全ての原画をたった1人で 「キラキラ☆プリキュアアラモード」第36話を支えた青山充という伝説:サラリーマン、プリキュアを語る(1/4 ページ)
あきらさんが頭なでなでされる姿、かわいかったです!!
キラキラ☆プリキュアアラモードも約5分の3が終わり、10月は最終決戦に向けて6人のプリキュアの心の交流を描いているところですよね。この時期のプリキュアは10月末から「秋の映画」も始まりますし、来年の新作(?)の準備なんかもあったりで、製作する方もスケジュールが大変かと思われます。
そんなとき、プリキュアには強い味方がいるのです。たった1人で原画を描く「青山充」というレジェンドが。
青山充さんの伝説は後ほど語るとして、その青山さんが1人原画を手掛けた第36話は「いちか」と「あきら」のお話でした。前々回が「シエル」と「ゆかり」、前回は「あおい」と「ひまり」を取り上げていましたが、今回は残りの2人「いちか」と「あきら」の心の成長を描きました。
とはいえ、いちかちゃんに大きな心の変化はなく、主に「剣城あきら」というキャラクターにスポットを当てたストーリーになりました。
kasumi プロフィール
プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。
- これまでのプリキュア連載一覧
第36話 いちかとあきら!いちご坂大運動会!
さて、今回のお話の舞台は「町内対抗大運動会」。いちかちゃんとあきらさんは家がお隣同士なので同じチームになります。スポーツ万能のあきらさんはみんなの期待を背負いますが、当日風邪をひいてしまいます。
体調が悪いのを隠して参加していたあきらさんでしたが、いちかちゃんに看破されて午後の競技を休むことになりました。今回のお話ではその場面での展開が秀逸だったと思います。
熱が出てしまい運動会に行けない妹、みくをあきらさんが説得するこのシーンは、
いちかちゃんがあきらさんを説得するこのシーンのための布石。
「無理をしてはいけない」と妹みくを諭した以上、自分も「無理をしてはいけない」のですよね。
あきらがみくを諭すシーンと、いちかがあきらを諭すシーン。
この立場の逆転を「頭をなでる」という行為で統一したお見事な構成だったですよね。
かつて第30話「狙われた学園祭!ショコラ・イン・ワンダーランド!」であきらさんは敵、エリシオの攻撃によって「町の人々」か「妹」のどちらを取るか? という選択を迫られます(これはつまり“公”をとるか“私”をとるか、という選択だったのですよね)。
そのときは、「自分の身を削ってでも、どちらも取る」というある意味反則的な解答を導き出しました。当時は「そんな解答ありか?」と思っていたのですけど、それは今回の布石だったのですよね。
第30話の時点ではまだ「とにかく1人でなんとかする」という思いだったあきらさんが、この第36話では、いちかに諭され、そして町の人々のに暖かさに触れ、「他人に頼ることも良いことであり、自分の周りにはこんなにもステキな人たちがたくさんいる」と認識したのです。
そして「暖かい町の人の笑顔を守る」ために戦うことを選択するのです。
剣城あきらは、1人ではない。剣城あきらの周りには、ステキな人たちがいる。
それをあきらさんに気付かせてくれたのが「宇佐美いちか」というキャラクターだった、というのも面白い演出ですよね。
今回ディアブルの闇の力で動けなくなった6人のプリキュア。その呪縛を解いたのも「キュアホイップ、宇佐美いちか」でした。
「がんばってくれたんだ。風邪をひいてもあきらさんは、あんなにがんばってくれたんだ。だから私だって、闇くらいなんだーーー」
その言葉は全く理論的ではありません。一見稚拙な根性論に聞こえるかもしれませんが、これはつまり「心の闇の呪縛」は、こころ次第で振り払える、ということを示唆している気がするのです。
この先、プリキュアが人々からの負の感情を浴びて身動きが取れなくなっても、宇佐美いちかの心が闇を振り払う。キラキラ☆プリキュアアラモードの、この先の展開を示唆する戦闘シーンだったように思えます。
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