“電車を止めないストライキ”をJR東労組が予告 「それって効果あるの?」「これが現代のストか……」の声も

一体どういうこと?

» 2018年02月21日 15時28分 公開
[高橋ホイコねとらぼ]

 厚生労働省は2月20日、東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)から「ストライキ等の争議行為を行う予告」を受けたと公表しました。

公表文 厚生労働省に掲載された争議行為の実施内容(厚生労働省より)

 これを受け、大手紙なども「JR東日本の労働組合が3月2日以降、ストライキに踏み切る可能性を厚生労働省に通知した」と報道。「ストライキが決行されたとしても、列車の運行に支障はない」という内容に対し、ネット上では「電車が止まらないストライキに意味あるの?」という声が寄せられています。

 ストライキとは、労働者が雇用者へ労働条件改善を求め、集団的に仕事を放棄する行為です。これは労働者の権利として憲法で認められています。ある程度の年齢以上の人なら「ストライキで電車が止まった」という経験もあるのではないでしょうか。

 鉄道や路線バスなどの運輸事業、郵便、水道、電気、ガス、医療など公益事業でストライキを行う場合には、その旨を厚生労働大臣または都道府県知事に事前通知をすることが法律で定められています。今回の通知はこの法律に基づくもので、通知があったからといって必ずストライキが行われるわけではありません。

 厚生労働省に取材したところ、通知後にストライキが決行されるかどうかはケースバイケースであり、今回の件についてもなんとも言えないとのことでした。厚生労働省によると、JR発足後にできたJR東労組がストライキの可能性の通知をしたのは、文書保存期間の範囲において少なくともここ10年間で初めて。JR東日本広報にも確認したところ、初めてとの回答でした。

厚生労働省HP 「争議行為予告は、あくまでも予告であり、争議行為が行われない場合もあります」(厚生労働省より)

 予告された内容は、2018年3月2日以降に「全組合員(助役を除く)による本来業務以外に対する非協力(自己啓発活動など)の形式による争議行為の実施」。ただし今回のストライキで、「列車運行に支障をきたすことはない」としています。要求内容は、組合員一律での定額賃金ベースアップ(定期昇給分を除く)です。

争議行為の概要 本来業務以外に対する非協力の形式による争議行為を実施

 この報道を受け、ネット上では「そもそも電車が止まったら困る」という声があった一方で、予告内容を確認したユーザーからは「電車が止まらないストライキなんて意味あるの?」「自己啓発活動をしないことがストになるの?」「自己啓発活動って具体的には何?」といった声も寄せられています。

 ストライキ決行の可能性についてJR東日本に取材しましたが、現時点、同社広報では分からないとのこと。JR東労組に対して取材の申し入れをしていますが、2月21日15時時点で、回答は得られていません。

 今回のストライキが関係するのは、千葉県の我孫子運輸区、松戸車両センター、東京都の綾瀬運輸区、上野新幹線第二運転所、上野運転区、田端運転所、東京新幹線車両センター、尾久車両センター、上野車掌区、池袋運輸区、新宿運輸区、中野電車区、東京電車区、東京車掌区、丸ノ内車掌区、田町運転区、大崎運輸区、大田運輸区です。

高橋ホイコ

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