「煮物は冷ますと味がしみる」はただの勘違い? 分子調理学者が考える“最もおいしいおでんの作り方”

わざわざ冷まさないほうがよかった可能性。

» 2018年01月20日 10時00分 公開
[マッハ・キショ松ねとらぼ]

 料理好きなら誰もが一度は耳にする「煮物は冷ますと味がしみる」という話。おいしく作るために、実践している人も多いのでは?

 しかし、実験により「むしろ煮込み続けた方が煮汁がしみる」ことが分かった、と研究者の石川伸一さんがツイートしています。な、なんだってー!


「煮物は冷ますと味がしみる」、実は間違いかも?

 石川さんは、「煮物への煮汁の“拡散”」について研究している分子調理学者(料理について科学的に解明する分野)。日本調理科学会で、煮汁がどれくらい具材に浸透しているかを着色料で可視化した実験について発表しています。それによれば、大根、こんにゃくなどでは、冷蔵保存よりも常温保存のほうが煮汁がしみるとのこと。

 このような現象が起こるのは、調味料が食材内に拡散する速度が、温度が高いほど早いため。つまり、煮物をわざわざ冷ましてしまうと味がしみ込みにくくなる、ということになります。むしろ、逆効果だったのか……。

 では、なぜ「煮物は冷ますと味がしみる」といわれるようになったのでしょうか。石川さんは、うま味、甘味の感じやすさが温度によって異なる一方、塩味はこのような変化が小さいことから、「(冷めた煮物は)より塩味をきつく感じるため」ではないか、と推測しています。実は、冷めたまま味見したときの勘違いから生まれた料理の格言だったのかもしれません。

 なお、この研究はあくまでも「どうすれば、より煮汁がしみ込みかどうか」に焦点を当てたもので、「どうすれば、よりおいしくなるか」ではありません。

 おいしさを追求するためには、煮崩れたり、味が濃くなり過ぎたりといった問題にも考慮する必要がある、と石川さん。例えば、“最もおいしいおでん”を作るには、圧力鍋、保温鍋などの調理器具を具材によって使い分け、各具材に最適な加熱温度、時間、圧力で調理したほうがよいと考えているようです。

 ちなみに、この“最もおいしいおでん”の作り方を突き止めるのに必要な研究期間を伺ったところ、さらに「数年間実験する必要がある」とのこと。科学が煮物の世界に革命を起こす日は、そう遠くないのかも……?


「煮物は冷ますと味がしみる」、実は間違いかも? 1つの鍋で全ての具材を煮込む作り方では、“最もおいしいおでん”にたどり着けないのかもしれません

マッハ・キショ松

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2409/08/news001.jpg 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  2. /nl/articles/2409/11/news132.jpg 第5子妊娠中の宮崎麗香、子どもたちとの“奇跡の1枚”が撮影される ギャップ満載な“現実”ショットも話題に
  3. /nl/articles/2409/11/news038.jpg 「僕ですかこれ」 垢抜けたい男性が“劇的イメチェン”→その大変身に「すげええ!」「泣けたわ」と仰天
  4. /nl/articles/2409/11/news024.jpg たまりがちなスタバ紙袋、リメイクで予想外の“便利グッズ”に大変身 580万再生のアイデアに「天才かよ」「素晴らしい……」
  5. /nl/articles/2408/18/news012.jpg 「これは思わず……」 田舎のホビーオフに1万5400円で売っていた“まさかの商品”に仰天 「何でも売ってる」
  6. /nl/articles/2409/10/news038.jpg 50代女性、尋常性白斑によりホワイトヘアに→ばっさりショートにすると…… 誰もが見惚れる姿に「どハンサム」「本当にカッコ良すぎ」
  7. /nl/articles/2409/08/news032.jpg 「コレ入れると草が生えない」 外構工事のプロがやっている“究極の雑草対策”に注目
  8. /nl/articles/2409/07/news027.jpg “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  9. /nl/articles/2408/10/news024.jpg 「こんなものも売ってあるの?」 ホビーオフに13万2000円で売っていた“まさかの商品”に「超欲しい」
  10. /nl/articles/2409/10/news191.jpg 「さすがに不快」 PARCO「ラブベリ」展でファッションモデルの“ほぼ全裸”投稿に批判 主催者「削除依頼している」
先週の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  3. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  4. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声
  5. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  6. 猛毒ガエルをしゃぶった30分後、口がとんでもないことに…… 直視できない異常症状に「死なないで」「この人が苦しむってよっぽど」
  7. 33歳の「西郷どん」二神光さん、バイク転倒事故での急逝に衝撃 1年前の共演者は“願い”明かし「叶わないなんて」
  8. 「コレ入れると草が生えない」 外構工事のプロがやっている“究極の雑草対策”に注目
  9. 「へー知らんかった」 わずか7年で“消えた駅” 東京メトロが明かす“知れば納得の歴史” 「だからあんなに……」
  10. 秋葉原のトレカ店が“買い占め被害” 近隣店とその常連客が共謀し“全口購入の人員確保” 「大変遺憾で残念な限り」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
  2. 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
  3. 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
  4. 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  5. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  6. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  7. 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
  8. 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」