産卵期の自主禁漁中マグロ販売で鮮魚店「サカナバッカ」が謝罪 今後は追跡可能な仕入れルートを整備
そもそも産卵期のマグロは油が乗っておらず、味も一段落ちます。
鮮魚店「サカナバッカ」梅ヶ丘店が7月7日、自主禁漁中だった長崎県壱岐島産ホンマグロの販売をFacebook上で告知し、批判を浴びていた件で謝罪しました。信頼回復に向けて改善策を講じていく予定と明かしています。
問題の発端となったのは、同店舗が6月28日に投稿した「緊急特売!」「100g 498円〜」と書かれたホンマグロのセール画像。
その後の説明で、画像で宣伝されていたのが40キロ以上の壱岐産マグロだったことが発覚。壱岐沖では産卵期のマグロを保護するため、30キロ以上の親魚に対し自主禁漁が行われていました。禁漁は地元漁業者の呼びかけで6月1日〜7月31日にかけて行われるもの。減少が叫ばれているマグロに適正な産卵をさせ、数量を増やすねらいがあります。
問題の背景には、地元漁師たちが自主禁漁しているのを尻目に、マグロを「巻き網」で乱獲する悪徳水産業者の存在があります。Facebookではサカナバッカに対し、販売告知されたのが巻き網で漁獲したマグロなのではないかと疑念の声が集中。これについて店側はマグロはあくまで「一本釣り」されたものであり、仲買が福岡の市場で落札したものを購入したものだったと釈明していました(※そもそも自主禁漁期間中は一本釣りもダメです)。
ところがFacebookでは「福岡の市場に確認しましたが、ここ一カ月壱岐のマグロの入荷はゼロ」といった指摘も寄せられ、サカナバッカの説明との矛盾も見られました。ねとらぼでも福岡の主要な卸売市場である「福岡中央魚市場」「福岡魚市場」に聞き取り取材を行いましたが、いずれも6月中に壱岐産マグロが扱われた形跡は確認できないとのことでした。
また、地元の勝本町漁業協同組合の担当者はねとらぼの取材に対し「大きいマグロが釣れる漁場はそれほどあるわけではない。地元では監視の目もあり、一本釣りの漁業者が来ればすぐにばれる」ともコメントしていました。
同店を運営するフーディソンは7月7日のリリースで、調査の結果マグロの購入ルートは「漁獲者→集荷者→荷受け会社→水産仲卸業者→フーディソン」だったと明かし、「漁獲者」「集荷者」については特定に至らなかったことを認めています。販売されたのは本当に一本釣りのマグロだったのか、真相は分からず終いということに。このマグロは梅ヶ丘店(6月29日、30日)と都立大学店(6月28日)でのみ販売されました。
同社は信頼回復に向けて、追跡可能な水産商材の調達比率を高めていく方針だと説明。また、今後は産卵期のホンマグロの取引を中止し、魚種を問わず全国の操業規制情報を収集。仕入れ段階でこれらの情報が反映できる体制の構築に取り組んでいくとしています。
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