岩手大学、出席確認にスマホアプリを試験導入 学生から“完全刑務所化”と批判も、大学は「GPS情報収集しない」と説明

考えがあってのことのようです。

» 2018年01月05日 15時40分 公開
[福田瑠千代ねとらぼ]

 岩手大学がスマートフォンを活用した出席管理システムを試験導入します。アプリは富士通が大学側との話し合いを経て開発したもの。Twitter上では行き過ぎた管理ではないか? と議論の対象にもなっています。導入の経緯やその狙いについて、大学側に話を聞きました。

岩手大学、出席確認にスマホアプリ試験導入 学生から“完全刑務所化アプリ”と批判も「GPS情報は収集しない」と説明 岩手大学の他に、長崎県立大学でも導入が検討されている

 試験運用の開始は1月からですが、アプリは12月末から既にダウンロードができる状態でした。Twitter上では同大学の学生による、「欠席した場合もGPSから位置情報が特定されるため、生徒が完全管理され、代筆が不可となる完全刑務所化アプリ」という投稿が拡散され、物議を醸すことに。その後、大学側から「説明が不足していたために、位置情報の把握について学生の皆さんに不安と不審を与えてしまいました。申し訳ありません」「アプリでは、位置情報の把握は致しません」と学生たちに向けてアナウンスがありました。

岩手大学、出席確認にスマホアプリ試験導入 学生から“完全刑務所化アプリ”と批判も「GPS情報は収集しない」と説明岩手大学、出席確認にスマホアプリ試験導入 学生から“完全刑務所化アプリ”と批判も「GPS情報は収集しない」と説明 アプリで出欠確認ができる
岩手大学、出席確認にスマホアプリ試験導入 学生から“完全刑務所化アプリ”と批判も「GPS情報は収集しない」と説明 実際はBluetoothによるペアリングで出席情報を登録しますが、アプリの初回起動時に「位置情報サービスを『常に許可』以外にすると、出席報告が正常に行われません」というメッセージが。これが「大学がGPS情報を収集している」という誤解を生む要因?

 誤解が先行し、否定的な意見も多く見られていますが、実のところどういったねらいがあり、試験導入に踏み切ったのか。岩手大学 学務部 学務企画課長の山崎さんに伺いました。

監視ではなく、確認時間の短縮や情報集約によるサポートが目的

――あらためて確認ですが、GPSによる学生の位置情報の収集は無いのでしょうか?

山崎:ありません。GPSによる位置情報ではなく、スマホと教室に設置されたビーコンとの無線接続で出席確認をする仕組みになっています。

――アプリを導入しようと考えた経緯を教えてください。

山崎:もともとは別件で富士通の方とお話をしていた中で、簡単な方法で出席の管理ができないかという話が出たのがきっかけです。Twitterでは代返の取り締まりが目的ではないかという意見もありますが、そうではなくて、出席管理の効率化や、情報集約への問題意識が根底にあります。

 これまでは各教員が点呼や出席表で管理を行っていましたが、100人や200人の大人数の授業では、その作業だけで5分〜10分取られることもありました。また学生が1つの授業を休んでいるだけなのか、1〜2週間来ていないのか、個々の教員による管理では大学側で把握することは困難でした。情報を機械的に管理し、大学側に集約することで、「この日を境に来てないよね」というのが見えてくる。1人暮らしの学生も多い中で、病気や精神的な問題などを抱えてしまった場合に、より早く適切なサポートができるようになるのではないかという期待があります。

――試験導入は1月からとのことですが。

山崎:まずは春休み前まで、試験的に導入します。全ての授業で使うわけではなく、1〜2年生の一般教養科目が対象です。学生のスマートフォン保有率が不明である点と、学生がアプリを問題なく使えるかどうかなど、まだ検討すべきところもあります。また今回Twitterで反対意見が目立ったことからも、学生たちに理解してもらうため、さらに説明していく必要性も感じています。


 マイナビの調査によると、大学での出席管理は「出欠表・出席カードに手書き」が45.4%。次いでICカードを用いた管理が28.2%、点呼が18.2%(2017年5月、大学生男女401人に調査)。ITの導入は少しずつ進んでいるようですが、まだまだアナログな方式が過半数を占めているようです。アプリでの出席管理は大学側の適切な個人情報管理が求められるのはもちろんですが、山崎さんが指摘したように学生が必ずスマホを持っているとは限らない点など、他にも懸念点があります。しかしそれをさておいても、メリットが多そうなことは確かです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/01/news003.jpg パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. /nl/articles/2412/01/news031.jpg 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. /nl/articles/2412/03/news082.jpg 「ほ、本人……?」 日本に“寒い国”から飛行機到着→降りてきた“超人気者”に「そんなことあるw?」「衝撃の移動手段」の声
  4. /nl/articles/2412/03/news111.jpg 才賀紀左衛門、娘とのディズニーシー訪問に“見知らぬ女性の影” 同伴シーンに「家族を大切にしてくれない人とは仲良くできない」
  5. /nl/articles/2412/02/news009.jpg 【今日の難読漢字】「誰何」←何と読む?
  6. /nl/articles/2412/05/news006.jpg 「今やらないと春に大後悔します」 凶悪な雑草“チガヤ”の大繁殖を阻止する、知らないと困る対策法に注目が集まる
  7. /nl/articles/2412/03/news148.jpg 武豊騎手が2024年に「武豊駅に来た」→実は35年前「歴史に残る」“意外な繋がり”が…… 街を訪問し懐古
  8. /nl/articles/2412/03/news092.jpg 大谷翔平、“有名日本人シェフ”とのショット 上目遣いの愛犬デコピンも…… 「びっくりした!!」「嬉しすぎる」
  9. /nl/articles/2412/03/news055.jpg ハローマックのガチャに挑戦! →“とんでもない偏り”に同情の声 「かわいそう」「人の心とかないんか」
  10. /nl/articles/2412/03/news034.jpg 古着屋で“インパクト大”なブランケットをリメイクすると…… 劇的な仕上がりに386万再生「これはいいね、欲しい!」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
  4. 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
  5. 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
  6. パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
  7. アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
  8. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  9. 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
  10. PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」