カラフルなたすきをぶら下げるだけ シンプル過ぎる箱根駅伝の中吊り広告に「意味が分かって興奮」「歴史とセンス」
コンセプトについて、日本テレビに取材しました。
電車内の中吊り広告といえば、一目で伝えたいことが分かるように、メッセージが大きく書かれているのが一般的。ですが、JR山手線に掲出されている“分かる人にしか分からない”箱根駅伝の中吊り広告が、ネット上で好評を集めています。
箱根駅伝に出場する大学ら21チームのたすきを並べたシンプルなデザイン……というか、車両内にぶら下げているだけ。「箱根駅伝」の4文字はどこにも書かれておらず、大学名などもたすきの片面にしかあしらわれていません。そのため、裏側から見上げると「細長くてカラフルな何か」が並んでいるようにしか見えないはず。
しかし、これは山手線1編成を丸ごと使ったジャック広告の一環(1月2日まで掲出)で、壁面のモニターなどにも箱根駅伝に関連した情報が。乗客はいわば“ヒント”が与えられた状態で、中吊り広告を目にすることができるというわけです。Twitter上では「最初は何の広告か理解できなかったが、分かったらめちゃくちゃ興奮した」「歴史とセンスが感じられる」などのコメントが現れており、好評を集めているもよう。
ちなみに、たすきの順番はシード校(前回大会の上位10チーム)、予選会通過順に基づいたもの。熱心なファンなら今大会の注目校を一覧して、ワクワクできるのではないでしょうか。
この中吊り広告のコンセプトについて、日本テレビ宣伝部に取材したところ、たすきをモチーフにした広告自体は以前から存在。しかし、布製のたすきらしさを打ち出したデザインは今回が初だそうです。
その結果、大学名ばかりが並ぶ不思議な広告が誕生したわけですが、「出場校のたすきは、箱根駅伝の象徴」「過度な説明をしない方が想像が膨らみ、よりドラマチックに映る」と考えているとのこと。ここまでシンプルでもきっと理解してくれるだろう、というファンへの信頼があったようです。
箱根駅伝がスタートしたのは、大正時代の1920年。その原型は、駅伝競走が初めて競技として行われた「東海道駅伝」(1917年)で、このときにはすでに、たすきによるリレー形式が採用されていたといいます。余分なメッセージを削ぎ落としたたすきだけの中吊り広告は、1世紀にわたって積み上げられた駅伝の歴史があるからこそ、実現したものなのではないでしょうか。
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