獅童「私は萬屋、(協賛の)NTTさんには電話屋と声がけを!」 屋号飛びまくりの超歌舞伎&囲み取材リポート:ニコニコ超会議2017
獅童さん「ミクさんは1年で本当に踊りが上手になられましたよ。天才だと思います」
4月29日から30日まで幕張メッセで開催中の「ニコニコ超会議2017」で、目玉演目「超歌舞伎 花街詞合鏡」が上演されました。観客5000人の観客を圧巻の世界に引き込んだ舞台の様子と、本公演の主演・中村獅童さんの囲み取材の様子をお届けします!
物語は澤村國矢さん演じる「蔭山新右衛門」が、山奥の龍神塚に現れるところから始まります。不気味な古塚に新右衛門が矢を放つと、邪悪な青龍が出現。新右衛門は強大で不思議な“チカラ”を手にします。
と、発端(本編前のプロローグ)が始まったところで、白塗り姿の獅童さんが登場。歌舞伎の楽しみ方の一つである屋号の声掛けについて、獅童さんが登場した際には「萬屋(よろずや)」、國矢さんには「紀伊国屋(きのくにや)」、初音ミクさんには「初音屋」、重音テトさんには「重音屋」と掛け声をかけてほしいとていねいな説明をして、「(協賛・技術協力を行う)NTTさんには『電話屋!』とお声がけください」と笑いを誘い、口上としました。
仕切り直して、舞台は華やかな廓(くるわ)。中村蝶紫さん演じる花魁「葛城太夫」を見た町娘(初音ミク)は成長し、憧れていた花魁となり「初音太夫」を名乗っています(ちなみに「太夫」とは最上位の遊女のこと)。そんな初音太夫が花魁道中を行う中、偶然そこを通りがかったのが、獅童さん演じる伊達男・八重垣紋三です。
華やかな花街に勤める初音太夫は、「この世界(花街)が華やかなのは表面だけ」と、自らの感情を押し殺していましたが、紋三にひとめぼれをしたことによって、感情を取り戻します。
一方何も知らない紋三が廓へやってきたところ、新右衛門がその行く手を阻みます。新右衛門は思いを寄せる初音太夫を身請け(客が店に大金を支払って遊女に足抜けさせること)させようとしていたのですが、初音太夫は紋三に心を奪われているため、その身請けを断っており、紋三に八つ当たり同然でケンカを吹っ掛けたのです。
一触即発となる二人ですが、重音テトさん演じる仲居の「重音」が現れて仲裁。紋三には恋文を、新右衛門には身請けを断る手紙を渡します。これを受けて紋三は初音太夫に会いに行くこととなり、面目丸つぶれの新右衛門はもの言いたげにその場を去ります。
この後、二人は束の間の逢瀬を楽しむのですが、新右衛門がそれを許すはずもなく、二人に襲い掛かる――というのが全体的なお話です。
昨年の「超大歌舞伎 今昔饗宴千本桜」に続き、全体的に「歌舞伎をはじめて観劇する人でも楽しめる」ということがテーマにされていると感じられた本公演。セリフは基本的に全て会場中心に設置されたスクリーンに投影されており、歌舞伎ならではの「言葉が難しくて何を言っているのかが分からない」といった問題が随分解消されているように感じられました。
また獅童さんが呼びかけていた通り、「萬屋ー!」といった屋号の掛け声が頻繁に客席から起っていたのも超歌舞伎ならでは。通常の歌舞伎の場合は「大向こう」さんと呼ばれる人たちが、役者のセリフとかぶらないようなタイミングで屋号を叫び、ほかの観客らもそれに倣うというのが一般的。さらに通常、掛け声をかけて良いのは男性だけという暗黙のルールが存在するため、女性から「電話屋ー!」などの屋号がかけられるのはかなり新鮮でした。
歌舞伎の観劇上、大切なのは「雰囲気を壊さないこと」なので、今回の超歌舞伎の場合は、「自分の好きなタイミングで声を掛け声をかける」ということこそが、超歌舞伎の雰囲気を盛り立てていたように感じました。
そして今回の超歌舞伎で驚いたのは、映像のクオリティーの高さ。獅童さんの口上とプロローグをつなぐ映像では華やかな花街の様子が細部に至るまで繊細に、そして鮮やかに描かれており、会場に設置された巨大なコメント投影画面には「電話屋ー!」「でんわやぁあああ!」などと、NTTの技術力を絶賛する掛け声が相次いだほか、会場でも歓声が上がっていました。
さらに公演終盤には、音楽に合わせて獅童さんがロックバンド風に「おー! おー!」と観客をあおる場面もあり、一体となった会場には無数のサイリウムと、観客の笑顔が輝いていました。
公演後、報道陣の囲み取材に応じた獅童さんは、「若い方に歌舞伎を見てもいただきたい。サイリウムを振って応援してくださる姿はニコニコ超会議ならではで、やりがいがありました」と話しました。またNTTの協力によって昨年よりも公演がパワーアップできたとも語り、「きれいな舞台になった」と振り返りました。
また「歌舞伎に(子ども以外の)女性が出演するのはかなり珍しい」のでは、という報道陣からの質問にはその通りと答えつつ、「ミクさんは昨年歌舞伎へ初出演されましたが、すっかりハマってしまわれたようで、日本舞踊などを習われたようです」と共演の初音ミクさんについてコメント。「1年で本当に踊りが上手になられましたよ。天才だと思います」と語り、笑顔を見せました。
続いて今回の公演はいつごろ決まったものなのか、と聞かれると「昨年の公演(今昔饗宴千本桜)が好評だったようで、早々に第2弾のお話は出ていました」と明かし、第三弾についても前向きな様子を見せました。
最後に獅童さんは「役者はいくつになってもチャレンジの気持ちを忘れてはいけませんし、忘れたくないと考えています。明日は日本の伝統芸能である相撲とのコラボもあるかもしれませんので、千秋楽までどうぞお楽しみください」と締めくくりました。
超大歌舞伎は4月30日も第一部が13時から第二部が16時から開演予定。超桟敷席(アリーナ前方席)は、「指定席付入場券」が必要で既にチケットが完売していますが、2階・3階の座席と立ち見エリアは無料で観劇できますので、ぜひ会場で「中村獅童×初音ミク」の世界を体感してみてください!
(Kikka)
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伝説のTORIKUMI再び。
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