外からは予想もつかない「地底の太陽」に「生命の樹」―― 「太陽の塔」の中は“原始の生命力”にあふれていた

潜入してきました。

» 2018年05月26日 09時30分 公開
[エンジンねとらぼ]

 1970年、芸術家の岡本太郎さんにより大阪万博のためにデザインされ、その後長きにわたって大阪のシンボル的存在であり続けた太陽の塔。その内部が48年ぶりに、3月19日から一般公開となりました

 好評の声が多く聞かれるこの内部公開。一体中はどうなっているのか? 通常、塔内部の撮影は禁止されていますが、今回は特別に許可を得て取材してきました。


太陽の塔 不思議な建物の中身はどうなっている?

 スタッフの誘導に従い岡本太郎さんのデッサンが展示されている廊下を抜けると、「地底の太陽」なるオブジェがお出迎え。塔外観の頭部によく似たオブジェは太陽の塔の「第4の顔」で、大阪万博閉幕後行方不明になったものを再生したものです。周囲には世界各国の仮面や神像が配置されており、赤や青の原色ライトに照らされています。しょっぱなからすさまじいインパクトでワクワク。


太陽の塔 デッサンが展示された廊下を抜けると……

太陽の塔 なにやら奇妙なものが

太陽の塔 外観頭部とよく似た「地底の太陽」。頂部の「黄金の顔」、正面の「太陽の顔」、背面の「黒い太陽」と並ぶ第4の顔です

太陽の塔 エキゾチックな雰囲気

太陽の塔 異国であがめられていた神像

 そして、たどり着いたのがメイン展示であり、命の力強さを表したとされる「生命の樹」。五大陸の色に彩られたカラフルな樹木型のオブジェにさまざまな生物の模型が配置されています。樹の下層にいるのはアメーバやウミユリのような原生生物であり、上にあがるにつれ、は虫類や恐竜、ほ乳類へと進化を遂げ、最終的には人類となっていきます。

 注目すべきはその大きさで、ウミユリや恐竜が大きく作られているのに対し、人類の模型のサイズは非常に小さくなっています。これは、「原生生物=下等な動物ではない」という岡本太郎氏の考えが反映されたからとのこと。


太陽の塔 これが生命の樹

太陽の塔 下層にはウミユリやアメーバなどたくさんの原生生物が

太陽の塔 奇妙な形のクラゲが漂っている

太陽の塔 樹の上にいる派手な頭のイカはかつて存在していたオウムガイの一種か

太陽の塔 ゆうゆうと泳ぎまわる古代魚にアンモナイト

太陽の塔 怪しく目を光らせる古代は虫類

 現在この樹に並べられている模型は33種183体。そのうちゴリラの模型を除く29体が今回の内部展示にあたり、修復されたものです。ちなみに約50年前に作られたゴリラの模型には顔が動くギミックが盛り込まれていましたが、それは再現されていないとのこと。ぎこちなく動くゴリラ模型も見てみたかったかも。


太陽の塔 細い樹の上でありながら力強く立つ恐竜たち

太陽の塔 なぜか1匹だけ骨。「弱肉強食の生存競争を表しているのではないか」と想像する

太陽の塔 その目は意外と鋭い

太陽の塔 頂上付近はほ乳類のナワバリ

太陽の塔 48年前から唯一現存しているゴリラは機械じかけ。むきだしの装置が独特の雰囲気を醸し出している

太陽の塔 恐竜やゴリラに比べ、人類は意外なほどサイズが小さい

太陽の塔 メンテナンス用の足場。足をかける瞬間を想像するとヒヤリとする

 階段を上りきったところには、なにやら奇妙な空間が。これは太陽の塔の「右腕」と「左腕」にあたる部分です。右腕にはかつては空中展示エリアに通じるエスカレーターがありましたが、今は取り外され鉄骨がむき出しになっています。左腕では、当時の非常階段を見ることができます。怪しげなライトに照らされたそのさまは、あたかも異空間への入り口のようでもあります。


太陽の塔 右腕。ここにあったエスカレーターは空中展示エリアである大屋根につながっていた

太陽の塔 現存する空中展示エリアの大屋根の一部

太陽の塔 左腕。非常階段が見える

 生命の樹を堪能したら、別の階段を降りて帰路へ。ここでは大阪万博当時の写真や岡本太郎さんの略歴に関する写真が展示されています。もっと万博について知りたい方は、ここも忘れることなくチェックしておきましょう。


太陽の塔 現存していない1970年当時の展示写真も見ることができる

 公開から2カ月以上が経過したこのイベント、いまでも1日約1000人の入館者が訪れているとのこです。入館には公式サイトからの事前予約が必要となっています。足を運ぶ予定のある人は忘れないようにしておきましょう。


エンジン


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」