコレ」シリーズ。「セーラー服」×「部屋着」という、ありそうでない発想で成り立つシリーズはどのように生まれたのか。企画・製作したブランドBIBI LAB(ビビラボ)の商品企画部の川瀬さん、松林さんに聞いてみた。

セラコレ

実は珍しい!? セーラー服の女子高生

 BIBI LABの調査によると、高校のセーラー服の採用率は低く、10〜20%程度。川瀬さんが通っていた高校は女子の制服がセーラー服だったが、別の学校に通っていた女子の友人はそうではなく、うらやましがられることが多かったそうだ。そのころのことを思い出し、2〜3年前にTwitterで検索してみたところ、女性とみられる多くのアカウントから「着たかったけど着られなかった」といった内容の山のようなツイートが。

 「高校卒業後の女性が気軽にセーラー服を着られるという商品があれば、話題性がありヒットするだろうという確信が生まれました」と、2015年に企画を立ち上げ、「セラコレ」は誕生した。当初はセーラー服の歴史を振り返ろうというコンセプトで80年代の「スケバン型」、90年代の「コギャル型」、2000年代の「JK型」という3世代のタイプが作られ、2016年4月に第1弾がリリースされた(関連記事)。

「お部屋で楽しむセーラー服」のこだわり

 発売直後、一夜にして「コギャル型」と「JK型」の初回販売分が完売。その後、2016年10月には「コギャル型」と「JK型」の冬服が、2017年3月には「お嬢様型」を加えた新デザインの合服が発売された。売れ行きは好調という。2016年12月にリリースされた「着る毛布」タイプを合わせると、シリーズ全体の売り上げが1万3000着を超え、国内だけでなく日本のアニメに親しむアジアでも注目されている。人気商品となった「セラコレ」は、どのようなこだわりを持って作られているのだろうか。

襟の線、スカートのプリーツなどが改良された「コギャル型」「JK型」と、大きなスカートが特徴的な着る毛布

 「まず、吸水性があって軽く伸びる部屋着の素材、上下でひとつなぎのワンピースであることの2点ですね」と川瀬さん。セーラー服とはいえ、あくまでルームウェア。スエット素材で、柔らかでしめつけのない着心地が重視されたようだ。また、デザインにも並々ならぬこだわりが感じられた。

 「最初の2016年春のセラコレをリリースした後『スカーフがテカテカ光っててコスプレっぽい』『スカートがボックスプリーツだけどそんな学校は少ない』などご意見をたくさんいただきました」と松林さんは語る。購入者の意見を積極的に取り入れ、本物に近づけるべく、スカートを送りヒダにしたり、スカーフの質感やエンブレムの位置を変えたり、襟の白い線を1本から3本にしたりなど調整が積み重ねられ、「セラコレ」は看板商品であり続けることとなった。

新たに「お嬢様型」が加わった新デザインの合服

部屋着に“リアルさ”が求められるワケ

 しかし、本物とは明らかに違うスエット素材、着て出掛けるわけでもなく、1人で楽しむルームウェアに、なぜそれほどまでリアルさが求められるのだろうか。川瀬さんによると、「ジョークグッズを買おうかな、と思うけど、仮装用のセーラー服は安っぽくて人に見られたくない」「でも本物に何万円もかけるまで着るのは難しい」という女性の複雑な心理が関わっているそうだ。さらに、川瀬さんたちはシリーズを重ねていくうちにあることに気付いたという。

 「リアルさを求めるのは単純にセーラー服が好きだというだけではなく、自撮りした写真を、TwitterなどのSNSにアップしたいからのようです。安い仮装衣装を着て写ると俗っぽく見えてしまうから嫌だという本音が垣間見えてきました」(川瀬さん)

 部屋の中で自分だけで楽しむけれど、撮った写真はたくさんの人に見せる。だからいかにも作り物めいたものは嫌だ……SNSが普及し、投稿を楽しむ現代では納得の理由である。

「セラコレ」を愛する人々

 インターネット上で男女問わず注目を集める「セラコレ」だが、実際の購入者もだいたい男女半々とのこと。購入者像について、川瀬さんは以下のように推測する。

 「一番多い購入者は20代前後の女性。女性の場合は自分用。男性はおそらく半分が奥さんや彼女など女性へのプレゼント、カメコ(カメラ小僧)がモデルさんに買うこともあるようです。そして本人用。きゃしゃな方なら伸縮性があるので着ることができるのかもしれません」

男性用もあったけど……

 実は「セラコレ」がリリースされる約1年前の2015年に男性用セーラー服型ルームウェア「ボクセラ」がリリースされている(関連記事)。企画はセラコレが先だったものの、男性とセーラー服という組み合わせの意外性から、女性用より注目されるのではとボクセラが先にリリースされることとなった。ねとらぼで取りあげた記事はツイート数1700、「いいね」シェア3000件を越え、売れ行きも好調だったというが……。

ボクセラ

 「物議を醸しすぎてしまったのです。40代の男性を中心にセーラー服への熱い思いやきめ細やかな改善要求・お叱りの声が予想以上に多く寄せられ対応が追い付かなくなり、男性向けは残念ながら撤退しました」(川瀬)

 こうして表舞台から姿を消すことになってしまった「ボクセラ」。しかし、「セラコレ」の製作に先立ち、男性向けのセーラー服をPRするWebサイトで1枚だけ「Mサイズは女性も着られます」という言葉とともに写真を表示したところ、女性と思われるTwitterのアカウントから「自分も着たい」という反応が。そこから、女性向け商品の流行を確信したという。

女性向けの「セラコレ」のお蔵入りになったデザイン。入念な市場調査をするBIBI LABでは、事前アンケートの結果、製品化されないデザインもある

カバンや靴下も展開

 「セラコレ」では2017年春、カバン型のクッションや、靴下と上履きが一体化したデザインの上履きルームソックスをリリースした。コロンとしていて程よい弾力のクッション、上履き型の部分まで履き心地が柔らかそうなルームソックスだが、セーラー服だけで十分人気が出ているのに、カバンや靴下まで作った理由はどのようなものなのだろうか。

カバン型クッションは3タイプ

 「カバンにどんなアクセサリーやキーホルダーをつけるか、どんな靴下を、どんな風にアレンジしてはくか。私が女子高生だったころはオシャレに見えるためにいろいろ考えました。女子高生が工夫を重ねるカバンや靴下は、時代によって変化する女子高生文化が結集したところ。それらもシリーズに加えることで、より世界観が深まると考えたんです」(松林さん)

 「現在は『モノは売れないがコトは売れる』といわれる時代。『セラコレ』で高校時代に戻れる、JKになれる、という非日常が体験できるので人気を集めているのだと思います。作り手として気に掛けているのは、体験をプロデュースすること。バッグ型のクッションや上履きがあれば、より深い体験になると考えています」(川瀬さん)

左下からニーハイソックス、ハイソックス

 バッグや靴下は、女子高生の個性が現れるところ。着こなしのバリエーションが増え、使う人らしさも発揮できる商品になれば、楽しみ方の幅が広がり、満足度も高くなると考えたのだろう。

 Twitter上に飛び交う願望をもとに、予想を越えた商品を生み出し続けるBIBILABだが、今後は人をダメにする触り心地の、アニメ抱き枕カバーが掛けられる抱き枕、夏に向けて、気軽に着られる浴衣型のルームウェアを作っているとのこと。BIBI LABがネットを再び熱くする日も、近い?

制服大好き! 商品企画部 松林さん(20代)

谷町邦子

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